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2025.09.28

空き家査定はどこに頼む?査定方法の種類や流れ、費用を徹底解説します

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親から相続した実家や、誰も住まなくなった家など、空き家の扱いに悩んでいませんか。固定資産税の負担や管理の手間を考えると、売却を検討する方も多いでしょう。しかし、いざ売却しようと思っても「そもそも、この家はいくらで売れるのだろう?」という疑問が浮かぶはずです。そこで重要になるのが「査定」です。
この記事では、空き家の査定を初めて検討する方に向けて、査定の基礎知識から具体的な流れ、査定額を上げるコツまで、分かりやすく解説します。信頼できる不動産会社を見つけ、納得のいく形で空き家を手放すための第一歩を踏み出しましょう。

空き家査定とは?まず知っておきたい基礎知識
    ・査定でわかること
 ・査定の種類は2つ!机上査定と訪問査定
 ・査定は無料?有料?費用の目安
空き家査定はどこに頼む?主な依頼先を紹介
 ・地域密着型の不動産仲介会社
 ・大手の不動産仲介会社
 ・専門の不動産買取業者
空き家査定の流れを5ステップで解説
 ・ステップ1:査定依頼の準備をする
 ・ステップ2:不動産会社を選ぶ
 ・ステップ3:空き家の査定を依頼する
 ・ステップ4:査定結果の報告を受ける
 ・ステップ5:媒介契約を結ぶ
空き家の査定額はどう決まる?評価されるポイント
 ・土地に関するポイント
 ・建物に関するポイント
 ・周辺環境や法的な制限
空き家の査定額を少しでも上げるためのコツ
 ・敷地内や室内の掃除をしておく
 ・設備の動作確認と修繕履歴を準備する
 ・複数の不動産会社に査定を依頼する
空き家査定を依頼する際の注意点
 ・査定額の根拠を必ず確認する
 ・囲い込みをしない会社を選ぶ
 ・相続登記が完了しているか確認する
空き家査定後の選択肢は?
 ・時間をかけて高く売りたいなら「仲介」
 ・早く確実に現金化したいなら「買取」
空き家査定に関するよくある質問
 ・家の中に荷物が残っていても査定は可能ですか?
 ・遠方に住んでいても査定は依頼できますか?
 ・査定をしたら必ず売却しないといけませんか?
まとめ

空き家査定とは?まず知っておきたい基礎知識

空き家の売却を考え始めたとき、最初に行うべきことが査定です。査定とは、不動産の専門家がその物件の価値を評価し、市場で売れると見込まれる価格(査定額)を算出することです。この査定額が、売却価格を決める上での重要な指標となります。まずは査定に関する基本的な知識を身につけましょう。

査定でわかること

不動産会社に査定を依頼すると、主に「査定額」とその「根拠」が提示されます。査定額は、周辺の類似物件の取引事例や市場の動向、物件の状態などを総合的に判断して算出された価格です。なぜその金額になったのか、物件のどのような点が評価され、あるいは価格を下げる要因となったのか、詳細な説明を受けることができます。これにより、所有する空き家の客観的な資産価値を把握でき、売却活動を始める際の売り出し価格設定の有力な材料となります。

査定の種類は2つ!机上査定と訪問査定

空き家の査定方法には「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定」の2種類があります。 それぞれに特徴があるため、目的や状況に応じて使い分けることが大切です。
まずは机上査定で大まかな価格を知り、売却の意思が固まってきた段階で、複数の会社に訪問査定を依頼するのが一般的な進め方です。

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査定は無料?有料?費用の目安

不動産会社が売却活動の一環として行う査定は、基本的に無料です。これは、査定をきっかけに売却の依頼(媒介契約)を獲得することを目的としているためです。机上査定、訪問査定のどちらも無料で依頼できることがほとんどなので、気軽に相談してみましょう。
ただし、相続財産の評価や裁判などで使用する「不動産鑑定評価書」が必要な場合は、不動産鑑定士に依頼する必要があり、この場合は有料となります。費用は数十万円かかることもあるため、目的を明確にして依頼することが重要です。

空き家査定はどこに頼む?主な依頼先を紹介

査定を依頼する不動産会社は、売却活動のパートナーとなる重要な存在です。会社の規模や特徴によって、得意なエリアや物件の種類が異なります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の空き家に合った会社を選びましょう。

地域密着型の不動産仲介会社

特定のエリアで長年営業している不動産会社は、その地域の情報に精通しています。地域の相場観はもちろん、どのような買主がそのエリアの物件を探しているかといった、独自の販売ノウハウを持っていることが多いのが強みです。地元のネットワークを活かした、きめ細やかな対応が期待できます。ただし、会社によっては販売活動の規模が限られる場合もあります。

