すまいのスタディ

2023.02.14

脱炭素社会の実現を目指す日本。低炭素住宅ってどんな家?

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カーボンニュートラル実現を目指す社会で、住宅に求められること

世界各地で気象災害が頻発し、地球温暖化の進行を誰もが実感する時代です。日本は、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする、"2050年カーボンニュートラル"の達成を目指しています。

この目標に向けて住まい関連の制度や法律が毎年のように改正されており、2022年10月1日には、『低炭素住宅』『長期優良住宅』など認定住宅の基準値が見直し施行されました。今回の記事では、主に『低炭素住宅』とはどんな住宅か、引き上げられた認定基準はどのような内容か、建てる際に受けられるメリットにはどのようなものがあるのかなどをまとめてみました。また、同じ認定住宅の『長期優良住宅』との違いにも触れながら「脱炭素社会の住まい」を考えてみましょう。

『低炭素住宅』とは、環境に優しく快適なエコ住宅のこと

『低炭素住宅』とは、温室効果ガスの中でも影響力の大きい二酸化炭素(CO2)の排出量を抑制する機能を備えた住宅のことです。日本はCO2排出量の約3分の1を住宅・建築物に関連する部門が占めており、その約5割は都市部から排出されています(※)。

こうした背景から、2012年12月に施行されたエコまち法(都市の低炭素化の促進に関する法律)に基づき、市街化区域等に建設される住宅を対象に『低炭素住宅』の認定制度がスタートしました。

『低炭素住宅』の基準をクリアし認定を受けることで、環境にやさしいだけでなく、社会貢献にもつながるエコ住宅へ。もちろん、導入する設備や断熱性能などが高い住宅になるため、快適な日々の暮らしが叶えられます。

※参照元:国土交通省
都市計画:CO2排出量と都市構造 - 国土交通省 (mlit.go.jp)
Microsoft PowerPoint - 資料2 住宅建築物に係る二酸化炭素の排出量及び削減量について (mlit.go.jp)

『低炭素住宅』の認定を取得する基準とは?

『低炭素住宅』として国からお墨付きをもらえる現行の認定基準を以下の表にまとめています。省エネ性能はZEH水準をクリアすることが要件とされ、再生可能エネルギー利用設備の導入が必須であることもポイントです。

▶参照元:国土交通省
エコまち法に基づく低炭素建築物の認定制度の概要(mlit.go.jp)
誘導基準の見直し(建築物省エネ法) 及び低炭素建築物の認定基準の見直し(エコまち法)について(hyoukakyoukai.or.jp)

■認定住宅の『低炭素』と『長期優良』は、どう違うの?

『低炭素住宅』と『長期優良住宅』、さらには『ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)』と省エネ住宅の種類はわかりにくいですよね。違いの前に、上記の図表にある"ZEH水準の省エネ性能"について先に解説しておきましょう。

◎認定住宅とZEHの基準値は共通
2022年4月1日、日本住宅性能表示基準が一部改正し施行されています。住宅の誘導基準に適合するのは「断熱等性能等級5、一次エネルギー消費量等級6」と明示されました。ちなみに誘導基準とは、省エネ性能向上の促進を誘導すべき基準のことで、省エネ基準よりも高い水準の性能が定められています。

上記図表①の外皮性能とは、外皮(屋根・外壁・窓など建物の外側)の遮熱や断熱などの熱性能を評価する値。② の一次エネルギー消費性能とは、冷暖房設備・換気設備・給湯設備・照明設備等で消費するエネルギーの削減量を換算。この①② の誘導基準内容は、現行のZEH基準と同等であり、省エネ性能に関して認定住宅はZEHと同水準をクリアすることが求められているとわかります。

◎優遇制度などの違いは?
いずれも一般的な住宅よりも高い省エネ性能を備え、CO2削減に貢献する環境性能の高さを国から認められた住宅です。住宅ローン控除や補助金、税金面などで優遇を受けられるという共通メリットがあります。

認定住宅の住宅ローン控除は、同一条件かつ最大の借入限度額が適用されています。住宅ローンの借入時は引き下げ金利の優遇があり、『低炭素住宅』は省エネルギー性の条件がクリアできるため、当初10年間は0.25%引き下げられる【フラット35】Sの金利Aプランが利用可能。『長期優良住宅』の場合は【フラット35】S(ZEH)を組み合わせることで、当初10年間を0.5%の金利優遇が受けられます。

優遇制度に差があるのは認定基準の違いからです。『低炭素住宅』は"省エネルギー性・再生可能エネルギーの活用・低炭素化のための措置"と3つの要件で認定基準をクリア。対する『長期優良住宅』の場合、"劣化対策・耐震性・維持管理と更新の容易性・省エネルギー性"などの項目それぞれで認定基準を満たす必要があります。つまり、『低炭素住宅』の方が、『長期優良住宅』よりも認定取得が容易だといえるでしょう。

ほかに、こどもエコすまい支援事業、地域型住宅グリーン化事業補助金などの補助金制度、所得税(投資型減税)や登録免許税の軽減、さらに住宅取得等資金の贈与特例といった優遇措置があります。『低炭素住宅』を検討される際には、対象や要件を国土交通省のホームページで確認されることをおすすめします。

すまいのスタディでは、関連する記事を以前にご紹介しています。あわせてご参照ください。

▶関連記事:
長期優良住宅について
人生100年時代の「長く、快適に暮らし続けられる家」 | 阪急阪神すまいのコンシェル (8984.jp)
◎住宅ローン控除の条件について
住まいの見直しタイミングは、ライフスタイル変化だけじゃない! | 阪急阪神すまいのコンシェル (8984.jp)
▶参照元:【フラット35】Sの対象となる住宅:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】 (flat35.com)
▶参照元:住宅:令和4年度 支援事業一覧 - 国土交通省 (mlit.go.jp)

まとめ

環境性能が高い『低炭素住宅』は、価格上昇傾向にある光熱費を抑え、断熱性の高い快適な住空間で生活できることも魅力です。さらに、認定を受けることで容積率の緩和が認められ、低炭素化に必要な蓄電池の設置などに要する床面積を容積率に含まなくてよいということもメリットといえるでしょう。

認定住宅を建てる場合、地域を選ばない『長期優良住宅』に対し、『低炭素住宅』は市街化区域内でなければ建設できないという制限があります。また、認定住宅は基準を満たすための設備等がコストアップとなり、認定取得手続きに費用も発生します。これらは税制などの優遇措置によって差し引かれるとも考えられますが、長期的な視点でメリット・デメリットを検討することが大事です。

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※2023年2月14日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。