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2025.09.19

《大阪・中津》

履くほどに愛着が深まる。綿花から育てる日本製ジーンズの店

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ぐるり街めぐり〈大阪・中津編〉
サムライ大阪梅田本店

無骨で、美しい。細部に宿る魂が心を打つ

店の前には、目を奪われるブルーのクラシックカー。デニムの藍を思わせる鮮やかさで、街中で異彩を放っています。その脇にある階段をのぼると現れるのが、江戸時代の家屋のような『サムライ大阪梅田本店』です。1998年に開業し、「厚手のヘビーオンス(15~25オンス)ジーンズといえばここ」と、国内外に名を広めてきました。太い糸を織るための織機や、それを縫い上げる高度な技術が必要なヘビーオンスジーンズは、生産できる環境が限られています。その希少な条件を整え、挑み続けてきたのがこのブランドです。今は綿花から育てる「サムライ自家製ジーンズプロジェクト」にも注力。知れば知るほど、一本への愛着が強まります。

イチ押しモデル「18oz 藍+サムライコットンセルビッチデニム 藍+」
写真は『S500AX 18oz藍+モデル』33,800円。太ももはやや細め、裾にかけて自然に絞られたストレートシルエット。ウエスト後ろの革のタグには"昔ながらの製法で藍染めをする職人"のイラストが。ボタン、ポケットの縁にある金属製のパーツや内側の布地に至るまで、すべてが独自仕様。妥協なきものづくりの姿勢が伝わる。

イチ推しモデルは、『18oz 藍+サムライコットンセルビッチデニム 藍+』シリーズ。兵庫・丹波篠山で無農薬栽培した和綿・サムライコットンの素朴な風合いと、深みのある藍色が出会い、唯一無二の表情を生んでいます。織りは表面に自然なムラが出る硬めの糸と和綿を混ぜた糸を使用、ざらりとした手触りとラフで無骨な風合いに。天然藍は本来、"手染め"しかできませんが、インディゴ染料を特殊な手法で混ぜ合わせることで機械染めが可能となり、"色落ち"も楽しめる染色方法を実現しました。江戸時代に途絶えたとされる和綿と、受け継がれてきた藍染め。日本の伝統が息づく、特別なジーンズです。

サムライ自家製ジーンズプロジェクト紹介コーナー
店内の一角にある『サムライ自家製ジーンズプロジェクト』の紹介コーナー。3月~10月には毎月綿づくりイベントが開催され、同店の常連客も含めて、毎回約50人が参加。2025年春には、綿からジーンズができるまでを体験できる施設「SASAYAMA COTTON BASE」を兵庫・丹波篠山にオープンした。

チャレンジ精神もジーンズの一部。物語ごと、履きこなす

ジーンズだけでなく、Tシャツやジャケットなどのトップスから、遊び心あふれる小物まで、同ブランドならではのこだわりが息づくアイテムも揃います。バッグや帽子といった小物の多くは、ジーンズやシャツをリメイクしたもの。一点もので、生地やパーツの組み合わせによって表情が異なり、"自分だけ"のお気に入りを見つけるのも楽しみのひとつです。実用性と遊び心、そしてつくり手の熱意。それらが一つひとつに宿っていて、店内をめぐるだけでも心が躍ります。

ソファの上に並べられたTシャツや人形、ハンカチ、マヨネーズなどの商品
(写真上段左から)本店でのみ買える『ドッグウェア』9,680円、表情が愛らしい『SJFDⅡ-D デニムカエルドール』5,500円、サムライコットンの綿実油を使った『SAMURAI マヨネーズ』1,296円。(写真下段両端)柄選びが楽しい『タオルハンカチ』1,320円、 (写真下段中央)『へヴィーウエイトTシャツHJST-101』9,350円。

「他がやっていないことをやる」。そんな姿勢を貫き、挑戦を重ねてきたサムライジーンズ。春夏・秋冬に行われる年2回の展示会では、毎回4~5シリーズの新作を発表しています。柿渋や藍による染め、綿以外の素材を組み合わせたものなど、遊び心とチャレンジ精神に富んだラインアップです。「ヘビーオンスジーンズの魅力は、タフさと履きごたえ。最初はその硬さに驚かれる方もいらっしゃいますが、履きこむほどに色が落ち、身体になじんで、風合いが出てくる。"育てていく"感覚を楽しんでもらえたら」と語るスタッフの垰慎一朗さん。糸になる前の綿花づくりから始まる、一本のジーンズとの出会い。時間とともに、味わいも愛着も深まっていきます。

サムライ大阪梅田本店の店内
店内は、和と洋がミックスした不思議な空間。ジーンズには「藍+」「男気」「極」といった力強いシリーズ名がついているが、いずれもユニセックス。「芸者」シリーズは女性向けで、キッズ用もある。

【この街が好き/STAFF VOICE】

サムライジーンズ スタッフ 垰慎一朗さん(写真右)、仲西剣心さん

都会のすぐそばの、静けさと懐かしさのある街

梅田から歩いてすぐとは思えないほど、中津に足を踏み入れると、空気がふっとやわらぎます。人通りは多くなく、静かで落ち着いた雰囲気の中、ゆっくりと買い物や食事ができるのがいいところですね。人気のセレクトショップや話題の飲食店なども増えていて、新しい流れを感じる一方で、昔ながらの商店街も残っていて、どこか懐かしい温かさもあります。今と昔がほどよく混ざり合っている感じが、この街ならではの魅力です。
サムライ大阪梅田本店スタッフ 垰慎一朗さん(写真右)、仲西剣心さん


青い車が飾られているサムライ大阪梅田本店の外観

●サムライ大阪梅田本店
営業時間/11:00~19:00
定休日/不定休
電話/06-6371-3601
大阪市北区中津2-5-5 2F
https://www.samurai-j.com/
https://www.instagram.com/samurai_jeans_head_shop/
※休業日等については、インスタグラムをご確認、もしくはお問い合わせください。

●SASAYAMA COTTON BASE
営業時間/10:00~18:00
定休日/不定休
電話/079-552-3601
兵庫県丹波篠山市野間400
https://www.samurai-j.com/s-projects-side-by-side-1
https://www.instagram.com/samurai_cotton_project/?hl=en

◇記載しています営業データ・商品・価格等は2025年8月1日時点の情報です。
◇時期によってはメニュー内容や商品・価格が変更になっている場合があります。
◇表示価格はすべて税込です。

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