すまいのスタディ

2019.07.29

知らないと損をすることも!不動産管理におけるサブリース契約の注意点

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サブリース契約とは、一括借り上げシステムなどの名称で、以前から、他に本業を持つ賃貸オーナーや、相続対策として賃貸物件を所有されている方を中心に、安定した賃貸経営を支える仕組みとして定着していましたが、近年テレビや新聞でも取り上げられるように、契約内容をよく知らずに契約した為のトラブルが発生しています。そこで今回は、不動産管理における「サブリース契約」の問題点や注意点について、詳しく解説していきます。

サブリース契約とは

アパート経営を検討する上で、空室や家賃滞納のリスクは不安材料のひとつですよね。そうした問題を回避するための方法のひとつが「サブリース契約」です。サブリース契約はいわゆる「転貸借(転貸し)」のことで、不動産会社がオーナーの所有する土地や建物を、転貸目的で一括借上げすることを意味します。

例えば、オーナーが6部屋あるアパートを新築した場合、不動産会社はそのアパートの6部屋全てをオーナーから借上げ、それぞれの部屋を入居者に転貸(賃貸)するのです。オーナーは不動産会社から一定のリース料(賃料)を受け取り、入居者が支払う賃料は不動産会社のものとなります。オーナーは不動産会社からリース料を受け取るため、空室や入居者の家賃滞納の影響を受けることはありません。また、入居者の管理や賃料の回収といった管理業務を委託でき、オーナーは負担を減らしたアパート経営ができるのも魅力です。

ちなみに、サブリース契約の期間は「30年一括借上げ」を謳い文句にしている不動産会社があるように、長期保証が一般的です。ただし、その場合も2~5年ごとの契約更新が必要だったり、定期的な賃料改定を定めていたりするケースがほとんどのため、契約を締結した当初の賃料がそのまま長期間に渡って続くということはありません。

また、不動産会社からオーナー側に支払われる賃料は、満室想定の賃料(満室時賃料)の8~9割程度で、差額は不動産会社の取り分となります。満室になっても、リース料は一定なので、オーナー側の収入は伸びません。

サブリース契約の注意点

サブリース契約を行なっている不動産会社の中には、結果的にオーナー側の不利益となる契約を結ばせようとする悪質な業者も存在するため、十分に気をつけなくてはいけません。

では、実際にどのようなリスクが考えられるのでしょうか。具体的な注意点を詳しく見ていきましょう。

家賃保証額が低く設定されてしまう可能性

通常の賃貸経営の場合には、アパートのオーナーと入居者が直接賃貸契約を結び、入居者が支払う賃料はそのままオーナーのものとなります。ところが、サブリース契約の場合には、入居者から支払われる賃料はサブリース会社の取り分となり、満室想定の賃料(満室時賃料)の8~9割程度が不動産会社からオーナーに支払われる賃料となるため、稼働率が好調な場合は、通常の賃貸経営よりも利益が少なくなってしまうのです。

家賃保証額は改訂される

長期保証を謳っている場合であっても、家賃保証額というのは定期的に改定されてしまうため、年数が経過して建物が古くなれば、当然保証額が減額される可能性があります。

リフォームや修繕費用にも注意

経年による劣化の補修や大規模なリフォームなどを、不動産会社側が業者の選定から内容までを一方的に決定して、費用だけを請求されるトラブルも発生しています。

サブリース契約を結ぶときに確認すべきこと

では、実際にサブリース契約を結ぶ場合には、どのような点に気をつけたら良いのでしょうか。契約締結の前に確認しておくべきポイントを詳しく見ていきましょう。

家賃保証額は適切かどうか

不動産会社から支払われる家賃保証額は適切かどうか、近隣物件の賃料などを参考にして確認しましょう。

免責期間はできるだけ短くする

サブリース契約を結ぶと、不動産会社は入居者を募集します。とはいえ、すぐに入居者が決定して家賃収入が入るとは限らないため、不動産会社は「契約開始直後の一定期間は不動産会社からオーナーへの賃料の支払いを免除する」という「免責期間」を設けるのが一般的です。この免責期間は不動産会社によっても異なり、なかには半年以上の長期にわたるものもあるため、トラブルを回避するためにも、事前にきちんと確認をしておくことが大切です。

きちんとした収支計算を行う

サブリース契約を結ぶ際には、毎月どのくらいの利益を得られるのか、賃料が下がった時にはどのくらいの利益となるのかなど、収支計算を事前にきちんと行うことが大切です。特に、アパート建築時にローンを組んでいる場合には、月々の返済とのバランスをしっかりと見極めておくことが失敗を防ぐ重要な鍵となります。

本当にサブリースが必要なのかよく検討することが大事

サブリース契約は契約後のトラブルや不利益を防ぐためにも、契約に対して少しでも不安なことがある場合には、専門家に相談することが大切です。

アパートの建築から賃貸経営までをご検討の方は、専門のアドバイザーに一度相談してみてはいかがでしょうか。

※2019年7月29日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。