すまいのスタディ

2025.05.17

住宅設備・家電製品の寿命と買い替え時期とは?

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新居を購入して新生活がスタートするとき、
新しい住宅設備に、新調した家電製品や家具など、
気持ちも暮らしもリフレッシュします。

でも、日々の快適な暮らしを支える住宅設備や家電製品は、
使い始めたときから劣化が始まっています。
故障、動かなくなるといった事象が起こるのは、突然のこと。
そうなると日常生活に支障がでるだけではなく、予定外の出費でお財布も痛い。

お住まいの住宅設備と家電製品、「だいぶ使い込んでいるな」と思った方、
「いつ買い換えたらいいの?」「寿命はどう判断するの?」と疑問に思う方、
今回は、寿命と買い替え(交換)時期について調べてみました。
ぜひ、参考にしてみてください。

住宅設備:給湯機器や水回りの耐用年数とは? 

住宅設備の寿命を判断する目安のひとつとして、減価償却資産(時間の経過によって価値が減少する資産)の耐用年数表が挙げられます。国税庁が公表している確定申告用の資料ですが、本来、事業主による確定申告の際に用いられています。このため、確定申告の必要がない給与所得者が目にすることはほとんどない資料かもしれません。
この耐用年数表では、建物付属設備(電気設備、給排水・衛生設備、ガス設備)の耐用年数は15年となっています。
もちろん、給湯機器やキッチン、バスルーム、トイレなど設備によって耐用年数は異なります。使用できる期間も、その世帯の家族数や使い方、使用頻度、メンテナンスの状況次第で違ってきます。
耐用年数≒住宅設備の寿命とはいいきれないため、10~15年をひとつの目安と捉えておくとよいでしょう。では、買い替えのタイミングはどのように見極めるとよいのでしょうか。
出典元)国税庁【確定申告書等作成コーナー】-耐用年数(建物/建物附属設備) 

住宅設備:給湯機器や水回りの買い替え時期とは?

住宅設備が古くなり、故障してからの買い替えが、日常生活に大きく影響することは想像に難くありません。また、キッチンやバスルーム、トイレにはさまざまな機器やパーツがあり、個別に故障するたびに、修理か交換かの判断が必要です。

住宅設備の交換タイミングをチェックするポイント

◎給湯機器
古くなった給湯機器を使い続けると、エネルギー効率が低下し、運転コストが上がります。ランニングコストの上昇は家計にも影響するためチェックしておきたいですよね。給湯機器の寿命、交換時期を示すサインは主に以下の通りです。
・異音がする、給湯温度が安定しない、サビが目立つ、水漏れがある、異臭や煙の発生、リモコンのお知らせにエラーコードや警告ランプが表示されるようになった
◎キッチン
システムキッチンの機器やパーツもさまざまです。使用頻度などによりそれぞれの劣化度合いは違いますが、目安にできる現象を確認してみましょう。
・ガスコンロ:着火しない(しにくい)、火力が安定しない、炎の色が違う
・IHクッキングヒーター:温度調整ができない、異音がする、トッププレートにひび割れや破損している箇所が見られる
・レンジフード&換気扇:異音がする、不規則にファンが回転する、油汚れが定着して掃除をしてもきれいにならない、風量切り替えなどのスイッチが反応しない
・水栓:水量が不安定、水漏れがある、蛇口をひねると異音がする、蛇口がグラつく
・食洗機:洗浄力の低下、異音がする、水漏れがある
・シンク :傷やへこみが目立つ、ひび割れ、変色や退色している、汚れやサビの定着
◎バスルーム
キッチンと同じくさまざまな機器やパーツに分かれています。水栓や換気扇などの不具合のほか、注意したいのが防水性能の低下。タイルやユニットバスのつなぎ目にヒビ割れが生じたり、浴室や洗面台の壁と隙間などのつなぎ目にあるゴムパッキンのようなコーキングが剥がれたりすることがあるのでチェックしましょう。
◎トイレ
トイレは、陶器で作られているため本体は劣化しにくいものです。でも、近頃のトイレは、洗浄や暖房など家電製品並みの機能を持っているので何十年も使い続けることは難しいといわれています。経年によって不具合が起きると溢れを引き起こす可能性も高まります。
・タンク:水が止まらない、水が貯まらない(貯まるのが遅い)、レバーハンドルが戻らない
・床、タンクとノズルの間、ノズル:水漏れがある
・便器:水が溢れる、詰まる、流れない、逆流する

