すまいのスタディ

2023.04.14

土地の価格はどう決まる?4つの価格の違いをわかりやすく解説!

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土地の売買や、戸建住宅の購入、あるいは相続した空き家の売却など、不動産を取引するとき、その土地価格が適正かどうかはどのように判断すればよいのでしょうか。

民法第86条は「土地及びその定着物(建物・樹木など)は、不動産とする(引用元:民法)」と示しています。不動産は動かすことができない財産ですが、所有者の意思とは関係なく"価値≒価格"は変動していきます。

価格が変わる不動産の売買は、価格が明確な日常の商材と違って相場観がわかりにくい。不動産会社が提示する価格が高いのか、安いのかも判断しにくい。大きなお金が動くだけに、不安もある。何より、失敗や後悔はしたくないですよね。

変動する土地の価格はどのように決められているのでしょうか。今回の記事では土地の価格を知ることができる「公示価格」「基準地価」「路線価」「実勢価格」、この4つの違いをわかりやすく解説します。

土地の価格には4つも種類がある!

「公示価格」「基準地価」「路線価」「実勢価格」、これらは官公庁や役所など公的機関が評価基準を設けて定期的に調査した情報です。では、なぜ異なる価格の評価があるのでしょうか。

不動産の売買は取引される金額が大きく、公平性が問われます。また、固定資産税や相続税など税金にも関わるため、算出しやすい指標も必要となります。目的に応じて必要となる価格を定めるために公的機関が複数の基準を設けているのです。
まずは、この記事で分類した4つの価格の種類を整理しました。

土地価格一覧表

▶公表元:
国土交通省地価公示・都道府県地価調査(mlit.go.jp)
路線価図・評価倍率表(nta.go.jp)
不動産取引価格情報検索(mlit.go.jp)

土地の価格の決まり方とは?

各公的機関が算出する価格は、公平な基準で評価されており、不動産の売買で参考にできる情報です。ただ、土地の価格とはさまざまな要因によって変動するもの。

実際に売買する土地と同じデータではなく、過去の取引実績は現在の価格とはいえない。つまり、知りたい不動産の近隣物件、あるいは似たような条件の物件情報だということです。ひとつとして同じものがない土地の価格とは、自分が取引する土地の隣地であっても、何らかの条件が違うことで同じ価格にはならないことがあると理解しておきましょう。
ここからは4つの種類の価格の決まり方などを詳しく説明します。

■公示地価

「地価公示法」に基づいて、国土交通省が公示する1平方メートルあたりの土地の価格。公示の主な目的は「一般の土地取引の指標となること」「不動産鑑定にあたっての基準となること」「相続税や固定資産税を評価する際の基準となること」などです。

〈価格の決定方法〉
1地点につき2名以上の不動産鑑定士が別々に鑑定を実施。鑑定価格を土地鑑定委員会に持ち寄り、今後の土地周辺の開発動向、他地域とのバランスなどを総合的に判断して決定。基準地は国土交通省の土地鑑定委員会が選定し、令和5(2023)年は、標準地として定めた全国2万6000地点の価格が公示されました。

■基準地価

「国土利用計画法」に基づき、都道府県が実施する調査をもとに算出される土地の価格。公示地価は標準地の条件となる都市やその周辺の鑑定を行いますが、基準地価ではそれ以外の区域も含んで鑑定します。つまり、基準地価は公示地価を補完する役割を担っています。

〈価格の決定方法〉
概ね公示地価と同様の手順で価格を決定。1地点につき1名以上の不動産鑑定士が鑑定を実施。基準地は全国で約2万地点。

■路線価

対象となる宅地(住宅地、商業地、工業地等の用途にかかわらず、建物の敷地となる土地)が接する道路ごとに1平方メートルあたりの土地を評価した価格。土地に関わる税金の算出にあたり、公平かつ速やかに時価評価額を把握するための基準として公表しています。

〈価格の決定方法〉
以下2つの評価法によって評価額が算出されています。
◎路線価方式による評価
評価対象地が接する路線の路線価に、土地の形状や角地といった考慮すべき条件を調整。
◎倍率方式による評価
固定資産税評価額に地価の条件などが類似する地域ごとに定めた評価倍率を適用。

■実勢価格

土地の売買が成立した時の価格。例えば、2500万円で売り出された土地が、2300万円で取引成立した場合、実勢価格とは市場での最終価格である2300万円となります。

〈価格の決定方法〉
取引時点の不動産市場の動向や土地に関係するさまざまな要因を加味して決められています。駅からの距離や近隣商業施設、学校などの周辺環境。土地の形状や面している道路、方角などの条件。過去の取引状況や将来の環境変化の可能性。時には、売主側が急いで取引を進めたいために価格が下がるといったこともあります。

実勢価格は、似た条件の土地が過去いくらで取引されたのかを知ることができるため、不動産取引では、もっとも参考にしやすい価格といえるでしょう。

まとめ

実際に取引を行う価格とは、公表されている価格データに基づいて、需要と共有のバランスや、社会情勢、売主の事情など不動産に影響を与えるさまざまな要因を踏まえて、客観的な分析を行った上で決められます。

不動産の売買を検討される方は、適正な価格で納得できる取引を行うための参考知識として価格データを理解しましょう。その上で、疑問に思うことは、専門家の意見を求めることが最善の策となるでしょう。

実際に価格を決める場合は、不動産会社へ査定を依頼することが一般的です。幅広い取引実績を持つ不動産会社は、自社の知見から適正値と見込める査定価格の提示が可能です。また、多くの不動産の取り扱いがあることで、売買を希望している見込み顧客と接点があります。スムーズに取引を進めるための、頼りにできるパートナーとなります。

不動産の売買をお考えの方は、ぜひ一度『阪急阪神の仲介』に相談してみませんか?

※2023年4月14日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。