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2025.08.05

子どもの"片づけ習慣"が身につく収納を考える

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子どもが"片づけ"を学ぶことは、
大人になってからの判断力や計画性、効率的に物事を考える力などを育み、
教育的な観点としても大事な学習内容のひとつといわれています。
"片づけ"は、時間効率だけを考えれば、親がやってしまう方がラクかもしれません。
そこを我慢して、子どもに片づけを任せることが習慣化の第一歩です。
では、どんな工夫をすればいいのでしょう。
今回は、子どもの片づけ習慣と片づけやすい収納のポイントをご紹介します。

子どもの成長に合わせて収納を見直す

子どもの成長の過程で、持ち物はどんどん変わります。未就学児ならば、おもちゃ。小学生になると、学用品も増えていきますね。身体も大きくなって、部屋での過ごし方が変化すると必要なモノはさらに増えていきます。
大切なことは、大人の目線ではなく子どもの目線。子どものための収納は、親が大人の目線で「よくできてる」と思っても、使いにくいことがあります。年齢×性格×成長にあった収納になっていないと、『片づけにくい』≒『片づけ習慣が身につかない』原因にもなるのです。ポイントを確認しておきましょう。

【年齢】乳児期や幼児期の場合、安全であること、危険がないことが大切です。
収納場所は、位置が低く、家具の転倒などの心配がないよう壁に固定されていることが望ましいでしょう。指をはさむ危険のないよう、蓋や扉の開閉を必要とせず、直感的に出し入れがしやすいソフトボックスタイプやカゴなどがおすすめです。

【性格】大人と比べて集中できる時間や興味の持続時間が短い、と知っておきましょう。
子どもの脳は段階を経て発達します。整理整頓が得意そうな子もいれば、苦手に見える子もいます。自分の子どもにあった収納方法を一緒に考えて工夫すると片づけが上手になることも。子どもの性格に合わせてハードルを下げる、ラクに片付けられる収納方法を見つけてあげることがポイントです。

【成長】大きくなっていく子どもに収納が合っているかを考えましょう。
小さな子は、おもちゃの入った箱を持ち上げることも難しいですよね。でも、少し背が伸びると、持ち運びの力も強くなり、低すぎる収納場所では使いにくいこともあります。
学童期になれば、ランドセルや教科書、制服や遊び着など持ち物が増えて収納が足りなくなってくるため、考えて収納する力も必要になってきます。
収納とは、成長に応じて見直す必要があるということです。
大きくなる子どもに合わせた収納を用意するだけでなく、持ち物の取捨選択や自己管理ができるようになるためのルールを作り教えることが大事です。
では、片づけを習慣化するためのステップを整理してみましょう。

〈乳児期〉遊びながら片づける心を育てる

子どもは、親や大人の真似をしたがりますね。真似したことができて褒められると、「自分でできた」という成功体験となり、繰り返して行動できるようになっていきます。
"まねっこ"は、子どもの"知りたい"という好奇心です。思考が働き自分で判断する、予測するといった経験値が蓄積されていく行動といえます。
赤ちゃんがおもちゃを出して遊ぶようになるのも好奇心の芽生えです。
"出す"ことは自然に覚えますが、"戻す"という行為は教えられて覚えること。まずは、親が片づけのお手本を見せながら一緒に片づけると、手順がわかり、どのように片づけるのかを理解しやすくなります。
片づけは、遊びが終わりのサインなので、楽しくなくなる気持ちが、片づけを嫌がることにもつながります。「遊びはおしまい、片づけようね」というよりも、遊びの延長で「おもちゃを箱に入れるのママとどっちが早いかな」「くまさんもお昼寝時間、おうちはどこかな」といった行動が具体的にわかる簡単な言葉で声を掛けながらやるといいでしょう。

〈幼児期〉片づいた状態がいいことだと理解する

大人がモノの種類や形に合わせ分類し、自分で決めた場所に収めることは簡単です。
子どもは、たくさんのおもちゃを決めた場所にそれぞれ収めることは難しく、理解するのも時間がかかります。物事の整理や計画的に行動する力が未発達の状態ですから、片づけること自体が複雑で面倒に思えてしまうことも多いのです。
幼稚園や保育園では、子どもたちが自分でおもちゃを片づける練習をします。家でも、同じようにソフトボックスやカゴなどを活用して、まとめてザックリ収める定位置を作ってあげましょう。
大切なことは、散らかっている状態と片づいた状態が視覚的にも理解できるようになることです。「自分で片づけられてすごいね」「きれいにしてくれてありがとう」など、褒められた理由がわかると、達成感が得られて自信につながります。

〈学童期〉自分主体で片づけることをサポート

自分で考えて行動する力がついてくる学童期。自分のことは自分でやりたいという気持ちも強くなってきます。子ども専用の引き出しや棚など"自分の場所"を用意してあげると、"任された"という責任感が芽生えるキッカケになります。
しかし、小学校での生活、友だちとの遊びと時間の使い方が変わってくるのも学童期からです。さまざまなことに気を取られるようになり、片づけは後回しにしてしまうことがあるでしょう。
この時期は、子どもが主体的に片づける意識を持てるようにサポートすることが必要です。そのためには、解りやすい簡単なルールを一緒に考えましょう。
例えば、家族が集まるリビングにランドセルや学用品を置きっぱなしにしない、おもちゃなど自分のものは用意された"自分の場所"にしまうなどです。
習慣化のコツのひとつは、毎日やるということ。もうひとつは、すでに習慣になっていることにくっつけることです。歯磨きは、食後や寝る前など決まったタイミングとセットにすることで毎日の習慣化ができているはずです。片づけも同じようにすでに習慣化できている行動と合わせてあげることが大事です。
親は気づいたときに声をかけるのではなく、決めたルールと違っていたり、片づけるタイミングを忘れていたら、一声かけてあげましょう。繰り返しできていたら、褒めてあげることも忘れずに。
片づけやすい環境を整えてサポートしてあげることで、子どもの自立心も育てられるでしょう。

+One Point

片づけは継続して行うことで、自然と習慣化されていきます。教えたらすぐにできることではなく、毎日少しずつを心がけることが大切です。
大人の行動を子どもはよく見ていますから、大人が率先して片づけを行い、整った生活が快適なのだと解る環境づくりが一番の教えになるともいえるでしょう。

子どもに率先して片づけをしてもらうなら、"見える化"という仕組みもひとつの方法です。
片づけができたら1ポイント、掃除を手伝ったら1ポイントなどのルールを決めて、子どもの好きなシールを貼れるグラフを作ります。シールが貼れる楽しさ、ポイントが増える達成感といった動機づけの転換で習慣化のサポートをします。
"自分の場所"には、子どもが好きなキャラクターの箱やカラフルな収納ボックスを一緒に選んで用意してあげると、片付けること自体が楽しくなります。

親に言われて片づけることが習慣化するのではなく、自分から主体的に片づけられる習慣化を身に着けて欲しいですね。

※情報提供日:2025年7月30日

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