すまいのスタディ

2024.07.29

マンションでも断熱リフォームはできる?

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戸建と比べて気密性が高く、外の温度の影響を受けにくい----。
これはマンションの魅力のひとつですが、元来、コンクリート造の建物には、蓄熱性があり、温まりにくく冷めにくいという特徴があります。
マンションも断熱対策をしなければ、夏は日中に蓄えられた熱が夜になっても室内の温度を上昇させ、冬は夜の冷気が昼間も残って寒さが増してしまうものなのです。

築年数が古く断熱対策が不十分だったり、断熱材が劣化していたり、北側や隣接の建物など日照条件の影響で、夏は蒸し暑く冬は寒いと感じる部屋があるとしたらどうすればいいでしょうか。

今回は、"見えない"部分だけど、快適な住まいのためには見逃せない『断熱リフォーム』のお話です。

なぜ、断熱は大切なのか

断熱とは、部屋の内と外で熱の移動を遮断して、室内が外気温の影響を受けないようにすること。一般的に住宅は、部屋の内と外の間に熱伝導率の低い断熱材を用いることで、外気温を遮断して、室内の温度が外へ逃げないようになっています。

断熱の性能とは、快適性だけでなく、家計や健康、住まいの寿命にも影響するものです。
断熱性が高ければ、室内の温度が外へ逃げないため冷暖房の効率はアップ、電気代も節約できるでしょう。また、外気温の影響が少なければ、空調のない廊下なども温度が保たれやすく、住居全体の温度差が小さくなり快適です。
断熱性が低いと、夏は外からの湿気、冬は室内に溜まった湿気が壁の中に入り込みます。湿気は、結露の元となり、カビを発生させます。カビは、部屋の劣化の原因となるだけでなく、健康にも悪影響を及ぼしますよね。また、室内の温度差が大きければヒートショックに代表されるような健康リスクも高くなります。

"見えない"断熱は、どうチェックする?

新築や築年数の浅いマンションなら、断熱材が入っていないという心配はほぼありません。
2000年4月に施行された住宅品質確保促進法に基づき、「住宅性能表示制度」で断熱性能の品質基準が定められました。室内から外皮(基礎・外壁・屋根・開口部など)を通して外へ逃げる熱量を外皮全体で平均した数値で評価し、等級が高いほど断熱性能が高い部屋だと判断できます。

1980~2000年頃は、断熱材が入っていないマンションも一部で見受けられ、性能基準も現在とは異なりました。これ以前は、寒冷地以外のマンションでは断熱材が入っていないこともあるようです。

マンションの断熱リフォームはどうやるの?

マンションのリフォームは、まず、管理規約で決められたルールを確認することが必要です。共用部とされている部分はリフォームができませんが、共用部には手を加えない「内断熱」での断熱リフォームなら可能です。一般的な「内断熱」の工事は、部屋の壁や床をはがしてコンクリートの躯体と壁や床の間に断熱材を入れます。木材を固定して作った下地の間に、発泡スチロール状の断熱板をはめ込む乾式断熱と、木材を固定して作った下地の間に、発砲ウレタンなどの泡状の断熱材を吹き付ける湿式断熱という2つの施工方式があります。

かんたん、お手軽なマンション断熱リフォームとは?

壁・床の断熱リフォームは、どちらの施工方式であっても工期がかかります。居住中のリフォームであれば、その期間は仮住まいも考えなければなりません。
もっと手軽に断熱リフォームをと考えるなら、特に屋外からの気温の影響を受けやすい窓からの熱の出入りを遮断して、気密性を高めるだけでも断熱性能は高まります。
でも、マンションの窓は共用部にあたりますね。窓を1枚から2枚以上の複層ガラスに、アルミサッシなら樹脂製などに交換できればいいのですが、マンションで窓ガラスやサッシを交換することはほぼできないといってよいでしょう。
そこで、窓の専有部側だけに施工する断熱リフォームが内窓です。

内窓の設置

マンションの断熱リフォームで内窓の設置の際、施工に掛かる時間は窓1面なら1時間程度、3~4か所設置しても半日程度の工事で済むとのこと。
断熱効果が高まるだけでなく、結露防止や遮音・防音効果アップといったメリットもあります。
一方、窓が増えることで開け締めの手間がかかること、既存の窓枠に内窓を取り付けるための奥行きが必要で、若干部屋も狭く感じるようになることがデメリットといえます。

内側に窓が出てくる分、部屋での存在感も高まります。近年はラインナップも豊富になっているので、性能だけでなくカラーやデザインなども吟味してインテリアとしても楽しみながら選ぶとよいでしょう。

まとめ

断熱は、日々の生活に密接なかかわりがある、重要な住まいの品質です。
気に入った中古マンションがあるけど、壁に断熱が入っていないようだ。
住んでいるマンションの隣に建物が建ってから、どうも寝室だけ冷暖房の効きが悪い。
こんなケースは、断熱リフォームを検討してみると良いでしょう。

マンションの断熱リフォームは、省エネ性能の向上などの要件を満たすことで、各自治体や国からの補助金が利用できる場合があります。補助金の内容や金額、要件といった詳細については各自治体のホームページなどで確認することをおすすめします。

▶住宅:住宅リフォームの支援制度 国土交通省

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※2024年6月27日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。