すまいのスタディ

2023.10.19

未来のスタンダード・EV&PHV車は、住まいにメリットも。

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記録的な猛暑や世界各地での災害など、地球温暖化による気候変動が日々の暮らしを変えてしまう脅威を誰もが感じていることでしょう。
住宅分野では政府や自治体、デベロッパーが足並みをそろえて、CO2を削減する環境性能の高い住宅への取り組みを加速させています。
運輸関連においては、日本におけるCO2排出量全体の17.7%、この数字に対する自家用乗用車の割合は45.7%(※1)を占めています。環境負荷を軽減するエコロジーカー(エコカー)の普及が重要性を増しているのがわかります。

エコカーの選択肢が豊富な日本

2050年までのカーボンニュートラル達成(※2)を目指す日本は、 "2035年までに、乗用車新車販売で電動車100%(※3)"を具体的な目標に掲げています。普及を推し進めるための戦略は、特定の技術に限定するのではなく、さまざまな技術の自動車を選択肢とすること。

「車を買うなら、環境にやさしいEV車を」と購入を検討している方は、自動車としての性能のほか、"ランニングコスト"や、"動力源の充電設備"の普及状況が気になりますよね。
ここからは、エコカーのうちの"電動車"と、"住まい"に関わるメリット、電動車の多様な選択肢を比較し整理してみましょう。
注:電動車=EV(電気自動車)、FCV(燃料電池自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、HV(ハイブリッド車)

【図表:各電動車の長所と短所】

※2出典:経済産業省ウェブサイト
2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 (meti.go.jp)
※1.3出典:資源エネルギー庁ウェブサイト
自動車の"脱炭素化"のいま(前編)~日本の戦略は?電動車はどのくらい売れている?(enecho.meti.go.jp)
自動車の"脱炭素化"のいま(後編)~購入補助も増額!サポート拡充で電動車普及へ(enecho.meti.go.jp)

EV、FCV、PHV、HV、4つの選択肢をさらに比較!

資源エネルギー庁は、各電動車の構造を柱に長所・短所をまとめており、上図表内では購入時の車両価格の「コストが高い」ことを短所としています。では、車を維持するために掛かるコスト面など見方を変えるとどうなるのでしょう。図表の並び順で確認してみましょう。

①電気自動車(EV)

・100%電気で走行するため、ガソリン代がかからない
・家庭用コンセントでの充電時間はかかるが、公共の充電スポットでは急速充電も可能
・自動車重量税(新車登録時・初回車検時免税、2回目車検時以降減税)、自動車税(新車登録年度の翌年度分のみ概ね75%減税)に優遇措置あり
・新車購入時にクリーンエネルギー自動車(CEV)補助金あり

②燃料電池自動車(FCV)

・水素を使用して自家発電し走行するため充電はないが、水素ステーションが限られる
・自動車重量税(新車登録時・初回車検時免税、2回目車検時以降減税)、自動車税(新車登録年度の翌年度分のみ概ね75%減税)に優遇措置あり
・新車購入時にクリーンエネルギー自動車(CEV)補助金あり

③プラグインハイブリッド自動車(PHV)

・充電した電気での走行が基本。主に発電用で使うガソリンで電気不足時に走行も可能
・家庭用コンセントでの充電時間はかかるが、公共の充電スポットでは急速充電も可能
・自動車重量税(新車登録時・初回車検時免税、2回目車検時以降減税)、自動車税(新車登録年度の翌年度分のみ概ね75%減税)に優遇措置あり
・新車購入時にクリーンエネルギー自動車(CEV)補助金あり

④⑤ハイブリッド自動車(HV)

・自動車重量税(新車登録時・初回車検時免税、2回目車検時以降減税)、自動車税に優遇措置あり
・新車購入時のCEV補助金の適用はなし

※①~⑤の減税措置は、車種により適用条件が異なる場合があります。

電動車に乗り換えると、ガソリン代がゼロ、あるいは大幅に削減されます。電力会社や電気料金プラン、EVのバッテリー容量などによっても異なりますが、走行に必要な自宅充電の電気代の目安は、1回あたり数百円~2000円程度の電気代で満充電にできるとのこと。
新車購入時の車両価格はまだまだ高いと思いますが、補助金や税金の優遇措置などの支援策や高止まりしているガソリン代などを考えれば、コスト面での検討の余地は十分あるのではないでしょうか。

家庭用に電気を有効活用できるV2Hに注目!

V2Hとは、「Vehicle to Home(車から家へ)」を意味します。
これまで電動車は、家庭用コンセント(100V/200V)から充電する場合、あくまでも自動車の走行時に電気を消費する存在でした。
近年、注目度が高まっている『蓄電機能付きEV充放電器』を搭載したV2Hは、電動車に蓄えた電気を家庭用電源として使用可能にする設備です。つまり、蓄えた電気で自動車を走らせるだけでなく、家庭内で使用する電気代の節約も期待できるということ。

EV車やPHV車には、既に数百キロもの長距離走行に対応できるよう大容量のバッテリーが搭載されています。一般家庭に設置できる蓄電池の何倍もの容量がありながら、これまで"家⇒車"の一方向だった電気の流れを、"家⇔車"の双方向に変換し有効活用ができるのです。
車を使用していない時間、電力料金が安くなる夜間などに、電力会社から供給された電気を蓄電、自宅の太陽光発電で作られた電気も車から家に供給することが可能になります。
特に、災害時の非常用電源として利用できるということも注目度を高めている理由です。

V2Hを設置する際の費用は決して安くはありませんが、こちらも自治体単位で補助金が出ることもあります。各補助金を受けるには申し込みが必要で、予算の上限に達したら締め切られるため早めにお住まいの自治体の補助金制度を確認されてはいかがでしょうか。

マンションの充電設備も増加中!

電動車の普及が充電設備の設置との両輪で考えている政府は、2030年までに15万基の充電インフラ設置を目標として定めました。自治体の動きとしては、東京都が全国に先駆けて2025年より新築マンションにおいて駐車台数2割以上(機械式駐車場を除く)の充電設置を義務付けることを発表しています。今後、自治体間で広がることも想定できるでしょう。

マンションを供給するデベロッパー側もスピーディな動きで応えていて、今後の加速を後押しするような事例も出てきています。
また、技術面や安全面、電気容量等の課題によりマンションの機械式駐車場では、一区画のみの小規模な設置に留まっていましたが、全パレット対応EV充電器を設置可能な技術も開発されています。

まとめ

政府が掲げる電動車の普及と充電設備の設置目標、技術面の進化の加速がいずれガソリン車に替わってEV車やPHV車がスタンダードとなることを予見させます。携帯電話のガラケーからスマホへの転換のようなイメージでしょうか。
これからの住まいは、充電設備を設置することが"アタリマエ"になっていくのかもしれません。

電動車の購入は、初期投資のコストが大きく迷われる方も多いのかもしれません。しかし、ここまでご紹介したように、長い目で考えるとメリットもたくさんあります。CO2削減に貢献できて、環境にもやさしい電動車は検討の価値があるといえるのではないでしょうか。

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※2023年10月19日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。