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2025.09.15

不動産査定の方法を徹底解説!種類や流れ、注意点を押さえて賢く売却

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不動産の売却を考え始めた方向けに、不動産査定の方法を分かりやすく解説します。机上査定や訪問査定といった査定の種類から、具体的な査定額の計算方法、依頼の流れまでを網羅的に紹介し、安心して売却の第一歩を踏み出すためのポイントをお伝えします。

不動産査定とは?売却の第一歩
•査定価格・売り出し価格・成約価格の違い
不動産査定の主な2つの方法
• 机上査定(簡易査定):手軽に相場を知りたい方向け
• 訪問査定:より正確な価格を知りたい方向け
不動産査定額はどう決まる?3つの計算方法
•取引事例比較法:マンションや土地で使われる方法
•原価法:戸建ての建物で使われる方法
•収益還元法:投資用不動産で使われる方法
不動産査定を依頼する流れ
•ステップ1:不動産会社の選定と査定依頼
•ステップ2:訪問査定の日程調整と準備
•ステップ3:査定結果の確認と媒介契約
不動産査定でチェックされるポイント
•物件の基本情報(築年数・立地など)
•物件の状態(室内・外装・設備)
•周辺環境と法的規制
不動産査定を依頼する際の注意点
•複数の不動産会社に査定を依頼する
•査定額の根拠を必ず確認する
•物件の不利な情報も正直に伝える
不動産査定に関するよくある質問
•査定は本当に無料ですか?
•査定をしたら必ず売却しないといけませんか?
•査定額を上げるためにできることはありますか?
まとめ

不動産の売却を考え始めたとき、多くの方が最初に疑問に思うのが「自分の家は一体いくらで売れるのだろう?」ということではないでしょうか。その疑問に答えるための重要なステップが「不動産査定」です。不動産査定は、売却活動を始める上での土台となるものであり、その方法や流れを正しく理解しておくことが、納得のいく不動産売却への第一歩となります。この記事では、不動産査定の種類から具体的な計算方法、依頼の流れ、そして注意点まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

不動産査定とは?売却の第一歩

不動産査定とは、所有する不動産が「いくらで売れそうか」という推定価格を、不動産の専門家である不動産会社が算出することです。この査定によって提示される価格は、今後の売却活動における「売り出し価格」を決めるための重要な指標となります。不動産は一つとして同じものがなく、立地や建物の状態、市場の動向など様々な要因によって価値が変動するため、専門家による客観的な評価が必要不可欠です。査定を受けることで、ご自身の資産価値を把握し、具体的な資金計画を立てることが可能になります。

査定価格・売り出し価格・成約価格の違い

不動産売却においては、3つの異なる「価格」が存在します。これらの違いを理解しておくことは、売却プロセスをスムーズに進める上で非常に重要です。

これらの関係性を理解し、査定価格はあくまでスタートラインであると認識しておくことが大切です。

【関連記事】不動産売却の成功を決める価格設定! 売り出し価格はどう決める?

不動産査定の主な2つの方法

不動産査定には、大きく分けて「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合わせて適切な方法を選ぶことが重要です。

机上査定(簡易査定):手軽に相場を知りたい方向け

机上査定は、現地を訪問せず、物件の所在地、面積、築年数といった基本的な情報と、過去の取引事例や公示価格などのデータに基づいて査定額を算出する方法です。インターネットや電話で手軽に依頼でき、早ければ当日、遅くとも数日中には結果を知ることができます。
「まだ売却を決めたわけではないけれど、おおよその価値を知りたい」「まずは気軽に相場を把握したい」といった方におすすめの方法です。ただし、物件個別の状態(日当たり、眺望、室内の劣化状況など)は考慮されないため、査定額はあくまで概算となります。