住宅設備の「買い替えどきかも?」のサインに気づいたら、早めに専門業者に連絡し、修理で済むか、交換が必要かを相談してみましょう。
水回りは20~30年経過すると大掛かりなリフォームの検討を要するケースも少なくありません。10~15年で寿命を迎える機器やパーツの修理・交換を重ねることは、結果的に費用がかさみ、買い替えたほうがコスト効率として良かったという場合もあり得ます。
リフォームで本体ごと買い替えることも検討できるよう、寿命の目安となる時期に向けた計画的な費用の準備が大切だといえます。

家電製品:エアコンや冷蔵庫、洗濯機、掃除機の耐用年数とは? 

家電製品の寿命は、国民の暮らしや消費傾向を把握するために内閣府が月次で発表している消費動向調査がひとつの目安となっています。この調査には "主要耐久消費財の買替え状況"(年1回・毎年3月実施)という項目があり、定められた品目に対して買い替えまでの期間とその理由を数値化しています。実情に近い参考データだといえます。

図表1)

図表1出典元)内閣府『消費動向調査』 主要耐久消費財の買替え状況2025(令和7)年3月調査より一部抜粋

家電製品:エアコンや冷蔵庫、洗濯機、掃除機の買い替え時期とは?

先に挙げた家電製品の調査対象品目のうち、赤枠で囲った"エアコン・冷蔵庫・洗濯機・掃除機"は、毎日のように使うもの。特に、エアコンが猛暑の夏に故障したならどうなることでしょう。
修理・点検の依頼をしてもなかなか業者に来てもらえない。買い替えと決めても、交換の工事には日数を要することが多く、健康にも影響しかねません。
では、買い替えの理由として、圧倒的に数値が高い"故障≒寿命"、そのサインとは?

家電製品の交換タイミングをチェックするポイント

「あれ、いつもと違う?」と思った時はひとつのサインです。以下、調査対象品目の赤枠の家電に絞って「買い替えの時期が近いかも?」の症状を簡単にまとめています。
・エアコン:設定温度になりにくくなった、リモコンで操作できない、異臭がする、水漏れがある、異音がする、運転中に漏電ブレーカーが落ちる
・冷蔵庫:冷えない、氷が作られなくなった、水漏れがある、異音がする
・洗濯機:途中で止まって動かなくなる、脱水・乾燥ができない、異音がする
・掃除機:本体がいつもより熱い、焦げ臭いにおいがある、吸引力が弱まった、途中でとまる、動かない、異音がする

メンテナンスや汚れを取るなどのお手入れで、使用を継続できるケースもあります。メーカーの相談室などに症状を伝えて修理できるのか、買い替える方が望ましいのかを早めに相談してみましょう。

+One Point

築11年の我が家でも、寿命のサインに気づかず給湯機が故障。
リモコンにエラーコードが表示されたため、メーカーに問い合わせた後、業者に点検を依頼したところ、一部の劣化した部品の交換であと5~6年は使用可能と判断されました。
しかし、部品の取り寄せから交換作業まで、トータル5日間はお湯が使えない=お風呂にも入れない。毎日、銭湯やサウナなどを探して巡るという日々に。
確かに、給湯機本体内部を確認させてもらったところサビや汚れが目立ちました。
幸い交換部品の在庫がメーカーにあったため、修理で対応し、全体交換の3分の1程度の費用で済みました。

住宅設備や家電製品には、"補修用性能部品の保有期間"が定められているものがあります。
補修用性能部品とは修理で必要な予備の部品で、保有期間は主にその製品の製造終了後もその部品を在庫としてとっておく期間のことです。
対象となっている製品、保有期間を定めている製品はメーカーのホームページなどで確認が可能です。こちらも買い替えを判断する材料のひとつとして参考にしてはいかがでしょうか。
参照元)全国家庭電気製品公正取引協議会:補修用性能部品表示対象品目と保有期間

※情報提供日:2025年4月26日