近年、価格上昇が続いている住宅市場。その傾向は、国土交通省が公表している四半期ごとの不動産価格指数の推移からも読み取れます。マンションは2013年以降ずっと右肩上がりで、戸建住宅も2020年以降は伸び幅が大きくなっています。
「買い時はいつ?」と迷われている方にとっては悩ましい状況といえるでしょう。しかし、経済的要因や社会情勢の影響を受ける不動産価格が今後どうなるのかは予測しがたいものです。
引用元:国土交通省『不動産価格指数(令和4年8月・第2四半期分)令和4年11月30日公表』報道資料
報道発表資料:不動産価格指数、住宅は前月比0.5%上昇、商業用は前期比3.6%上昇~不動産価格指数(令和4年8月・令和4年第2四半期分)を公表~ - 国土交通省 (mlit.go.jp)
不動産価格の変化はあっても、住まいを購入する方にとって後押しとなるのは税制優遇が受けられる住宅ローン控除です。住宅ローン控除の制度は、2022年に控除率や借り入れ条件などの改正が行われました。
今回は、新築住宅のローン控除の基礎知識と現行制度のポイントをお伝えします。知っておくことで、早めに住宅購入を決断するキッカケになるかもしれません。
最長13年間、所得税や住民税を減税
居住年で異なる控除額
住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」。住宅ローンを借り入れて住まいを購入した際、年末の住宅ローン残高の0.7%を最大13年間、所得税から控除する制度です。
※所得税から控除しきれない場合は、翌年の住民税から一部控除となります。
現行制度のポイントは、居住年によって年末ローン残高にあたる借入限度額が分けられているということ。新築住宅で借入限度額が最大の長期優良住宅などの場合、2023年中に入居すると借入限度額は5000万円、2024年・2025年の入居では借入限度額が4500万円になります。
※引用元:国税庁HP
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
【居住年別シミュレーション】
7000万円の長期優良住宅を購入し、6000万円の住宅ローンを借り入れたと仮定して控除額を計算してみましょう。
■2023年・入居
年末時点でローン残高が、5950万円だった場合、借入限度額の5000万円が住宅ローン控除の適用額です。計算式は5000万×0.7%=35。つまり、1年目に35万円が控除される金額になります。
■2024年・入居
この場合は、借入限度額が4500万円。計算式が4500万×0.7%=31.5となります。1年目に控除されるのは31万5000円、2023年より3万5000円少なくなります。
一般の新築住宅でシミュレーションすると、借入限度額3000万円では21万円受け取れますが、2000万円の場合は14万円。差額は7万円とさらに大きくなります。
さまざまな物価の上昇が家計の負担となっていますが、金額が大きな住宅ローンの出費からお金が戻ってくるのは見逃せないメリットですよね。でも、居住年が1年違うだけで控除額に大きく差があることを忘れずに。また、住宅ローン控除を受けるためには、一定の条件を満たした上で、手続きを行うことが必要です。
控除を受ける条件とは?
新築住宅で住宅ローン控除が適用される条件を以下の表にまとめています。
気をつけたいのは、住宅ローンを借り入れる年の世帯収入。共働き夫婦では、互いの正確な年収を共有していないこともあるようです。住まいの購入前に確認しておきましょう。
手続きは、1年目が肝心!
住宅ローン控除を受けるためには、確定申告が必要です。特に注意したいのは、給与所得者の場合。月々の給与から所得税を支払う源泉徴収の仕組みでは、控除を受けられず、住宅を購入した1年目は自ら確定申告の手続きをしなくてはなりません。2年目以降は、年末調整時に税務署と金融機関からの書類を勤務先に提出するだけとなるので、1年目が肝心です。
手続きの書類は煩雑。早めの準備を
1年目の確定申告に必要な書類は概ね以下の通りです。
◎確定申告書と住宅借入金等特別控除額の計算明細書(税務署または国税庁より入手し作成)
◎勤務先から交付される源泉徴収票
◎金融機関から送られてくる住宅ローンの年末残高証明書
◎法務局発行の登記事項証明書
◎売買契約書または請負契約書(コピー可)
◎マイナンバーカード(コピー可。マイナンバー記載の住民票+運転免許証・パスポート等の本人確認書類のコピーでも可)
さまざまな入手先から書類をそろえる必要があり、書類によっては入手に時間がかかることも...。手続きの際に紛失や不備がないよう、早めに準備をしておきたいものです。
まとめ
今回の記事は、新築住宅の住宅ローン控除についてまとめています。中古住宅やリフォームも住宅ローン控除が適用されるケースがあります。条件や手続き、必要な書類に違いがあるため国土交通省の住宅ローン減税に関するHPや、国税庁の確定申告に関するHPを事前に確認しておくことをおすすめします。
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※2023年3月14日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。