大手の不動産仲介会社

全国的な知名度と幅広いネットワークを持つのが、大手不動産会社の強みです。豊富な取引データに基づいた査定や、自社のウェブサイトや広告媒体を駆使した広範囲な販売活動が期待できます。教育制度が整っているため、担当者の対応が安定している傾向にあります。一方で、担当者の異動が多いことや、画一的な対応になりやすいという側面もあります。

専門の不動産買取業者

仲介ではなく、不動産会社が直接空き家を買い取るのが「買取」です。買取業者は、買い取った物件にリフォームなどを施して再販売することを目的としています。最大のメリットは、売却までのスピードが早いことです。買主を探す必要がないため、すぐに現金化できます。ただし、買取価格は市場価格の7〜8割程度になることが一般的です。

空き家査定の流れを5ステップで解説

実際に空き家の査定を依頼してから、売却活動が始まるまでの基本的な流れを5つのステップで解説します。全体像を把握しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。

ステップ1:査定依頼の準備をする

査定を依頼する前に、必要な書類を準備しておくと手続きがスムーズです。特に訪問査定では、より正確な査定額を算出するために詳細な情報が必要となります。
準備しておくと良い書類の例
・登記済権利証または登記識別情報通知書
・固定資産税の納税通知書
・間取り図や測量図などの図面
・建築確認済証および検査済証
これらの書類が全て揃っていなくても査定は可能ですが、手元にあるものは事前に用意しておきましょう。

ステップ2:不動産会社を選ぶ

査定を依頼する不動産会社を選びます。1社だけでなく、複数の会社に依頼する「一括査定」を利用するのも効率的です。 会社の実績や口コミ、担当者との相性などを考慮して、信頼できる会社を2〜3社に絞り込むのがおすすめです。

ステップ3:空き家の査定を依頼する

選んだ不動産会社に、電話やウェブサイトから査定を依頼します。物件の所在地、面積、築年数などの基本情報を伝えます。机上査定の場合は情報提供のみですが、訪問査定を希望する場合は、担当者と現地調査の日程を調整します。

ステップ4:査定結果の報告を受ける

机上査定の場合はメールや電話で、訪問査定の場合は後日、査定額が記載された「査定報告書」と共に結果の説明を受けます。この際、ただ金額を聞くだけでなく「なぜこの査定額になったのか」という根拠を必ず確認しましょう。査定額の妥当性や、担当者の専門知識、誠実さを見極める重要な機会です。

ステップ5:媒介契約を結ぶ

査定結果や担当者の対応に納得できたら、売却活動を正式に依頼するために不動産会社と「媒介契約」を結びます。媒介契約には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類があり、それぞれに特徴があります。契約内容をよく理解した上で、自分の売却方針に合った契約形態を選びましょう。

【関連記事】家を売るとき、買うとき。知っておきたい買い替えの手順

空き家の査定額はどう決まる?評価されるポイント

不動産の査定額は、様々な要素を総合的に評価して算出されます。特に空き家の場合、どのような点が重視されるのでしょうか。主な評価ポイントを「土地」「建物」「周辺環境」の3つの観点から解説します。

土地に関するポイント

土地の価値は、査定額に大きく影響します。特に立地条件は重要で、最寄り駅からの距離や、周辺にある商業施設の充実度などが評価されます。 また、土地の形状が整っているか、道路にどのように接しているか(接道状況)なども価格を左右するポイントです。日当たりや風通しが良い角地なども、プラス評価につながりやすいです。

建物に関するポイント

建物の状態は、訪問査定で詳細にチェックされます。 築年数はもちろんですが、建物の基礎や構造の状態、雨漏りやシロアリ被害の有無、内外装の劣化具合などが評価の対象です。また、キッチンや浴室などの水回り設備の状況も重要です。定期的なメンテナンスやリフォームが行われていれば、築年数が古くても評価が上がる可能性があります。

周辺環境や法的な制限

物件そのものだけでなく、周辺環境や法律上の制限も査定額に影響します。 公園や学校、病院などの公共施設が近くにあるか、騒音や悪臭などがないかといった住環境がチェックされます。さらに、都市計画法上の用途地域や、建物の高さ・大きさを制限する法令なども考慮されます。これらの法的な制限によって、建て替えや増築が難しい場合は、査定額が低くなることがあります。

空き家の査定額を少しでも上げるためのコツ

査定額は物件の状態によって変動します。訪問査定を受ける前に少し準備をしておくだけで、担当者に良い印象を与え、評価を上げることにつながる場合があります。誰でもできる簡単なコツを3つ紹介します。

敷地内や室内の掃除をしておく

物件の第一印象は非常に重要です。室内が整理整頓され、清潔に保たれていると「大切に使われてきた家」という良い印象を担当者に与えることができます。 また、庭の雑草を刈ったり、不要な物を片付けたりしておくだけでも、見栄えが良くなります。大規模なリフォームをする必要はありませんが、基本的な清掃は査定前のマナーとして行いましょう。

