ぐるり街めぐり〈兵庫・宝塚編〉
洋菓子工房 華菓(はなみ)
父から技術と情熱を受け継ぎ、工夫を凝らしたケーキを創作
ゆったりとした時間が流れるこの街に、どこか趣を感じる佇まいのお店があります。もともと骨董品店だった店舗の外観等を生かした『洋菓子工房 華菓』です。人気洋菓子ブランド『アンリ・シャルパンティエ』で約30年にわたり商品開発に携わった経歴を持つ父とともに、息子の林慶典さんが店主として2013年に開業しました。『華菓』という店名は、花が咲き、やがて果実を結ぶことを意味する「華果」という言葉に由来しています。その意味に、"父から子へ菓子づくりの情熱と技術を受け継ぐ"という思いを重ねたのだそう。店内のショーケースには、親子ならではのアイデアや意見交換から生まれた洋菓子がずらりと並んでいます。その中でも、特におすすめしたいのが、2つのケーキです。

一つは『シフォン/プレーン』。水分量の多いシフォンケーキは通常逆さまにして冷まし、そのまま店頭に並べることが多いのですが、「焼き色があると視覚的にもおいしくなるから」という父の発想から、植木鉢を応用したオリジナルの型で焼き上げ、焼き面を上にした状態をキープできる製法を考案しました。それにより熱が均等に伝わり、見た目だけでなく、食感もふわふわでやわらかくなったそう。そして、もう一つのおすすめは『パンデロー』です。林さんが父の初期作を食べて、「こんなにもおいしいケーキがあるのか」と感動した思い入れの強い一品。日本のカステラの原型といわれるポルトガルの伝統菓子にチーズを練り込んだ半熟チーズケーキです。父のレシピではホールサイズでしたが、林さんが小ぶりなサイズへと見直し、日々の暮らしの中でも買い求めやすく、食べやすい定番ケーキにしました。

シンプルながらも個性の光る、「ここにしかない」ケーキづくり
「素朴だけれど、どこかに"オンリーワン"を感じられるお菓子をつくりたい」という林さん。京都の洋菓子店で6年間修業した後、父とともにこの店を営みながら技術を磨いてきました。現状に満足せず、さまざまな工夫を取り入れながら挑戦を重ね、メニューも常に進化しています。例えばシュークリームはフランスの焼き菓子「クロッカン」を生地に使って食感に変化を。ロールケーキはもち粉でもっちりとした口当たりに。記念日のオーダーケーキでは、手描きの似顔絵チョコプレートのほか、食べられる花「エディブルフラワー」をあしらった華やかなケーキなど、オリジナリティにこだわっています。

ここはかつて骨董の店だったこともあり、店内には随所に古い調度品が使われています。焼菓子が並べられている箪笥、骨董品店時代の蔵戸、使い込まれた木の柱、床など。和と洋、今と昔が溶け合い、時の流れがゆるやかに感じられます。お気に入りのケーキを選んでレジで待つ間、ふと目を移すとガラス張りの棚が。中には彩りも美しい菓子型が並べられており、聞くとフランスのアンティークの菓子型を飾っているのだそう。わずかな時間ながら、ちょっとしたアートに触れたような気分になる、嬉しい瞬間です。

【この街が好き/STAFF VOICE】

30~40代の若い店主のお店が多く、同世代ならではの会話も弾みます
町家のような古い雰囲気のある建物でお店をしたくて、京都でも物件を探していたんです。そんな時この建物と出会い、雰囲気に惹かれて決めました。店を始めてわかったのですが、このあたりはベーカリーや美容室、接骨院など、私も含めて30~40代の店主による個人店が多いんです。同世代ならではの共通の話題も多く、自然と行き来が生まれました。どのお店も確かな技術をもちながら、お客さまとの距離も近く、気軽に立ち寄れる素敵なお店ばかりですよ。
店主 林慶典さん

●洋菓子工房 華菓(はなみ)
営業時間/10:00~19:00
定休日/月曜定休 ※月1回、連休(月曜・火曜)あり
電話/0797-73-3377
兵庫県宝塚市南口2-5-2
https://www.hanami0415.jp/
https://www.instagram.com/yougashikoubou_hanami/
※休業日等については、インスタグラムをご確認、もしくはお問い合わせください。
◇記載しています営業データ・商品・価格等は2026年4月30日時点の情報です。
◇時期によってはメニュー内容や商品・価格が変更になっている場合があります。
◇表示価格はすべて税込です。



