「この家は地震に強いのか」「断熱性能は十分なのか」等、住宅購入を検討する際、目に見えない性能への不安を抱く方もいるでしょう。
住宅性能評価書は、国が定めた共通ルールに基づき、第三者機関が住宅の性能を等級で「見える化」した書類です。
本記事では、住宅性能評価書の基礎知識から10分野の評価項目、取得によるメリット・デメリット、費用の目安、申請の流れ、中古住宅での活用法、最新の交付実績データまでを体系的に解説します。
住宅性能評価書とは

住宅性能評価書は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づき、登録住宅性能評価機関が住宅の性能を評価・表示した公的な書類です。
構造の強さや省エネ性能等を共通の基準で数値化・等級化するため、異なるハウスメーカーや工法で建てられた住宅であっても、同じ「モノサシ」で性能を比較することができます。
本章では、以下の内容を解説します。
- 設計住宅性能評価書|設計図書をもとに性能を評価
- 建設住宅性能評価書|現場検査で施工品質を確認
設計住宅性能評価書|設計図書をもとに性能を評価
設計住宅性能評価書は、設計段階の図面や仕様書をもとに住宅の性能を評価した書類です。登録住宅性能評価機関が設計図書を審査し、10分野の項目について設計上の性能を等級で示します。
設計住宅性能評価書の取得は、後述する建設住宅性能評価書を取得するための前提条件でもあり、まず設計段階で申請を行う流れが基本です。
参考:国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律」
参考:国土交通省「新築住宅の性能表示制度 かんたんガイド」
建設住宅性能評価書|現場検査で施工品質を確認
建設住宅性能評価書は、施工段階および完成段階で評価機関の検査員が現場検査を行い、設計どおりの施工がなされているかを確認したうえで交付される書類です。
設計住宅性能評価書が「設計図上の性能」であるのに対し、建設住宅性能評価書は「実際に建てられた住宅の品質」を証明します。
現場検査は原則4回実施されます(3階建て以下の住宅の場合)。また、建設住宅性能評価書を取得していれば、万一トラブルが生じた際に指定住宅紛争処理機関を1万円の手数料で利用できます。
参考:国土交通省「評価方法基準」
参考:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」
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評価制度の仕組みや、設計と建設どちらの評価書が必要なのかを、ご自身だけで判断するのは難しいと感じる方もいるのではないでしょうか。 ≪ジオガーデン≫ 公式サイトはこちら |
住宅性能評価書で評価される10分野と必須4分野

住宅性能評価書では、住宅の品質を10分野・33項目で多角的に評価します。このうち4分野は評価が必須で、残り6分野は申請者が自由に選択する仕組みです。
本章では、以下の内容を解説します。
- 【必須】構造の安定(耐震等級)
- 【必須】劣化の軽減(劣化対策等級)
- 【必須】維持管理・更新への配慮
- 【必須】温熱環境・エネルギー消費量(省エネ等級)
- 【選択】火災・空気環境・光・音・バリアフリー・防犯の6分野
【必須】構造の安定(耐震等級)
構造の安定は、地震・暴風・積雪に対する住宅の強さを評価する分野です。耐震等級1は建築基準法レベル、等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の耐震性能を示します。
耐震等級は地震保険料の割引率にも直結し、等級3を取得すれば保険料が50%割引になります。耐風等級も同じ分野に含まれ、等級2(最高等級)は建築基準法施行令に定める暴風の力の1.2倍に耐える性能を意味します。
参考:財務省・損害保険料率算出機構「地震保険基準料率表」
【必須】劣化の軽減(劣化対策等級)
劣化対策等級は、構造躯体に使われる材料の劣化を遅らせるための対策がどの程度講じられているかを評価する分野です。
等級3(最高等級)であれば、通常想定される自然条件及び維持管理の条件のもとで3世代(おおむね75〜90年)まで、大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するために必要な対策が講じられていることを意味します。
