第1回の『建築物の省エネ性能表示制度』と、『省エネ基準適合制度』の概略に続く、第2回の記事は、最新の『住宅ローン減税』と『住宅省エネ2025キャンペーン』についてです。
住まいの購入やリフォーム支援のための減税や補助金を上手に活用する----。
そのために近年、外せないキーワードが『省エネ』です。
建築費の負担が軽減できる可能性があるだけでなく、省エネ性能が高く快適な住まいに暮らせる好機ともいえる減税や補助金の制度。しかし、申請には条件や期限があるため、適用を受けるためのポイントを理解しておくことが必要です。ぜひ、ご一読ください。
▶参照記事:購入・リフォーム:『省エネ』制度や税制・補助金の"いま"を知る!--第1回
『省エネ』と住まい。減税や補助金は?
新築・中古住宅の購入とリフォーム、それぞれの減税と補助金についてポイントを絞ってご説明します。
住宅購入とリフォームの減税
2025年度の税制改正による減税制度への影響を確認しておきましょう。
【新築・中古】住宅ローン減税は新築住宅の場合、住宅ローンの年末残高の0.7%が所得税から13年間控除されます(中古住宅は10年間)。
ただし、新築住宅でも、現行の省エネ基準を満たしていない場合は、住宅ローン減税そのものが適用外となります(2023(令和5)年末までに新築の建築確認を受けた住宅に2024(令和6)・2025(令和7)年に入居の場合、借入限度額2000万円・控除期間10年間)。
控除の対象となる住宅ローン残高の上限額も、省エネ性能が高いほど上限額が高くなる仕組みとなっている点に留意しておきましょう。
省エネ性能の高い住まいを購入する場合、床面積要件の緩和措置は継続。また、子育て世帯に対する借入限度額の上乗せも実施されており、新築住宅の控除対象の上限額は認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)で5000万円、ZEH水準省エネ住宅で4500万円、省エネ基準適合住宅で4000万円となります。
※子育て世帯:19歳未満の子を有する世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯
(どちらも入居した年の12月31日時点が対象)
【リフォーム】対象は、耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化のリフォームで、子育て世帯支援の減税も継続されています。工事年の所得税から工事費の一部が減税され、対象工事限度額は200~600万円、対象工事に対する最大控除額は10%(20~60万円)となっています。
いずれのリフォームも、対象工事限度額を超えた分と、同時に行うその他のリフォーム工事は5%の減税措置が併用できます。その際、対象工事限度額の上限は1000万円となります。
ここで紹介した減税措置は、2025年12月31日までの入居と工事が対象です。2026年以降がどうなるかは未定ではあるものの、今後も『省エネ』がキーワードのひとつになることは十分に考えられるでしょう。
▶出典元;国土交通省 住宅:住宅ローン減税
住宅購入とリフォームの補助金
補助金については、『住宅省エネ2025キャンペーン』が継続されました。
これは、新築住宅の省エネ化、既存住宅の断熱改修や高効率給湯器の導入などを支援する「国土交通省・経済産業省・環境省」の3省連携による大規模な補助制度の総称です。その特徴は、対象となる補助金の併用(組み合わせて利用)が可能で、ワンストップで申請ができるようになる点でしょう。
以下、各事業の概要を押さえていきましょう。
国土交通省・環境省『子育てグリーン住宅支援事業』
【新築】すべての世帯対象の「GX志向型住宅」が新設され、補助額は160万円です。(GX/グリーントランスフォーメーション:脱炭素社会に向けて再生可能なクリーンエネルギーに転換していく取り組みのこと)。
省エネ基準よりかなり高性能な住宅で、断熱等性能等級6以上かつ再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率35%以上など複数の条件をクリアする必要があります。
また、子育て世帯を対象とした補助金は、長期優良住宅が80万円、ZEH水準住宅は40万円(いずれも戸あたり)となっています。
※子育て世帯:18歳未満の子どもを有する世帯、または夫婦いずれかが39歳以下の世帯(どちらも2024(令和6)年4月1日時点が対象)
【リフォーム】すべての世帯が対象で補助金の支給には既定の必須工事が求められます(一部の新築住宅を除く。2025年は必須工事3種のうち2種以上が対象)。
また、住宅の子育て対応改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事などの工事に対しては、必須工事を行った場合のみ補助金の対象となります。
環境省『先進的窓リノベ事業』
【リフォーム】内窓設置や外窓の交換、窓ガラス交換などによる高い断熱性能を持つ窓への改修に対する補助金で、リフォームで採用した製品ごとの補助額(定額、上限額200万円)を支給するする事業です。
注意しておきたい点として、マンションでは、内窓設置は対象になり得ますが、ガラス・外窓・ドアの交換は共用部にあたることから難しい場合があるということです。
ほかに、補助対象となる製品が指定されている、ガラスの大きさとグレードで補助額が異なる、子育てグリーン住宅支援事業の補助額との合算はできないなど、細分化された確認事項もあるため、リフォーム工事の依頼先とよく相談の上、検討を進める必要があります。
経済産業省『給湯省エネ事業』
【新築・リフォーム】住宅に高効率給湯器を導入する場合、一台に対し、機器・性能ごとに一定金額の補助金が支給される事業です。
対象は(A)ヒートポンプ給湯機(エコキュート)、(B)ハイブリッド給湯機、(C)家庭用燃料電池(エネファーム)に分けられ、それぞれ(A)10万円、(B)13万円、(C)20万円の補助額となっています。
出典元:国土交通省・経済産業省・環境省 住宅省エネ2025キャンペーン【公式】
まとめ
エネルギーコストの上昇、環境問題の対策として、水道・光熱費の節約や環境負荷の低減ができる"住まいの省エネ化"は注目度が上がっているといっていいでしょう。
より省エネ性能の高い住宅を評価し支援する、エネルギー効率の低い建物・設備はCO2排出量に影響するとして解体に要する費用を加算するなど省エネ化を推進する政府の施策の方向性は明確です。
こうした状況を理解すると、省エネ性能の高い住宅を積極的に選ぶことは、減税・補助金制度を最大限活用できるという利点も納得できるでしょう。
住み替えやリフォームを検討の際には、『省エネ住宅』に関する情報をぜひ参考にしてみてください。
※今回ご紹介した減税、補助金などの情報は簡略化しまとめております。より詳しい情報は、各省庁のHPなどからご確認をお願いいたします。各支援事業には予算があり、申請金額がそれに達した時点で申請受付は終了となります。
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※2025年3月21日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。