 訪問査定:より正確な価格を知りたい方向け

訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に現地を訪れ、物件の状態を細かく確認して査定額を算出する方法です。机上査定で用いるデータに加え、以下のような物件固有の要素を評価に反映させます。
•    室内の状態: 壁紙や床の傷、水回りの設備状況、リフォーム履歴など
•    日当たり・眺望・風通し: 図面だけでは分からない実際の住環境
•    周辺環境: 近隣の建物の状況、騒音の有無、道路との高低差など
•    管理状況: マンションの共用部や戸建ての外壁、庭の手入れ状況など
担当者が直接物件を見るため、より実態に即した精度の高い査定価格が期待できます。売却の意思が固まっている方や、具体的な売却計画を立てたい方は、訪問査定を依頼しましょう。

【関連記事】不動産売却~引き渡しまでの流れ~

不動産査定額はどう決まる?3つの計算方法

不動産会社は、物件の種類や特性に応じて、専門的な計算方法を組み合わせて査定額を算出します。主に用いられるのは以下の3つの方法です。

取引事例比較法:マンションや土地で使われる方法

取引事例比較法は、査定対象の不動産と条件が似ている近隣物件の過去の成約事例を複数収集し、それらの価格を基準に査定額を算出する方法です。マンションや土地の査定で最も一般的に用いられます。比較する事例の選び方や、立地の違い、取引時期の違いなどをどのように価格に反映させるか(時点修正)が、査定の精度に影響します。

原価法:戸建ての建物で使われる方法

原価法は、主に戸建ての「建物」部分の価格を算出する際に用いられる方法です。その建物を現時点で新築した場合にいくらかかるか(再調達原価)を算出し、そこから築年数の経過による価値の減少分(減価償却)を差し引いて価格を求めます。土地の価格は、前述の取引事例比較法などで別途算出し、建物価格と合算して不動産全体の査定額とします。

【参考記事】国税庁「耐用年数表」

収益還元法:投資用不動産で使われる方法

収益還元法は、その不動産が将来的にどれくらいの収益(家賃収入など)を生み出す力があるかという点に着目して価値を算出する方法です。主に、アパート一棟や賃貸マンション、オフィスビルといった投資用不動産の査定で用いられます。計算方法には、1年間の純収益を利回りで割り戻す「直接還元法」などがあります。

不動産査定を依頼する流れ

不動産査定を依頼してから媒介契約に至るまでの一般的な流れを理解しておきましょう。

ステップ1:不動産会社の選定と査定依頼

まずは、査定を依頼する不動産会社を選びます。大手不動産会社から地域密着型の不動産会社まで様々ですが、売却したい物件のエリアや種類を得意とする会社を選ぶのがポイントです。最近では、複数の会社に一括で査定依頼ができるインターネットサービスも便利です。机上査定か訪問査定かを選び、物件情報を入力して依頼します。

ステップ2:訪問査定の日程調整と準備

訪問査定を依頼した場合、不動産会社から連絡があり、担当者が物件を訪問する日程を調整します。査定当日は、1時間程度で室内外の状況を確認します。より正確な査定をしてもらうために、購入時のパンフレットや権利証、固定資産税の納税通知書、リフォーム履歴がわかる書類などがあれば準備しておくとスムーズです。

【関連記事】家を売るときの必要書類って? 

ステップ3:査定結果の確認と媒介契約

訪問査定後、通常1週間程度で査定結果が報告されます。査定書には、査定価格だけでなく、その価格に至った根拠や周辺の取引事例、販売戦略の提案などが記載されています。複数の会社の査定結果と提案内容を比較検討し、最も信頼できると感じた会社と、不動産の売却活動を正式に依頼する「媒介契約」を結びます。

不動産査定でチェックされるポイント

訪問査定では、担当者は様々な角度から物件をチェックします。どのような点が評価に影響するのかを知っておきましょう。

物件の基本情報(築年数・立地など)

査定の基礎となるのが、築年数、駅からの距離、土地・建物の面積、間取りといった基本的な情報です。これらは客観的なデータとして評価に反映されます。特に立地条件は重要で、最寄り駅の人気度や利便性、複数の路線が利用可能かといった点は大きく影響します。