木造住宅の場合、防腐・防蟻処理や床下換気の措置が評価対象です。鉄筋コンクリート造では、コンクリートのかぶり厚さや水セメント比が確認されます。
【必須】維持管理・更新への配慮
維持管理・更新への配慮は、給排水管やガス管等の配管類について、点検・清掃・補修・更新を容易に行えるかどうかを評価する分野です。
等級3(最高等級)では、掃除口や点検口が適切に設けられ、配管の更新を構造躯体に影響を与えずに行える設計がなされています。
「配管の交換のために壁を壊さなくてはならない」という事態を避けるための評価項目です。住宅の寿命は構造躯体だけでなく設備更新のしやすさにも左右されるため、見落とされがちですが実用上の価値が高い分野です。
【必須】温熱環境・エネルギー消費量(省エネ等級)
温熱環境・エネルギー消費量は、断熱性能と一次エネルギー消費量の2つの観点から省エネ性能を評価する分野です。
断熱等性能等級は外壁や窓等の断熱性を等級1〜7で表示し(等級7が最高)、一次エネルギー消費量等級は冷暖房・換気・給湯・照明の年間エネルギー消費量を等級4〜8で評価します(等級8が最高。2025年12月に等級7・8が新設)。
2025年4月以降、新築住宅には省エネ基準への適合が義務化されています。断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6を満たすとZEH水準に該当し、フラット35S(金利Aプラン)の金利優遇等を受けられます。なお、フラット35S(ZEH)の金利優遇を受けるには、別途ZEH認定(「ZEH」等の基準への適合)が必要です。
【選択】火災・空気環境・光・音・バリアフリー・防犯の6分野
必須4分野以外の6分野は、申請者が評価を受けるかどうかを任意に選べます。
| 分野 | 評価内容の例 |
| 火災時の安心 | 延焼のしにくさ、避難経路の確保 |
| 空気環境 | ホルムアルデヒド発散等級、換気対策 |
| 光・視環境 | 居室の採光性能(開口率等) |
| 音環境 | 床衝撃音や透過損失等級(主にマンション) |
| 高齢者等への配慮 | 段差の解消、手すりスペースの確保 |
| 防犯 | 開口部の侵入防止対策 |
すべての分野で評価を受ける必要はありません。ただし、評価項目が多いほど住宅の性能を幅広く証明でき、将来の売却時にもアピール材料となり得ます。
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バリアフリーリフォームに活用できる補助金制度については、以下の記事をご覧ください。 >> バリアフリーリフォームは補助金が活用できる? |
住宅性能評価書を取得する6つのメリット

住宅性能評価書の取得には、性能の「見える化」だけにとどまらず、金利優遇や税制面の恩恵等、家計に直結するメリットがあります。
本章では、以下の内容を解説します。
- 第三者機関による公正な検査を受けられる
- フラット35Sで借入金利が一定期間引き下げられる
- 地震保険料が耐震等級に応じて最大50%割引になる
- 贈与税の非課税枠が500万円から1,000万円に拡大される
- 紛争処理機関を1万円で利用できる
- 将来の売却時に資産価値のアピール材料になる
第三者機関による公正な検査を受けられる
住宅性能評価書は、国土交通大臣に登録された第三者の評価機関が審査・検査を実施して交付します。独立した機関がチェックするため、評価の客観性・公正性が担保されます。
建築基準法に基づく通常の完了検査だけでは確認しきれない細部まで検査対象となるため、施工品質への安心感が高まりやすいのが特徴です。
参考:国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律における登録機関」
フラット35Sで借入金利が一定期間引き下げられる
住宅性能評価書で一定の等級を取得すると、住宅金融支援機構のフラット35Sの金利引き下げを受けられます。引き下げ幅と期間は住宅の性能水準によって異なります。
| プラン | 金利引き下げ幅 | 引き下げ期間 |
| フラット35S(ZEH) | 年△0.75% | 当初5年間 |
