すまいのスタディ

2023.07.14

住み心地のよさは、身体と動線でチェック!

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新築・中古、どちらも立地や間取り、予算との兼ね合いなど、購入の決断までに悩むことはたくさんあります。限られた時間の中では、暮らし始めた後の快適な毎日に影響する空間の在り方や設備の重要性をつい見落としがちです。

今回は、住み心地に直結するリビングとキッチンに注目!住まいの購入やリノベーションで参考にできる、最適な"空間と設備"の選び方を学んでみましょう。

住まいのサイズは、身体の大きさが基準

英語の「module」が由来となって生まれた「モジュール」という言葉。業界によって意味合いは多少異なりますが、建築用語では、主に"基準となる単位"、設計上の基本とされる寸法を示しています。

日本の住宅は910mmを基準にした「尺モジュール」という単位があります。一方、「メーターモジュール」という表現も見聞きします。これはメートル法を基に1000㎜を基準にしたものです。「メーターモジュールを採用」と聞くと、廊下などの幅が1mあると思いがちですが、住宅の面積表示は壁芯(壁の中の中心)が基本。実際の幅(有効幅)は、壁の厚みによって異なります。

日本は、「尺」のほかに「間(けん)」「寸」などの単位があり、これらは身体のサイズが元となっています。例えば、親指と人差し指を広げてモノの長さを図る様を見たことはありませんか?

この指を広げた長さが概ね5寸(約15cm)とされていて、2倍の約30cmが1尺となります。「尺モジュール」の910㎜は3尺、1間は6尺(約180㎝)にあたり、畳の長辺や押し入れのサイズなどはここからきています。
このように、身体のサイズが基準の住まいですが、身体の大きさは人によって違いますよね。住まいの空間を考えるときには、どんな点に注意しておくとよいのでしょうか。

縦長?横長?リビングスタイルは、生活動線も考えて決める

間取り選びでは、リビングの広さや形状を重視する方は多いでしょう。縦長や横長、I型やL型など、リビングスタイルの違いで間取りを迷うこともあります。

現代の住まいは、LDKを一室と考える形状が多く、家族が集まり食事や団らんを行うほか、仕事や勉強、リラックスするなどさまざまな目的で過ごす場所となります。とりわけLDKの中心であるリビングの居心地を左右するのが、一番大きな家具になるソファの配置です。

大切なのは、室内で人が移動するときの経路、生活動線の確保をすること。例えばソファでテレビを見ているときにトイレに行く家族が前を横切ると小さなストレスになりますよね。

以下のリフォーム事例を参考に、解説しましょう。
リフォーム前の縦長LDKにソファを置く場合、広さとのバランスで必然的に壁面・窓際・キッチンなどに寄せることになります。すると、家族が移動するときに前を通ることに...。一方、リフォーム後の横長LDKは、空間のゆとりもあり十分な生活動線を確保できるため、ソファの背面を人が通る配置が可能です。

一般的に、人の移動のために必要な通路幅は約60㎝程度といわれています。ダイニングスペースとの距離やカーテンの開け閉めを考慮したい窓際に家具を置く場合など、LDKのレイアウトの目安として覚えておきたいサイズです。大柄な家族がいるならもう少しゆとりがあってもいいでしょう。
生活動線は、短くシンプルが機能的です。リビングの選び方とは、形状で決めるのではなく、どのような過ごし方をして、どんな家具を配したいか、そして生活動線はどうなるかをイメージすることで判断もしやすくなるはずです。

▶リフォーム事例の詳しい情報はこちらをご覧ください。
こだわり素材でつくるモダン空間 | 阪急阪神のリフォーム(8984.jp)

▶リビングの形状別ポイントは、以下の関連記事をご覧ください。
マンション購入で気になる間取りプラン。選び方のポイント (8984.jp)

身体にフィットするサイズで、家事効率の良いキッチンに

家の中で作業するといえば、掃除・洗濯・料理。これらを効率よく片付けるためには家事動線をチェックしておくことが大事です。リビング同様、人の動きがポイントですね。ここでは家事効率が良いキッチンについて整理してみましょう。

キッチンの形状は、大きく3つに分かれます。リビングダイニングが見渡せる対面型、壁側に向かって料理する壁付け型、リビングダイニングと別空間にする独立型となります。
いずれの形状のキッチンでも、使いやすさは以下の動作を考えて確認します。

1.ムダな動作や歩数が増えないために、位置関係と使う人の手が届く範囲を確認
シンクとコンロ、冷蔵庫の間の移動距離は?左右に手を広げてどこまで届く?ワークトップ(作業台)の奥行や腕を後ろに引くなどの動作も想定してみましょう。

2.家族で料理をする、配膳や片付けは協力し合うなど複数人が入った時の距離感を確認
収納や冷蔵庫の開き戸、カトラリーなどの引き出しの開閉で余裕はどれぐらい?料理中に後ろが人を通るなどを想定して通路幅のゆとりも確かめてみましょう。

3.ワークトップや収納の高さを確認
もっとも多く使う人の身長に合わせて検討しましょう。ワークトップが高すぎると包丁に力が入らなかったり、逆に低すぎれば腰に負担がかかります。

調理をするワークトップや、吊戸棚などのサイズは身長と相関関係のある設備です。ワークトップの高さはJIS規格で決められていて、80・85・90・95cmとなっています。適切な高さを割り出す計算式は『身長÷2+5cm』、例えば、身長が160㎝なら85㎝の高さがジャストフィットということになります。身長の違う家族での使用も多いキッチンなら、やや高めを選び、背丈が低い側が厚めのサンダルを履いたり、マットを敷くといった調整で使い勝手がよくなるでしょう。

吊戸棚は、それ自体の高さが50~90cmであることが一般的ですが、設置されるキッチンの天井高によって適切なサイズも異なります。吊戸棚の下端が目線より10~15cm下の位置にあると、棚の中がよく見え、モノを出し入れしやすいといわれています。目線の高さの目安は『身長―10cm』。ワークトップから吊戸棚までの空間をアイレベルゾーンと呼び、この空間が適切であれば、ムダな動きがない、家事効率の良いキッチンになります。

▶キッチンの形状別ポイントは、以下の関連記事をご覧ください。
フォーム前に知っておきたい!キッチンの種類と特徴(8984.jp)

まとめ

住まいは、人の動きと人のサイズを考えて作られていますが、ライフスタイルや住む人のサイズは千差万別。例えば身長は同じでも、手足の長さは人によって違うため、住まいの中で不便を感じることに違いもあるでしょう。

自分たちの最適なサイズにこだわった住まいは、動きのムダがなく、使いやすい。つまり、住み心地が良く快適な暮らしができるということになります。
間取りで悩んだ時は、行動や動作という観点でチェックしてみるのはいかがでしょうか。

不動産に関するお悩みやお困りごとは、『阪急阪神不動産』にぜひご相談ください。

※2023年7月14日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。