物件の状態(室内・外装・設備)

建物の状態は査定額を左右する大きな要因です。室内では、壁紙や床の汚れ・傷、水回り(キッチン、浴室、トイレ)の清潔さや設備の古さがチェックされます。外装では、外壁のひび割れや塗装の剥がれ、屋根の状態などが確認されます。リフォームによって状態が改善されていれば、プラス評価につながります。

周辺環境と法的規制

物件そのものだけでなく、周辺の環境も評価の対象です。スーパーや学校、病院といった生活利便施設の充実度や、公園などの住環境、治安の良さなどが評価されます。また、その土地にどのような建物を建てられるかを定めた「用途地域」などの法的な規制も、土地の価値に大きく影響するため、必ず確認されるポイントです。

不動産査定を依頼する際の注意点

納得のいく不動産売却を実現するためには、査定を依頼する段階でいくつか押さえておきたい注意点があります。

複数の不動産会社に査定を依頼する

査定価格は、不動産会社によって数十万円、時には数百万円ほどの差が出ることがあります。これは、各社が持つ取引データの量や、得意とするエリア・物件種別、販売戦略の違いによるものです。1社だけの査定結果を鵜呑みにせず、必ず3社程度の複数の会社に査定を依頼し、提示された価格と根拠を比較検討することが重要です。 

査定額の根拠を必ず確認する

提示された査定額が高いか安いかだけで判断するのは危険です。なぜその査定額になったのか、具体的な根拠を必ず確認しましょう。信頼できる不動産会社であれば、「近隣のこのマンションの成約事例を参考にし、お客様の物件の階数と日当たりを考慮してこの価格としました」といったように、明確な説明をしてくれるはずです。根拠が曖昧なまま高い査定額を提示して契約を結び、後から大幅な値下げを提案してくる会社には注意が必要です。

物件の不利な情報も正直に伝える

雨漏りやシロアリ被害、設備の故障といった物件の不具合(瑕疵)は、査定額にマイナスの影響を与える可能性がありますが、隠さずに正直に伝えることが非常に重要です。もし、これらの情報を隠したまま売買契約を結び、引き渡し後に買主が瑕疵を発見した場合、売主は「契約不適合責任」を問われ、修繕費用の請求や契約解除、損害賠償を求められる可能性があります。トラブルを避けるためにも、不利な情報も含めて正確な情報を提供しましょう。

不動産査定に関するよくある質問

最後に、不動産査定に関してよく寄せられる質問にお答えします。

査定は本当に無料ですか?

はい、無料です。不動産会社にとって、査定は売却の依頼を受けるための営業活動の一環です。そのため、査定を依頼したからといって費用が発生することはありません。安心して複数の会社に依頼してください。

査定をしたら必ず売却しないといけませんか?

いいえ、その必要はありません。査定結果を見て、売却しないという判断をしても全く問題ありません。査定はあくまでご自身の不動産の価値を知るための手段であり、売却を強制されるものではありません。

査定額を上げるためにできることはありますか?

査定額を大幅に上げるための劇的な方法はありませんが、訪問査定の前に室内をきれいに掃除・整頓しておくことは良い印象を与える上で効果的です。特に水回りや玄関、リビングは念入りに清掃しましょう。また、過去のリフォーム履歴や設備の取扱説明書などを整理して提示できるようにしておくと、物件の価値を正しく評価してもらいやすくなります。

まとめ

不動産査定は、大切な資産である不動産の価値を把握し、売却活動を成功させるための重要な第一歩です。査定には手軽な「机上査定」と詳細な「訪問査定」の2種類があり、ご自身の状況に応じて使い分けることが大切です。
査定を依頼する際は、1社だけでなく複数の会社に依頼して結果を比較し、査定額の根拠をしっかりと確認することが、信頼できるパートナー選びにつながります。この記事で解説したポイントを押さえ、納得のいく不動産売却を目指してください。

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