設備の動作確認と修繕履歴を準備する

給湯器やエアコン、換気扇などの住宅設備が正常に動作するかどうかは、査定のチェックポイントです。事前に動作確認をしておきましょう。もし故障している箇所があれば、正直に伝えることが大切です。また、過去に行ったリフォームや修繕の履歴、建物の図面などがあれば準備しておくと、建物の維持管理状態が良好であることをアピールでき、査定のプラス材料になります。

複数の不動産会社に査定を依頼する

査定額は不動産会社によって異なる場合があります。これは、各社が持つ販売ノウハウや得意な顧客層が違うためです。1社だけの査定額を鵜呑みにせず、必ず複数の会社に査定を依頼して、提示された金額や根拠を比較検討しましょう。 これにより、自分の空き家の適正な相場を把握できるだけでなく、より熱心で信頼できる販売パートナーを見つけることにもつながります。

空き家査定を依頼する際の注意点

査定を依頼する際には、いくつか注意すべき点があります。これらを知っておくことで、後々のトラブルを防ぎ、スムーズな売却活動につなげることができます。

査定額の根拠を必ず確認する

不動産会社の中には、媒介契約を結びたいがために、意図的に高い査定額を提示してくるケースがあります。提示された査定額の高さだけで会社を決めてしまうのは危険です。なぜその価格になったのか、具体的な根拠や市場のデータを基に、納得のいく説明をしてくれるかどうかを重視しましょう。誠実な会社は、良い点だけでなく、物件のマイナス面についてもきちんと説明してくれます。

囲い込みをしない会社を選ぶ

「囲い込み」とは、売却を依頼された不動産会社が、他の不動産会社に物件情報を公開せず、自社だけで買主を見つけようとする行為です。囲い込みをされると、物件が多くの人の目に触れる機会が失われ、売却が長期化したり、価格を下げざるを得なくなるリスクがあります。査定を依頼する際に、どのような販売活動を行うのか、不動産流通機構(レインズ)への登録をきちんと行うかなどを確認しましょう。

相続登記が完了しているか確認する

相続した空き家を売却する場合、前提として、不動産の名義を被相続人(亡くなった親など)から相続人へ変更する「相続登記」が完了している必要があります。 この手続きが済んでいないと、査定はできても売却することはできません。法務局で手続きが必要になるため、まだの場合は司法書士などの専門家に相談し、早めに済ませておきましょう。

【関連記事】「譲渡」と「贈与」?わかりにくい不動産用語の基礎知識

空き家査定後の選択肢は?

査定を終え、空き家の資産価値を把握した後は、いよいよ具体的な売却方法を検討する段階に入ります。主な方法として「仲介」と「買取」の2つがあります。それぞれの特徴を理解し、自分の希望に合った方法を選びましょう。

時間をかけて高く売りたいなら「仲介」

「仲介」は、不動産会社に買主を探してもらう最も一般的な売却方法です。不動産会社が広告活動などを行い、購入希望者が見つかれば売買契約を結びます。市場価格に近い価格で売れる可能性が高いため、売却価格を重視する方におすすめです。ただし、買主が見つかるまでに時間がかかる場合があり、売却期間が不確定である点がデメリットです。

早く確実に現金化したいなら「買取」

「買取」は、不動産会社に直接物件を買い取ってもらう方法です。買主を探す手間と時間がかからないため、スピーディーに売却でき、すぐに現金化したい場合に適しています。また、仲介と違って契約不適合責任(売却後に物件の欠陥が見つかった場合の責任)が免除されることが多いのもメリットです。ただし、買取価格は仲介の場合に比べて低くなる傾向があります。

空き家査定に関するよくある質問

ここでは、空き家の査定に関して多くの方が抱く疑問についてお答えします。

家の中に荷物が残っていても査定は可能ですか?

はい、可能です。家の中に家具や家財などの残置物がある状態でも査定はできます。ただし、室内が散らかっていると、建物の状態を確認しにくかったり、印象が悪くなったりする可能性があります。可能な範囲で整理整頓しておくと、よりスムーズで正確な査定につながります。

遠方に住んでいても査定は依頼できますか?

はい、依頼できます。所有者が現地に立ち会えない場合でも、査定は可能です。不動産会社によっては、鍵の受け渡し方法などを相談することで、立ち会いなしでの訪問査定に対応してくれる場合があります。まずは不動産会社に遠方に住んでいる旨を伝えて、査定の方法について相談してみましょう。

査定をしたら必ず売却しないといけませんか?

いいえ、その必要はありません。査定はあくまで売却を検討するための判断材料を得るためのものです。査定結果に納得できなければ、売却する必要はありません。複数の会社の査定結果を比較したり、担当者の話を聞いたりして、売却するかどうかをじっくりと検討してください。

まとめ

空き家の査定は、売却や活用を成功させるための重要な第一歩です。査定の種類や流れ、評価のポイントを理解し、信頼できる不動産会社を見つけることが、納得のいく結果につながります。この記事を参考に、まずは気軽に査定を依頼してみてはいかがでしょうか。

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