ぐるり街めぐり〈兵庫・神戸三宮編〉
小さなあとりえ*蕾
坂の上に建つ、わずか1坪の、絵本の世界のような小屋へようこそ
異国情緒漂う北野異人館街に向かって、阪急神戸三宮駅の北側からまっすぐ伸びる北野坂をのんびりと上って行きます。坂を上りきって天神坂へ移ると、その少し先に周囲とは趣の異なる外観の『小さなあとりえ*蕾』が。ちょこんとした煙突屋根や風合いのある外壁、煉瓦を敷き詰めたエントランス...。まるで絵本から飛び出してきたようなメルヘンな世界が目の前に現れ、これが現実に存在していることに喜びがこみあげてきます。小屋の中はわずか1坪ほど。この小さな空間に、店主の岡飛鳥さんがセレクトしたハンドメイドの雑貨やアクセサリーがぎっしり詰まっているのです。

岡さんは、もともとフラワーショップに勤め、結婚式の装花やブーケ、フラワーアレンジメントなどを手がけていました。そのうち、「自分でお店をやりたい」と思うように。「お花屋さんも考えましたが、子育てしながらだと体力的にも時間的にも難しい。それなら、もうひとつ大好きだった"手づくりのもの"を扱いたいな」と、夢に向かって突き進むことを決意したそうです。その後、ちょうどいい場所が見つかり「オーダーメイドした小屋」を設置。晴れて2009年4月1日にオープンしました。

キュートで繊細。岡さんワールドのセレクト基準は「心が動いたもの」
小さな紙のおうちやビーズ編みのがま口、九谷焼のポップな器に木製の腕時計...。店内を彩るのは、岡さんが手づくり雑貨市やクラフトフェアなどに足を運んで選んだモノたちです。実際に見て、触れて、気に入った作品をまず自分用に買って使ってみて、「いったん少し寝かせる」のが岡さん流。使いやすさや使用頻度、「やっぱり好き!」を再認識してから、つくり手とコンタクトをとるようにしているのだとか。売れ筋やトレンドなどはあまり気にせず、「私のお店なのだから、私の気持ちが動くモノを選んでいます」と岡さん。一貫した"わがまま"なセレクト基準で、独自の世界観がカタチづくられています。

岡さんが最初に心惹かれたというのが、『アトリエCROCHET』のアイリッシュ・クロッシェレースです。縫い糸ほどの細い糸を手仕事で編んだアイルランドのレース編みのなんと繊細なこと! はかなげな見た目なのに、「使ってみると丈夫なこともわかり、いっそう愛おしくなりました」。今では付き合いのある作家さんは約30人に増え、常時店内に並ぶのはその半分の方々の作品。月替わりで作品展も開き、"手と時間と発想を重ねてたくさんの楽しい物語をつくる" 作家とその手仕事を紹介しています。ひと目惚れで決めるもよし、じっくり向き合って選ぶもよし。一緒に生活したい"相手"を見つけたら、迷わず連れて帰りましょう。

【この街が好き/STAFF VOICE】

三宮は、人やモノや風景がミックスされたエキゾチックな街並みが新鮮
北野は三宮の山手にありながら、意外と海も近くに感じられます。新しいモノと古いモノも人種もまぜこぜで、ほかにはない独特の雰囲気が魅力ですね。観光スポットとしては異人館が有名ですが、さまざまな宗派や建築様式の寺院巡りでもエキゾチックな街並みを楽しめますよ。私は大阪から神戸に移り住んで17年以上経ちますが、いまでも何かしら新しい発見があり、新鮮さが色褪せない街です。
小さなあとりえ*蕾 店主 岡飛鳥さん

●小さなあとりえ*蕾
営業時間/11:00〜16:00
定休日/日曜・月曜・火曜
電話/078-261-0156
神戸市中央区北野町2-12-11
https://www.instagram.com/chikkoi_tsubomi
※休業日等については、インスタグラムをご確認、もしくはお問い合わせください。
◇記載しています営業データ・商品・価格等は2025年4月30日時点の情報です。
◇時期によってはメニュー内容や商品・価格が変更になっている場合があります。
◇表示価格はすべて税込です。