| フラット35S(金利Aプラン) | 年△0.5% | 当初5年間 |
| フラット35S(金利Bプラン) | 年△0.25% | 当初5年間 |
たとえば、借入額3,000万円(融資率9割以下)・借入期間35年・元利均等返済・借入金利年2.50%のケースでフラット35S(金利Aプラン)を利用した場合、総返済額で約83万円の軽減効果が得られるとされています。
※融資実行時の金利が適用されます。借入限度額等は審査状況により異なります。最新の条件は各金融機関に必ずご確認ください。
地震保険料が耐震等級に応じて最大50%割引になる
住宅性能評価書に記載された耐震等級に応じて、地震保険料の割引を受けることができます。割引率は、耐震等級1で10%、等級2で30%、等級3で50%です。
地震保険は最長5年契約で更新を繰り返すため、割引の恩恵は長期にわたって積み重なります。
参考:一般社団法人日本損害保険協会「地震保険料の試算」
贈与税の非課税枠が500万円から1,000万円に拡大される
親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受ける場合、通常の住宅では非課税限度額が500万円ですが、省エネ性能・耐震性能・バリアフリー性能のいずれかについて一定の基準を満たす「省エネ等住宅」であれば1,000万円に拡大されます(令和6年1月1日~令和8年12月31日の贈与に適用)。
なお、省エネ等住宅に該当することを証明する書類としては「住宅性能証明書」が利用でき、本記事で解説している「住宅性能評価書」とは別の書類です。住宅性能証明書は登録住宅性能評価機関等が発行するもので、贈与税の非課税特例の申告時に添付書類として使用できます。
※税金の計算は個々の状況により異なり、法改正により変更される場合があります。詳細は税務署または税理士に必ずご確認ください。
引用:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
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住宅取得時の資金計画で活用できる非課税措置や諸費用の全容は、以下の記事でも解説しています。 >> 不動産購入の諸費用はいくら?内訳とシミュレーションを分かりやすく解説 |
紛争処理機関を1万円で利用できる
建設住宅性能評価書が交付された住宅であれば、指定住宅紛争処理機関(各地の弁護士会に設置)に1万円の手数料で紛争処理を申請できます。裁判に比べて手続きの負担が軽く、迅速な解決が期待できる仕組みです。
紛争処理の対象は、評価書に記載された性能に関する紛争のほか、請負契約や売買契約に関するトラブルにも及びます。万一の備えとして、建設住宅性能評価書まで取得しておく意義は大きいといえるでしょう。
将来の売却時に資産価値のアピール材料になる
将来の売却時に、買主に対して「新築時に第三者機関がこの等級で評価した住宅である」と示すことができます。性能が「見える化」されている住宅は買主の安心感を高め、購入判断を後押しする材料になり得ます。
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「性能の見える化」は、購入時だけでなく、将来の売却を検討する際にも査定額や購入検討者の反応に良い影響を与える可能性があります。とはいえ、性能評価書をどのようにアピール材料として活かせるのか、適正な売却価格はいくらなのかを個人で見極めるのは容易ではないかもしれません。 公式サイトはこちら |
住宅性能評価書を取得する4つのデメリット

メリットが多い住宅性能評価書ですが、費用面やプランへの影響といったデメリットも理解したうえで判断することが大切です。
本章では、以下の内容を解説します。
- 評価費用に加え高等級化のための工事費も上乗せされる
- 窓を大きくすると耐震等級が下がる等、項目間の相反がある
- すべての住宅会社が対応しているわけではない
- 住み心地やデザインは評価対象外である
評価費用に加え高等級化のための工事費も上乗せされる
住宅性能評価書の取得には、評価機関への手数料と、住宅会社に支払う申請代行費用(図書作成費等)がかかります。
