不動産の売却を決意したら、不動産会社に物件の査定を依頼し、その価格をもとに売り出し価格を決定します。高く売れるに越したことはありませんが、相場より高く設定すれば売れ残る可能性が高く、早く売りたいからといって低めに設定すれば、損をしてしまうこともあります。価格設定は、売主にとってもっとも頭を悩ませるところではないでしょうか。自分や家族が納得できる形で売却するには、何を基準に価格を決めたらよいのでしょう。
不動産の価格の決め方
不動産価格は、最終的に売主と買主の交渉によって決まります。では、売り出す際の価格はどのような基準で決められるのでしょうか?
◎不動産の価格設定は周辺地域の取引事例が基準
不動産の価格設定は、周辺地域の類似物件の取引事例を基に不動産会社が売主に提案します。不動産会社は周辺事例や現在の市況感を売主に伝え、売出価格を提案しますが、納得して決定するのは売主です。また、物件が査定価格で売れるかどうかは購入希望者との出会いや交渉次第という要因もあります。
◎売却期間の目安は3ヶ月
不動産の売却期間は3ヶ月が目安とされています。これは、不動産売買の媒介を依頼する際に交わす「媒介契約」の有効期間が、一般的に3ヶ月に設定されているため。不動産会社は売主の売却希望時期をヒアリングした上で、一般的には3ヶ月間を目安に売却できそうな価格を設定し、期間内に売れるよう営業をかけていくのです。
◎検索サイトで有利になるように値付けする
不動産の検索サイトでは、物件価格の検索区分が500万円刻みになることがほとんど。物件がなかなか売却されない場合に、ひとつ下の検索区分にもヒットするよう売り出し価格を下げるのですが、売り出し価格を決める際にちょっと工夫をしてみましょう。
たとえば物件の価格を3,050万円に設定しておけば、70万円の値下げで2,980万円に価格設定することで検索区分を変えられ、「3,000万円までの物件」を求めている新たな顧客層にアピールすることができるのです。希望価格での売却が一番ですが、いざという時を考え、値下げを見越した価格を設定しておくことも必要と言えます。
売り出し価格と成約価格
不動産の価格には「売り出し価格」と「成約価格」があり、それぞれの価格から「乖離率」を算出することができます。
◎売り出し価格と成約価格
不動産を売り出す際、売主が「売りたい」と希望する価格を「売り出し価格」、買主との交渉を経て実際に売れた価格を「成約価格」といいます。この2つの価格がイコールになることが売主側の希望ではありますが、実際には売り出し価格より成約価格が下がるケースも少なくありません。
◎乖離率とは
「乖離率」とは、不動産の売り出し価格と成約価格の差額の比率のことで、以下の計算式によって表されます。
乖離率=(成約価格-売り出し価格)÷売り出し価格×100%
成約価格が売り出し価格を下回れば乖離率はマイナスになり、数値がゼロに近づくほど、売主の希望に沿った売却ができたことになるのです。売却期間が長くなるほど価格乖離率のマイナスが大きくなり、売主の希望する価格から離れていく傾向があります。
相場よりも高い売り出し価格を設定してしまい、売却期間が長くなるケースがよくあります。買い手がつかず長く売れ残っていると、足元を見られてしまい、結果的に相場を下回る価格での取引になる可能性が高くなるのです。
価格設定で注意すること
不動産の売り出し価格を設定する時に気を付けるべき2つのポイントを解説します。
◎あえて高値をつけてはいけない
不動産を売却する理由はさまざまですが、安くはない価格で購入した物件を手放すとなれば、少しでも高く売りたいと思うものでしょう。しかし、相場より高い価格で売り出すとなかなか買い手がつきません。だからといって少しずつ価格を下げていくと、今度は「待てば安くなるのでは?」と思われ、購入希望者の買い控えを助長する恐れもあります。こうなると売却期間はさらに長引いてしまいます。売り出し価格を決める時は、あまり相場からかけ離れないよう注意しましょう。
◎売り主のこだわりは通らないこともある
床材は天然木、キッチンはハイグレード、浴室にもジャグジーなど、売主がこだわり抜いた自慢の設備も、売り出す際の価格には反映しづらいのが実情です。どんなにお金がかかっていても、買い主にとって不要なら価値はゼロ。売却後にまるごとリフォームされてしまうケースも少なくありません。「元を取りたい」と考えず、冷静に判断して価格を決めましょう。
思い入れのある住まいを、少しでも良い価格で売りたい。不動産の売却を考えているすべての方がそう願っていることと思います。売却を検討する際は、不動産相場や売却期間について不動産会社に相談することが大切です。
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※2020年1月9日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。