猛暑が去り、秋から冬へのひと時はホッと一息つく季節。
少しだけ毎日の家事に手を抜いて、美食にアートと、
身体にも心にも栄養を与えてくれる時間を楽しみたいですよね。
でも、あっという間に年末はやってきます。
師走を迎えていつもよりも慌ただしい日々に、大掃除やお正月の準備など、
がんばることが多すぎると憂鬱になってしまうこともあります。
今回は、丸1日の年末大掃除で疲れないために、
汚れとストレスを溜めない、日々のひと手間のお話です。
福徳を授けてくれる日本の伝統行事"大掃除"
大掃除はしてもしなくても、新年を迎えることはできます。
毎年、面倒に感じながらも大掃除を「やらねば!」と思うのはなぜでしょう。
きれいになった家で、清々しい気持ちでお正月を過ごしたい...、
それは感覚的なものではなく古くからの日本の伝統行事だからです。
寺社仏閣では、一般的に12月13日(諸説あり)を"煤(すす)払いの日"としています。
単なる掃除の日ではなく、新年を司る年神さまを迎えるための神聖なお清めの行事であり、この煤払いを起源に、江戸時代には庶民の間でもお正月を迎える準備として大掃除が定着。隅々まで掃除して清めたあとに、門松やしめ縄飾りを用意して年神さまを迎えれば、福徳を授けてくださると伝えられてきました。
大掃除の起源を知ると、「やはり大掃除をおろそかにしては」と思ってしまうわけです。
江戸時代は食事の煮炊きをかまどや囲炉裏で行っていて、
文字通り、1年で溜まった煤を念入りに掃除していました。
しかし、現代の大掃除というと、キッチンやダイニングだけでは終わりません。
家中を念入りにとなれば手間も時間もかかるのはむしろ必然といえるでしょう。
大掃除で疲れてしまうのは、昔とは違うたくさんの場所をまとめて掃除しようとするからですね。
では、疲れない大掃除のために目指すのは----、
汚れを溜めないこと、片づけられた部屋をキープすることだけです。
伝統を受け継ぐにしても、大切にするべきは、
心穏やかな新年を、気持ちよく整えた住まいで迎えられるようにすることでしょう。
汚れて散らかった部屋は、心を乱し不安にするといいます。
きれいに掃除して整った部屋は、心も落ち着きリラックスできるはずです。
年末の大掃除でやっていたのは?
それは、日常的な掃除のサイクルに組み入れていない場所ではないでしょうか。
網戸や窓ガラス、バルコニー、照明器具、シューズクロゼットや各所にある収納内、冷蔵庫や電子レンジの中、カーテンやラグなどファブリックのクリーニング...。
疲れずラクな大掃除にするために、まずは掃除する場所を書き出すことから始めましょう。
"いつ""どこ"を掃除するのか分解しよう!
掃除する場所のリストづくりで大事なポイントは、
いつ・・・毎日、数日おき、週に1回、月に一回、季節ごとなど頻度を決める
どこ・・・部屋別、屋内外、共有かプライベートかなどを分解する
この2つに、"だれが"を決めておけると望ましいでしょう。
"いつ"と"どこ"をキッチンで考えてみました。
キッチンの汚れの元は、水あか、洗剤のカス、油などが中心です。
いつ・・・毎日使った後(朝・夜)
どこ・・・キッチンのシンクとレンジ回り
シンクの水あかと洗剤のカスは、アルカリ系の汚れです。酸性のクエン酸を使えば簡単に汚れは落ちます。このとき、最後に水滴を拭き取る習慣を取り入れると、水あかがつきにくくなります。
レンジ回りは、酸性の油汚れに効果的なアルカリ系の洗剤や重曹を使い、まだ温かく油が固まる前に拭き取ることが理想的です。
共有スペースの"だれ"はどう考えればいいでしょう。
例えば、トイレや洗面室。共用スペースなのだから、使った人が使った後に"ひと拭き"することを家族のルールにすれば、こびりつく汚れも少ないはずです。
習慣化のポイントは、目につきやすい場所に掃除道具を用意しておくこと。トイレなら流せるお掃除シートで、便座回りや床などをひと拭きしてもらえば気になる臭いも防げるでしょう。
季節の変わり目も大掃除のタイミング
日常的にこまめな掃除を習慣化できない場所は、季節要因で"いつ"を決めるのも一考です。
例えば、バルコニーは晩春から梅雨時と晩秋の年2回を目安にしてはどうでしょうか?
雨風でゴミや落ち葉、ほこりが溜まるバルコニー。エアコンの室外機も置いてありますね。夏と冬のエアコン本稼働を前に、室外機のほこりを拭き掃除しておくと冷暖房の効率も上がります。
落ち葉やゴミが溜まりやすい排水溝は、初夏から秋に発生しやすい台風や大雨への備えと、落ち葉が落ち着いた時期に大掃除を計画すると効果的ですよね。
網戸と窓ガラスも合わせて掃除すると、年末のリストから外すことができます。
冷蔵庫は冬が掃除のチャンス。気温が5℃以下(11月頃)になったら、冷蔵庫の掃除の日を決めましょう。冷蔵庫の室温は2~5℃なので、中から出した庫内の食材を保冷しておく手間がいりません。
ほかに、収納内の掃除は衣替えと一緒にする、気温が低いと固まりやすいレンジフードの油汚れは夏場にやってしまう、虫などが入り込みやすい照明器具は夏の終わりに決めるなど。いつもより念入りに掃除をするタイミングは、季節要因を考えながら年間で分散すると大掃除の負担が軽くなるということです。
がんばりすぎないことも選択肢のひとつ
日常的な掃除のサイクルを決める前に、その掃除にかかる家事の時間を計ってみてはどうでしょうか。
キッチンシンクの掃除は何分?掃除機をかけている時間は?トイレを使った後のひと拭き掃除は何分?
思いのほか、時間がかからないことに気がつきます。
習慣化のコツは、一度にがんばりすぎないこと。
毎日やろうと思うことでも、忙しい日はスキップする。
いつもより汚れた場所があって時間がかかるなら、休日に時間をつくる。
朝の外出前に5分、夜くつろぐ時間の前に10分とかける時間を決めて、
日常の中で習慣化することで、汚れが溜まらず、きれいに片づいた部屋がキープできるようになるのです。
それでも苦手な掃除や時間が取れず行き届かないことはあります。
「やらねば!」がストレスになったら、日常的なサイクルは定着しませんよね。
そんな時は、思い切ってプロに頼って、お任せするのもいいでしょう。
+One Point
子どもは2歳頃から片づけを教えることができます。自分の部屋と自分が使ったものを片づけることは、ルールを守り、モノを大事にすることを覚えさせるだけでなく、学校での集団生活の準備になります。
気持ちよく整った住まいを維持するためには、家族みんなで協力し合うことが大切です。
大人も子どもも、きちんとできたらほめてあげる、お互いに"ありがとう"と感謝しあうことを忘れずに。
※情報提供日:2024年9月27日