すまいのスタディ

2024.12.23

いま、知っておきたい、ZEH-マンションをわかりやすく解説!

[画像]

『ZEH(ゼッチ)』採用の新築マンションは年々増加しています。
その背景には、深刻さを増す気候変動や地球温暖化の問題があり、2015年のパリ協定(国連気候変動枠組み条約締約国会議/COP21)後に世界各国が「2050年カーボンニュートラル」を表明。日本では、2020年10月に、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする。すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。
政府が定めたエネルギー基本計画では、2030年までに新築住宅の省エネ基準をZEHレベルまで引き上げることを目指しており、今後、ますますZEHマンションは普及するでしょう。
ZEHマンションとはどんなマンションなのか。購入のメリットや住み心地にはどう影響するのか。今回は、ZEHマンションがよくわかる用語解説をしながら説明します。

ZEHマンションの定義と分類

ZEHとは、断熱性能向上やエネルギー効率の高い設備・システムの導入によって消費エネルギーを削減し、太陽光発電などによりエネルギーを創ることで、一次エネルギー消費量をゼロ以下にすることを目指した住宅です。
一次エネルギー消費量とは、空調・換気、給湯、照明など建物で1年間に消費するエネルギー量のことで、光熱費と言い換えることができます。

▶出典元:経済産業省「ZEHの普及促進に向けた政策動向と令和5年度の関連予算案(令和6年5月)より作成

マンションの場合、"共用部分を含む住棟"と"専有部分の住戸"それぞれで評価の基準があり、分類上の名称も異なる点が特徴といえるでしょう。
『ZEH-M』を最高ランクとし、省エネ率によって呼び方が変わります。また、住棟での評価における目指すべき水準に階数が設定されている点もポイントです。集合住宅は、階数が高くなるほど、住戸数に対して設置できる太陽光パネルの数が少なくなります(屋上面積が限られるため)。マンションの規模に応じた適正な基準が定義されているといえます。

断熱性能を高める強化外皮基準とは?

ZEH基準で共通する断熱性能、強化外皮基準とはどのようにクリアするのでしょうか。主に、エネルギー効率を向上する建築材料や住宅設備を採用することで実現します。以下に、具体例をまとめています(※すべての建物で共通するものではない)。
1.高性能断熱材の採用
建物の外壁、屋根、床に高性能な断熱材を採用し、外部からの熱の侵入や内部からの熱の逃げを防ぎます。
2.高性能窓の導入
二重ガラスや三重ガラス(複層ガラス)の窓は、熱の伝わりを抑える効果があります。外からの冷気の影響を受けにくいため、暖房器具の熱を室内に留め、保温効果を高めることもできます。また、Low-Eガラス(低放射ガラス)を使用すると、熱の吸収・反射を高めます。
3.高効率な給湯・空調設備を設置
高効率な発電と給湯を同時に実現する家庭用燃料電池システム・エネファームや、エコキュート、エコジョーズなどを採用。
4.EMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入
エネルギーの使用状況をデータで『見える化』し、効率的に管理するシステムです。エネルギーの無駄遣いを減らすことで、エネルギー効率を向上させます。

相互で補完し合う、再エネ(再生可能エネルギー)と省エネ

再エネとは、太陽光、風力、水力、バイオマス(生物由来の再生可能な有機資源)など、自然から永続的に得ることが可能で、繰り返し利用できる資源から創り出す(創エネ)エネルギーのこと。石油などの化石燃料の使用を減らし、CO2排出量を削減できます。
創エネ+省エネともいわれるように、相互に補完し合う関係です。持続可能なエネルギーの供給源と、エネルギー消費の削減が、エネルギー効率を高めるのです。

ZEHマンションのメリット

ZEHマンションの定義が理解できると、メリットがわかりやすくなるでしょう。

1.光熱費の削減

創エネ+省エネの取り組みにより、エネルギー効率が向上し、エネルギー消費が削減できます。また、断熱性能・気密性が高い住まいは住戸内が快適な室温に保たれやすい特徴があります。エアコンや床暖房の使用が抑えられ、光熱費の節約が期待できます。
創エネにより、余剰分の電気があれば売電により光熱費負担を軽減することもできるでしょう。

2.住み心地の快適性と健康面

室温が外気影響を受けにくい住まいは、住戸内での温度差が少ないということ。夏に涼しく、冬は温かな快適さだけでなく、ヒートショックのリスクや窓や壁に発生するカビの原因・結露も軽減されることでしょう。

3.レジリエンス性の高さ

災害や緊急事態に対する耐久性や回復力を意味するレジリエンス。住宅では、災害時においても安全で快適な生活を維持できる能力の高さと考えられます。
近年、地震や台風などにより停電が発生することも増えています。ZEHマンションに蓄電池が導入されていれば、災害時は蓄えた電力で電気を使用できます。また、太陽光パネルと燃料電池エネファームが採用されている場合は、ガスの供給があれば電気やお湯をつくり、使うことができます。被災期間に、電気があり日常に近い生活ができるという安心感は、心の安定にもつながるはずです。

4.資産価値の向上

2025年4月以降に着工するすべての住宅で、原則、省エネ基準の適合が義務化されます。そのわずか5年後の2030年には、その基準がZEH(ゼッチ)レベルに引き上げられます。これからのスタンダートになっていくZEHマンションは、エネルギー効率の高い住まいとして評価されるため、将来的な資産価値の向上も期待できるでしょう。

5.環境への配慮

ZEHマンションは、CO2排出量を削減する、地球環境にやさしい住まいです。カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に貢献する、社会的な意義も高い住まいだといえます。

まとめ

世界が脱炭素社会へと転換しようとしています。
日本がカーボンニュートラルや脱炭素社会を実現するには、一般の家庭内でのCO2削減やエネルギー消費量は重要です。住宅によるエネルギー消費も多く、省エネ化や脱炭素化の取り組みは急務とされています。

ZEHマンションは、建物の構造に関わる部分から断熱性能の向上などに取り組む必要があり、今後、デベロッパー各社は一層の注力を求められています。
ZEH基準を満たすマンションは、これからのマンションのスタンダードになっていくことは間違いないといえるでしょう。
いま、新築マンション購入を検討中という方は、住まいを選ぶ基準のひとつとして、ZEHマンションを理解しておくことは大切なのではないでしょうか。

不動産に関するお悩みやお困りごとは、『阪急阪神不動産』にぜひご相談ください。

※2024年11月28日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。

関連記事

[画像]

#買いたい

ZEHはアタリマエに。省エネ住宅は脱炭素社会の必須条件

関連記事については、リンク先のコンテンツが表示されないケースがございます。予めご了承ください。