すまいのスタディ

2024.09.23

住宅ローン借り換え×金利上昇トレンド

[画像]

2024年、マイナス金利政策が解除となり、政策金利を引き上げることが決定しました。日本銀行による利上げは、2007年2月以来、17年ぶりのこと。さらに、2025年度末までの長期国債買い入れの減額計画も決定しています。

超低金利の追い風を受けていた住宅ローンは、今後、どうなるのでしょうか?返済中の住宅ローンを低金利なうちに借り換えたいと考えていた人にとって、どのような影響が出るのでしょうか。

金利が動き出した今だからこそ、住宅ローンの金利の基本と、借り換えるときに知っておきたいポイントを確認しておきましょう。

変動金利と固定金利は、利上げの動きが違う?

はじめに、住宅ローン借入時に選ぶ"変動金利と固定金利"の違いについて整理します。

【変動金利】

・借入期間中に適用される金利が変動する
・短期プライムレートを指標に多くの金融機関が金利を決定
・日本銀行の政策金利に短期金利が影響を受ける

【固定金利】

・借入期間中に適用される金利が変動しない
・10年国債利回りなどの長期金利を参考に金利を決定
・利回りの水準を決定する市場取引の影響を受ける

一般的に、日本銀行は現在の景況感を理由に政策金利を利上げ(利下げ)しますが、市場取引は将来の景気を見通して変動するため、短期と長期の金利はタイミングがズレて変動することもあります。つまり、変動金利が上昇しはじめたころ、固定金利はすでに引き上げられているという可能性があるということです。2024年の長期金利の上昇では、多くの金融機関が固定金利を先行し引き上げに動きだしました。

住宅ローンを借入中の場合はどうなる?

これまで超低金利を維持していた民間の住宅ローンの借り入れは、7割以上が変動金利です。政策金利引き上げの発表は、住宅ローンを借入中の方も、借入予定の方も、金利はいつから上がるのか、返済額はどれだけ上昇するのかが気になるところでしょう。

すでに固定金利で借り入れている場合は、契約時に選択した期間の金利・返済額が確定しているため影響はありません。これから契約をして借り入れる場合は、徐々に固定金利が上昇する可能性があります。

一方、変動金利で借り入れているからと焦る必要はありません。確かに、政策金利の影響を受けて金利は変動しますが、政策金利の利上げのたびに住宅ローンの金利を変えては、借りた人も毎月の返済額の管理が難しくなってしまいます。
そこで、家計を見直して返済額の変更に対応できるよう、多くの金融機関では2つのルールを適用して猶予を持たせています。

5年ルール

金利が変更されても、住宅ローンの返済額の変更を5年に1回とする仕組みです。見直しは5年毎のため、次の見直しがいつなのかを確認しておくことが大切です。

125%ルール

5年毎に見直す返済額の上昇率は125%を上限とする仕組みです。毎月10万円返済しているとしたら、12.5万円までしか変わらないということになります。本来、130%まで金利が上昇していたとしたら、差分の5%はなくなるわけではありません。「未払い利息」として、5年単位の返済額の変更の際にローン残高に組み込まれることになります。

このルールは、元利均等方式で借り入れている場合のため、金利上昇した分の元本と利息の割合は5年の途中でも変わっていることがあります。
住宅ローン残高の明細をチェックして見直しのタイミングで変更となる返済額に備えておくといいでしょう。

金利上昇トレンドで、借り換えはどうする?

住宅ローンは、変動金利・固定金利ともに緩やかな上昇トレンドと考えられますが、まだ低金利といえるうちに、借り換えを検討してみるのもいいでしょう。
「いまよりも金利が低い住宅ローンにして、毎月の返済額を減らす」、「返済額は変えずに、期間を短縮する」などの金利メリットが理由となる借り換えですが、ほかに考えられるメリットはどんなものがあるでしょうか。

例えば、
・リフォーム資金を新たにローンで組もうとしたら、住宅ローンよりも金利が高い。借り換えで、まとめることで金利が抑えられて、毎月の返済額も無理なく設定できた。
・ポイントの付与や割引、特典など毎日の暮らしで得する条件が付いている企業グループの金融機関に借り換えた。
・8大疾病保障付きや全疾病保障付きなど充実した特約も選べる団体信用生命保険が付くので、ケガや病気のときも安心できるローン商品に借り換えた。
・固定金利に借り換えることで、将来の金利上昇不安から解放された。
など、借り換える際には、金利だけではないメリットにも注目して、プラスαの条件を金利と合わせて比較すると借り換え先を決めるときに役立つことでしょう。

借り換えで注意しておきたいこと

住宅ローンの借り換えで注意しなければならないことは、金利メリットで本当に得しているのか?を確認すること。事務手数料や抵当権設定費用など初めの住宅ローンで支払った諸費用が同じようにかかるだけでなく、返済中の住宅ローンを一括返済する際の諸費用もかかります。また、金融機関や借り換えた後の返済期間によっては諸費用に違いもあるため、試算した上で判断することが大切です。

近年、多くの金融機関では窓口まで出向かずに、WEB上で仮審査を受けられるようになっています。住宅ローン金利の比較サイトなどで借り換え先を探すこともできますが、諸費用については各金融機関のホームページに公開されている情報で確認するようにしましょう。

まとめ

住宅ローンの借り入れも借り換えも、10年後、20年後の景気や金利を予測して判断することはできません。金利上昇に限らず、家族の状況や収入が変わることもあるでしょう。
大切なことは、変化にも対応できる堅実な住宅ローンの返済計画やリスク対策を行い、定期的に家計と住宅ローンを見直すことです。

早く住宅ローンを完済したいと、繰り上げ返済を行うことはよいことなのですが、返済を急がずに金利上昇に備えて貯金しておくこともひとつの方法です。
手元に残した資金があることで、毎月の住宅ローン返済額の上昇、教育費、不慮の事態、ライフステージの変化などにも対応しやすくなります。

今後も緩やかな金利上昇は予測されています。借り換えを検討中で迷われているなら、現在、借り入れをしている金融機関にまずは相談してみてはいかがでしょうか。同じ金融機関で新たなローン商品があったり、金利や諸費用などにメリットがあるケースもあるようです。

不動産に関するお悩みやお困りごとは、『阪急阪神不動産』にぜひご相談ください。

※2024年8月27日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。