ぐるり街めぐり〈兵庫・西宮北口編〉
おでんでん
おでんに日本酒、グランドピアノ。くすっと笑えるユーモアを添えて
阪急西宮北口駅の北西側に、ほどよい賑わいを見せる『にしきた商店街』があります。その一角の雑居ビルの階段を上がると、つきさした斧をドアノブにした山小屋風の扉が。恐る恐る店内に入ると、目の前には一枚板のカウンター席。そして奥に見えるのは、スタインウェイのグランドピアノ。「ここは何のお店?」と第一印象から胸が高鳴ります。マスターは、同エリアで約30年も飲食店を営んできた泉高広さん。当時営業していたイタリア料理店をリニューアルする時、自身がメンバーとして酒造りに関わっていた日本酒「おでんでん」からひらめいて、「『おでんでん』やから、おでん屋をやろう!」とダジャレで開いた日本酒とおでんのお店です。

「自分のしたいことをする」がモットーの泉さん。お店づくりにもその考えが反映されています。おでん種は、厚揚げ、ちくわ、ごぼ天といった定番もありますが、「カロリー控えめだから好き」というコンニャクメニューは特に充実。『結び糸コン』『長~い糸コン』『玉コンだんご』『赤コン』『糸コンペペロンチーノ』『糸コンカレー』...と、メニュー名だけでも興味をそそられるラインナップ。一番人気はコンニャクと大根などが入った『おためしセット』。また、1階の『桜咲くころ』も泉さんがオーナーの居酒屋なので、焼鳥や馬刺しを注文して同店で味わうこともできます。

"ちょうどよい"距離感で心地よく。マスターと心通わせ1曲リクエスト
「全部、適当なんです。つまり、ちょうどよいということ」と笑う泉さん。お客さんに対しても、"ちょうどよい"感じを心掛けているのだそう。「しゃべりかけてくれればしゃべりますし、しゃべらないのもいい。飲み物グラスが空になっても、こちらから注文を促すような声掛けはしません。すべて、その人のペースに合わせて」。それぞれが過ごしやすいペースや空気があるからこそ、あまりの居心地のよさに長居するお客さんが多いといいます。

同店の最大の注目は、なんと言ってもピアノです。「私に一杯おごってくれたら、ショパンの『ノクターン』を演奏しますよ(笑)」とジョークを飛ばす泉さん。じつは泉さんの肩書のひとつが"ピアノ弾き"。以前は県立西宮高校の音楽科で非常勤講師を約11年間務めていました。そんな元教師のピアノバー経営者を描いた小説のモデルでもあり、その原作をモチーフにした映画『にしきたショパン』(2021年公開)では"達磨先生"として出演も。話題に事欠かない泉さん。おいしいおでんや泉さんとの会話を楽しみたい方はぜひ訪れてみてください。

【この街が好き/STAFF VOICE】

近隣には飲食店が充実。「今日はこれ食べたい」気分に合わせられます
『にしきた商店街』周辺は飲食店がいっぱいあります。イタリアンもあればカレー店もあるし、うどん屋にそば屋、昔ながらの喫茶店も。「今日はイタリアンかな」「今日はカレー!」と、その時々の気分に合わせて選べる楽しさがありますね。
おでんでん マスター 泉高広さん

●おでんでん
営業時間/17:00~23:30(23:00L.O.)
定休日/不定休
電話/0798-63-7826
西宮市甲風園1-7-10 2F
※休業日等については電話でお問い合わせください。
◇記載しています営業データ・商品・価格等は2024年12月1日時点の情報です。
◇時期によってはメニュー内容や商品が変更になっている場合があります。
◇表示価格はすべて税込です。