近年、まとまった老後資金を確保する方法のひとつとして話題になっているのがリースバック。
不動産に関心のある方なら、聞いたことがあるのではないでしょうか。
リースバックとは、所有不動産売却後も賃貸借契約することで住み続けられる仕組みです。
不動産で資金調達をする方法では、リバースモーゲージもあります。こちらは不動産を担保に融資を受けるため、不動産を手放さずに住み続けることができます。
今回の記事は、この2つの仕組みの違いと、どんな人にとってメリットがあるのか。
気をつけるポイントとはどんなことなのかを解説します。
いま資金面で心配がない方も、将来のために知っておいて損はしないお話です。
リースバックとリバースモーゲージ
この2つの仕組みは、不動産で資金を得る方法として混同されがちです。
はじめに、基本的な仕組みの違いを整理しておきましょう。
理解しておくべきは、リースバックは"売却と賃貸を組み合わせた不動産取引"で、リバースモーゲージは"自宅を担保に融資を受ける金融商品"ということです。
ここからは、リースバックを中心に解説していきます。
"住み続けられる"リースバックの魅力とは?
所有不動産を売却しても、住み続けたい。
その最大の理由には、生活環境が変わらないことが挙げられるでしょう。
慣れ親しんだ愛着のある住まい、子どもの学区・学校、ご近所づきあいや通いなれたさまざまな施設など、環境が変化すると誰しも負担を強いられます。
一般的な売却では、引越し先探しから、引越しの費用、それに掛かる手間と時間がかかり、新しい生活環境に馴染まず不便やストレスを感じることも。特に高齢者の場合、転居することでのストレスが、心理的・身体的に影響を及ぼすこともあるようです。
ご近所に売却を知られることなく資金を得て、安心して生活が続けられることは何よりの利点です。ほかに、どんな利点があるかも整理しておきましょう。
時間をかけずに、まとまった資金を調達
"人生100年時代"といわれることが当たり前となり、リタイア後の生き方も変化しようとしています。日々の生活費は上昇傾向にあり、想定通りの貯蓄が難しくなっているかもしれません。先行きが見えにくい将来、まとまった資金が必要となったらどうすればいいのか。
子どもの学費、長期入院で必要な医療費と生活費、相続税、親や配偶者の介護費用、リタイア後に事業を始める、夫婦で船旅をする...悩ましいことばかりではなく、人生を楽しむためにもお金が掛かります。
自由に資金を使うことのできるリースバックは、買い手探しに時間がかかる一般的な不動産売却よりも、不動産会社やリースバック事業者などが買い取ることで、現金化までの時間が短いことも特徴のひとつ。一括で受け取った資金で住宅ローン残金も完済すれば、借入金がない状態で必要なことにお金を掛けることもできるでしょう。
〈Careful point〉
忘れてはいけないのが、住まいは変わらなくともリース料(家賃)を支払う必要があるということ。家賃は、一般的に立地や築年数などの条件と周辺相場から期待される利回りで設定されますが、リースバックでは、買取価格に対する利回りも考慮されるため周辺相場よりも高くなることがあります。また、買取価格は将来の売却益を見込んで、相場より安くなる傾向があるともいわれています。
手放すことで負担とリスクが軽くなる
先の表では、固定資産税の支払いがなくなることを挙げていますが、ほかにも都市計画税、建物火災保険料、建物修繕費といった所有不動産ならではの維持コストがなくなります。
また、「マンションでは、大規模修繕費が不足し修繕積立金の値上げや一括追加徴収で支出の負担が大きくなっている」「災害で建物が壊れて資産価値が下がってしまった」こうした想定外のリスクに対する不安からも解放されます。
〈Careful point〉
ただし、賃貸住宅も家財に対する火災保険、保証料などはかかります。また、入居時の仲介手数料、契約更新時の費用、家賃の値上げなどかかる費用もあります。契約する会社によって条件の違いもあるためリースバックを検討する際は、事前に確認してから話を進めることが大切です。
まとめ
リースバックは、不動産売却のひとつのやり方で、時間をかけずにまとまった資金を調達する方法だといえます。
例えば、老後の資金としてリースバックを選ぶなら、売却後に家賃を払っていくことも考えて生活費としてどの程度の資金が必要なのかを考えておくべきでしょう。
売却のタイミングや、離れて暮らすご家族がいれば相続をどう考えているかといったことを家族と相談するのも大切です。
リースバックの特徴や、住み替えをした際の生活影響などもよく理解した上で、一般的な売却との価格比較やしっかりと相談を受けてくれる頼れる会社を選びましょう。
不動産に関するお悩みやお困りごとは、『阪急阪神不動産』にぜひご相談ください。
※2024年7月26日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。