一般的な戸建住宅(延床面積200㎡未満)の場合、評価機関への手数料は設計住宅性能評価と建設住宅性能評価をあわせて15万〜20万円程度が目安です。これに住宅会社の申請代行費用(10万〜20万円程度)を加えると、施主の総負担額は30万〜40万円程度になることがあります。
※評価機関や住宅の規模・構造、選択する評価項目数によって金額は変動するため、依頼先に必ずご確認ください
窓を大きくすると耐震等級が下がる等、項目間の相反がある
評価項目同士は独立しておらず、一方の等級を上げようとすると別の等級が下がるケースがあります。
具体例は以下の通りです。
- 採光性を高めるために窓を大きくすると壁量が減り、耐震等級に影響が出ることがある
- 断熱性能を高めるために窓の面積を抑えると、光・視環境の評価が下がる可能性がある
「すべての項目で最高等級」を目指すと設計の自由度が制約されるため、どの等級を優先するかを明確にしたうえでプランニングを進めることが大切です。
すべての住宅会社が対応しているわけではない
住宅性能評価の申請には、評価基準に対応した設計図書の作成や検査対応が必要です。評価実績が少ない住宅会社の場合、対応に時間がかかったり、追加費用が生じたりすることもあります。
取得を希望する場合は、契約前の段階で住宅会社に対応可否、要する時間と費用の見込みを必ずご確認ください。
住み心地やデザインは評価対象外である
住宅性能評価書が評価する10分野は、構造・省エネ・劣化対策といった「ハード面の性能」が中心です。間取りの使い勝手、内装のデザイン、周辺環境の快適さといった要素は評価対象に含まれていません。等級が高ければ良い住まいとは限らない点を押さえておきましょう。評価書の等級は、住宅の品質を判断するうえでの指標の一つに過ぎません。
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住宅選びでは性能の等級だけでなく、立地・デザイン・暮らしやすさまでをトータルで見極めることが求められます。しかし、これだけ多くの判断軸を一人で整理するのは簡単ではないでしょう。 公式サイトはこちら |
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性能だけでなく価格・設備・税制優遇の面から新築と中古を比較したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 >> 購入するなら新築住宅?リフォームをする中古住宅? |
住宅性能評価書の取得方法と申請の流れ

住宅性能評価書の取得方法は、住宅のタイプによって異なります。
- 注文住宅(新築):施主が住宅会社と相談し、評価項目を選んで申請できる
- 新築マンション:デベロッパーが取得済みで分譲するのが一般的。購入者個人での申請は基本的にできない
- 建売新築戸建:売主が取得済みかどうかで決まる。完成後に買主が取得することはできない
- 中古マンション・中古戸建:「既存住宅性能評価」制度により、買主が現況検査を依頼して取得できる
本章では、施主が主体的に申請を進められる注文住宅(新築)を中心に、設計段階から竣工後の交付までの流れを解説します。
- 事前打合せで評価項目を決める
- 登録住宅性能評価機関へ申請する
- 設計図書の審査を受ける
- 現場検査(原則4回)を受ける
- 評価書の交付を受ける
事前打合せで評価項目を決める
最初のステップは、住宅会社(設計者)と打ち合わせを行い、どの分野の評価を受けるかを決めることです。必須4分野(構造の安定、劣化の軽減、維持管理・更新への配慮、温熱環境・エネルギー消費量)は必ず評価されます。
選択6分野については、費用対効果や将来の活用目的を考慮しながら取捨選択します。フラット35Sの利用を予定している場合は、求められる技術基準を満たす等級が必要になるため、事前にすり合わせておきましょう。
登録住宅性能評価機関へ申請する
評価項目が決まったら、登録住宅性能評価機関に設計住宅性能評価の申請を行います。
申請は住宅会社が代行するケースが一般的です。申請時には設計図書一式、評価申請書等の書類を提出します。
登録住宅性能評価機関は全国に複数あり、国土交通省のウェブサイトで一覧を確認することができます。
設計図書の審査を受ける
申請を受け付けた評価機関が設計図書を審査します。必須項目と選択項目のそれぞれについて、設計内容が評価基準に適合しているかどうか確認が行われます。
