すまいのスタディ

2020.07.30

家を貸したい!そんなときはどうすればいい?注意点とは?

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転勤や親との同居などで、それまで住んでいた家が空き家になる――そんなとき「家を貸したい」と考える人もいるのではないでしょうか。しかし、実際にそれができるのか、できるならどうすればいいのか、わからないことも出てきますよね。大事な資産ですから、トラブルも避けたいものです。この記事では、家を貸すときの流れ、注意点について解説します。

空き家になった場合の選択肢と注意点

自宅が空き家になってしまうとき、どうするかの選択肢は、大きく分けて2つ。売却するか貸すかのどちらかです。それぞれのメリットとデメリットを理解しておきましょう。

家を売却する

家を売却する際のメリットとして大きいのは、まとまった資金が得られることです。それにより、ローンの返済や新たな物件の購入ができるようになります。
また、売却してしまえば、その後の物件管理という煩わしさとは無縁です。固定資産税の納付もせずにすむので、金銭的な面では楽になります。

デメリットとして考えられるのは、「やはり返してほしい」と思っても、ほぼ不可能になること。よほどの事情がない限り、売約した物件が再び戻ってくることはないと考えたほうがよいでしょう。
また、住んでいた家に愛着があればあるほど、一時的な喪失感にさいなまれることもあります。

家を貸し出す

売却せずに貸し出した場合、メリットとして大きいのは、定期的な家賃収入が得られることです。雇用の安定しない時代においては、定期的な収入があるというだけで安心感につながりますよね。
また、物件を所有していれば、将来的に自分の望む使い方をすることができます。賃貸契約が解約になれば、再び自分で住むことも可能ですし、再び賃貸、売買への運用を検討することもできます。

デメリットは、借り手がつかないと家賃収入が得られないことです。空き家でも建物維持費やローンの負担金は継続して発生します。副業的に貸し出すのであれば影響は小さいかもしれませんが、メイン収入として考える場合は、この点をクリアしておかないと大変なことになってしまいます。
さらに、借り手が決まると入居者管理と物件管理を行うことも必須です。例えば雨漏りなどの訴えがきたら、速やかに対応しなければなりません。すぐ近くに住んでいればよいのですが、遠方に住んでいる場合は、現状確認や工事業者の手配などが大きな負担になることが考えられます。

家を貸すときの契約の種類

家を貸すときの契約については、2種類の契約方法があります。簡単に解説してみましょう。

定期借家契約(定期建物賃貸借契約)

契約の際、貸す期間を定め、期間が満了すると賃貸契約も終了する制度です。必要があれば再契約することもできますが、転勤の期間が決まっていて、戻ってきたら明け渡してほしいというときには、こちらの契約がおすすめです。
定期借家契約の場合、定期借家であって更新がなく期間満了で契約が終了することを書面交付して説明する必要があります。また、貸主は借主に対して定期借家期間満了の1年前~6か月前までに定期借家契約終了通知を送ることも必要となります。

普通借家契約(普通建物賃貸借契約)

一般的な賃貸契約であり原則更新する事を前提とした賃貸借なので、当面は住む予定がないので長く貸すことができるという場合は、こちらがおすすめです。ただし、契約期間中は正当な事由のない限り、貸主の事情で退去してもらうことは原則できません。
契約については書面でも口頭でも成立するとされますが、たとえ親族間であっても口頭の契約、いわゆる口約束は後々のトラブルにつながるので、書面を交わすほうが望ましいといえます。

家の貸し出しから退去までの流れ

家を貸し出すことにした場合、どのような手順を踏むのでしょうか。一般的な流れを説明します。
 

不動産会社を選ぶ

まず、入居者の募集、物件の管理などを手がけてくれる不動産会社を選びます。不動産会社によって、賃貸が得意、売買に力を入れているなどの特徴があるので、いくつかの会社をピックアップして、比較しながら検討していきましょう。

貸出前の準備を行う

不動産会社が決まったら、貸し出しにあたっての準備を始めます。
ひとつは、必要書類を揃えること。不動産会社によっても異なりますが、間取り図、購入時のパンフレット、建物と土地の登記簿謄本を用意しておくとスムーズです。そのほか、運転免許証などの本人確認書類など、事前に不動産会社に確認して用意しておきましょう。

もうひとつの準備が、税金や管理費などの経費をまとめておき、そこから実際に受け取れる希望賃料を想定しておいて下さい。合わせて募集にかかる借り手に対する希望条件(個人や法人など)やペットの飼育、楽器の搬入の許可、リフォーム工事の概要なども不動産会社と相談して取り決めます。

入居者の募集

条件が決まったら、不動産会社が入居者を募集します。家主が募集に関しておこなうことはとくにありませんが、入居希望の申し込みがあると不動産会社から連絡が入るので、貸すか貸さないかの判断をすることが必要です。

※住戸内の修繕やハウスクリーニング、鍵交換をしておく等の入居希望者を見つけやすくするための準備にかかる費用は貸主の負担となります。

契約と引き渡し

入居者が決まったら契約書類を交わし、鍵を預けます。基本的に不動産会社が対応してくれるので、まかせておけば問題ありません。

貸出中の管理

物件を貸し出したら、家賃の入金管理、修繕等の依頼に対する対応、契約更新や退去に関する管理が必要です。
不動産会社に管理を依頼する場合は、前もって業務の内容を確認してお互いの役割分担をはっきりさせておきましょう。

入居者の退去

入居していた人が退去することが決まったら、貸主が立ち合い、物件を明け渡してもらいます。このとき、管理を依頼した不動産会社がある場合は代わりに立ち合ってもらうことも可能です。

住宅ローンが残っている場合

住宅ローンは、自分が住む家を買う人のために制度です。将来的に家に戻る予定がなく、それでもなおその家を貸し出す場合は、事業用ローンに切り替える必要があります。
ただ、事業用ローンは住宅ローンよりも金利が高くなってしまうことが難点です。
転勤する一定期間だけ貸したいという場合は、住宅ローン継続中での賃貸を認めてくれるケースもあるので、管理を依頼する不動産会社やローンを組んでいる金融機関にも相談してみましょう。

空き家になってしまうため「家を貸したい!」と考えている人は、この記事を参考に検討してみてはどうでしょうか。「それでも、わからないことがある」「もっと詳しく知りたい」というときには、「阪急阪神すまいのコンシェル」が味方になってくれます。不動産の悩みに応えてくれる専門のアドバイザーに、相談してみてくださいね。

※2020年7月30日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。