審査期間は評価機関や物件の規模により異なりますが、一戸建て住宅で約2週間、共同住宅等で約3週間が標準的な目安です。ただし、評価機関の混雑状況や図面の修正が発生した場合は、さらに長引くこともあるため、余裕を持ったスケジュールを想定しておきましょう。
審査を通過すると、設計住宅性能評価書が交付されます。
現場検査(原則4回)を受ける
設計住宅性能評価書の交付後、着工に進みます。建設住宅性能評価書を取得する場合は、工事の進捗に合わせて評価機関の検査員による現場検査が原則4回実施されます。
検査のタイミングは、基礎配筋工事の完了時、躯体工事の完了時、下地張りの直前の工事の完了時、竣工時です。
設計図書どおりに施工されているかが検査の主眼であり、不適合事項があれば是正の指示が出されます。
評価書の交付を受ける
すべての現場検査を通過すると、建設住宅性能評価書が交付されます。設計住宅性能評価書とあわせて保管しておきましょう。住宅ローン控除の確定申告や地震保険の手続き等で提示を求められるケースがあるためです。
交付後は、引き渡しの際に住宅会社から住宅所有者に評価書の原本が手渡される流れが一般的です。
住宅性能評価書と長期優良住宅の違い

住宅性能評価書と長期優良住宅認定は混同されやすい制度ですが、根拠となる法律と目的が異なります。
住宅性能評価書は品確法に基づく「性能の表示制度」であり、住宅の性能を等級で見える化することが目的です。一方、長期優良住宅認定は「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づく「認定制度」であり、耐震性・省エネ性・劣化対策等の認定基準を満たし、かつ維持保全計画を策定した住宅に対して所管行政庁が認定を行います。
長期優良住宅の認定を受けると、以下のような税制優遇を受けられます。
- 住宅ローン控除:控除対象限度額が拡大される
- 登録免許税:税率が軽減される
- 固定資産税:軽減期間が延長される
- 不動産取得税:控除額が拡大される
両制度は併用も可能で、住宅性能評価の申請と併せて長期使用構造等の確認申請を行えます。
※税金の計算は個々の状況により異なり、法改正により変更される場合があります。詳細は税務署または税理士に必ずご確認ください。
参考:国土交通省「住宅ローン減税」
参考:国土交通省「認定長期優良住宅に関する特例措置」
参考:国税庁「「 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし」
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住宅ローン控除の控除対象限度額や計算方法については、以下の記事で詳しく解説しています。 >> 住宅ローン控除の基礎知識。住まい購入は早めの決断が吉? |
【最新データ】住宅性能評価書の交付実績と普及率の推移

国土交通省が令和7年6月に公表した令和6年度の実績によると、新設住宅着工戸数816,018戸に対し、設計住宅性能評価書の交付戸数は279,010戸で、交付割合は34.2%となりました。交付割合は9年連続で増加しており、過去最高を更新しています。
| 年度 | 設計評価書交付戸数 | 交付割合 |
| 令和4年度 | 約26万5千戸 | 30.8% |
| 令和5年度 | 約26万3千戸 | 32.8% |
| 令和6年度 | 約27万9千戸 | 34.2% |
引用:国土交通省「新築住宅の3戸に1戸が住宅性能表示制度を活用!」
新築住宅の約3戸に1戸が住宅性能評価書を取得している計算です。2025年4月に施行された省エネ基準適合義務化を背景に、今後さらに取得率が伸びることも考えられるでしょう。
住宅性能評価書に関するよくある質問

本章では、住宅性能評価書に関してよくある質問に回答します。
住宅性能評価書の取得は義務ですか?
住宅性能評価書の取得は義務ではなく、任意の制度です。ただし、令和6年度の実績で新築住宅の約34.2%が設計住宅性能評価書を取得しており、フラット35Sの金利優遇や地震保険料の割引等を目的に取得するケースが増加傾向にあります。
なお、フラット35Sは住宅性能評価書を取得しなくても、所定の物件検査に合格すれば利用できます。
住宅性能評価書と耐震基準適合証明書は何が違いますか?
住宅性能評価書は品確法に基づき住宅の性能を10分野で総合的に評価する書類です。一方、耐震基準適合証明書は建物が現行の耐震基準を満たしていることを証明する書類で、主に登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日より前の(旧耐震基準の)中古住宅で住宅ローン控除等の税制優遇を受けるために取得されます。
なお、令和4年度税制改正により、登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の住宅は新耐震基準に適合している住宅とみなされ、耐震基準適合証明書がなくても住宅ローン控除を受けられるようになりました。評価の範囲が耐震性に限定される点が住宅性能評価書との大きな違いです。
住宅性能評価書は後から取得できますか?
新築時に設計住宅性能評価書・建設住宅性能評価書を取得していなかった場合、新築住宅向けと同じ形であとから取得することはできません。
ただし、既存住宅向けの「建設住宅性能評価書(既存住宅)」であれば、建築後でも現況検査を受けて取得が可能です。
住宅性能評価書を紛失した場合は再発行できますか?
評価書を交付した登録住宅性能評価機関に連絡すれば再発行(再交付)を受けられます。本人確認書類の提出と手数料の支払いが必要です。
再発行にはいくらかかりますか?
再発行の手数料は評価機関によって異なりますが、1通あたり5,000円〜1万円程度(税別)が目安です。
設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書それぞれに費用が必要となるため、両方を再発行する場合はその分を見込んでおきましょう。
住宅性能評価書がなくても住宅ローンは組めますか?
住宅性能評価書がなくても住宅ローンを組むことはできます。住宅ローンの審査で評価書の提出が必須とされているわけではありません。
ただし、フラット35S等の金利優遇制度を利用する場合、住宅性能評価書があると物件検査の一部を省略できるメリットがあります。なお、住宅性能評価書がなくても、所定の物件検査に合格すればフラット35Sを利用することは可能です。
※金利は金融機関や審査状況により異なります。最新の条件は各金融機関に必ずご確認ください。
住宅性能評価書は住宅ローン控除に利用できますか?
建設住宅性能評価書は、住宅ローン控除の確定申告時に住宅の省エネ基準適合等を証明する書類として利用できる場合があります。
省エネ基準を満たす住宅や認定長期優良住宅等は控除対象限度額が異なるため、該当する区分の証明書類として活用できるかどうかを税務署または税理士に必ずご確認ください。
建売住宅でも住宅性能評価書は取得されていますか?
建売住宅でも住宅性能評価書が取得されている物件は存在します。取得の有無は売主(分譲会社)の方針によるため、購入検討段階で評価書の有無を確認しておきましょう。
マンション購入時に住宅性能評価書はどこで確認できますか?
新築マンションの場合は、売主のパンフレットや重要事項説明書等で取得状況を確認することができます。
中古マンションの場合は、前所有者から引き継がれた評価書の有無を仲介会社経由で確認しましょう。管理組合が保管している場合もあります。
住宅性能評価書がないマンションは避けるべきですか?
住宅性能評価書がないマンションがすべて性能面で劣るわけではありません。建築基準法の基準を満たしているため、法律上求められる性能は確保されています。
ただし、第三者機関による性能の見える化がされていないため、耐震等級等を客観的に把握しにくい面はあります。購入の判断材料の一つとして、評価書の有無を検討に組み込むのがよいでしょう。
まとめ
住宅性能評価書は、住宅の性能を国の共通基準で「見える化」し、等級で客観的に比較できる仕組みです。主な経済メリットは以下の通りです。
- フラット35Sの金利優遇:性能水準に応じて借入金利が一定期間引き下げられる
- 地震保険料の割引:耐震等級3で50%割引
- 贈与税の非課税枠の拡大:500万円から1,000万円に拡大
- 紛争処理機関の利用:手数料1万円で指定住宅紛争処理機関に申請可能
一方、評価費用の負担や設計の自由度への影響といったデメリットも理解しておく必要があります。
住宅性能評価書を活用すれば、目に見えない性能を等級で客観的に把握でき、金利優遇や保険料割引等の経済メリットにもつなげることができます。住宅の購入や新築を検討している方は、ぜひ取得を検討してみてください。








