すまいのスタディ

2022.11.19

〈不動産の売却〉忘れがちな確定申告に備える。知っておきたいベーシック!

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住まいの買い替えや相続による不動産売却などを行った際、確定申告が必要になることをご存じですか?特に給与所得者の場合は、年末調整によって所得税額が確定し、支払者の勤務先側で納税も完了。確定申告の時期すらも関心が薄いのではないでしょうか。当然ですが、不動産を売却し利益が発生すると税金を納める必要があります。一方、不動産を売却して損失が出た場合は、確定申告の必要はありません。しかし、確定申告をすることにより税金の還付を受けられる場合があります。
3月末の入居を計画して購入~売却を行うと1年以上先となる税金の支払いを忘れて"つい、うっかり!"。売却で得た利益を新生活に使ってしまい、いざ納税という時にまとまったお金が手元にないなんていうことも。
忘れずに確定申告を行う上で知っておきたい、支払う税金の種類や納税額の算出方法、準備しておく書類などを給与所得者のケースとして整理してみましょう。

■「譲渡所得」で決まる納めるべき所得税と住民税

不動産の売却で発生した利益は「譲渡所得」として計上します。その際、所得税と住民税が納めなくてはならない税金です。給与所得者の勤務先が支払っている税金とは切り離して課税の対象とされるため「分離課税」として扱われます。納税額は2つの計算式で知ることができます。計算式の用語解説とポイントについてもまとめておきましょう。

【計算式~1】
①不動産売却額-②取得費-③譲渡費用-④特別控除=課税対象となる譲渡所得
【計算式~2】
課税対象となる譲渡所得×⑤税率=納税額

【用語解説と🅿ポイント】
①不動産売却額:確定申告の対象とする不動産を売却した金額
🅿:課税・非課税が売主・土地・建物で異なる消費税について知っておきましょう。
非課税対象/個人での売却(仲介会社に支払う手数料は課税対象)、土地・借地権譲渡
課税対象/個人で前々年売り上げが1,000万円を超える場合(例:売却対象の投資マンション一室所有での売り上げなど)、住宅ローン繰り上げ返済時の手数料、ローンの借り換え手数料、売却時の司法書士への登記代行費用など。

②取得額:売却する不動産購入時にかかった費用
🅿建物部分は経過年数に応じた減価償却費※の算出が必要(土地は経年劣化がないため不要)、相続した不動産の売却で取得費が不明の際には不動産売却額の5%を概算計上。
※減価償却費=建物の購入価額×0.9×建物構造ごとに定められた償却率×経過年数

③譲渡費用:不動産売却時にかかる経費計上が可能な諸費用
🅿仲介手数料、印紙税、登記費用、土地の測量費、土地売却時に古家を解体する費用など。

④特別控除:3,000万円特別控除と買い換え特例の2種類から選択
🅿前者は課税対象となる譲渡所得額・最高3,000万円までを控除する制度。後者は居住用財産(売却する不動産)で得る譲渡所得の納税を、買い替えたマイホームを将来譲渡するまで繰延できる制度。次の売却予定があるのか分からず、将来の不動産マーケット次第では納税額が大きくなることもあるため選択が難しいところです。

⑤税率:売却不動産の譲渡所得に対し、所有期間5年以下(短期)と5年超(長期)で税率が定められています。
🅿短期/譲渡所得×39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
長期/譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
但し、所有期間とは売却不動産を実際に所有していた期間ではなく、売却した年の1月1日時点という定めがあり、5年区切りの計算では注意が必要です。

いずれの情報も適用の要件などがあります。詳細は国税庁のHPをご確認ください。
◎参照元:国税庁HP
タックスアンサー(よくある税の質問)|国税庁 (nta.go.jp)

確定申告時に必要となる主な書類

『いざ、確定申告!』。では、確定申告書のほかに必要となる書類とは?売却前と売却以降で必要となる主な書類を一覧にしました。特例控除の適用を受けるなど、ケースによっては追加を要する書類もありますのであくまでもベーシックな書類となります。売却前に関連する書類は、年数が経過しているとなかなか見つからないという方もいるようです。提出の際はコピーが必要となるため早めにまとめて準備しておきましょう。

1)売却前に関連する書類
・購入時の売買契約書、仲介手数料や登記費用、印紙税などの領収書類
・戸建ての場合、建物請負契約書
・増改築した場合、請負契約書や領収書類

2)売却以降に関連する書類
・売却時の売買契約書、仲介手数料や登記費用、印紙税などの領収書
・売買代金受領書
・固定資産税清算書
・譲渡所得の内訳書
・登記簿謄本
・源泉徴収票

■「譲渡所得」を納めるタイミングと注意点

確定申告を行う時期は、毎年2月16日から3月15日まで。同一期間内で、税務署又は金融機関で所得税のみ支払うことになります。住民税は、5月以降に市区町村から送られてくる納付書を待って納税です。限られた期間で所得税の納税が難しいという場合は少しだけ猶予が...。
◎確定申告時に、振替納税の手続きを行うと指定口座からの引き落としが4月20日頃に。
◎期限までに全納が難しい場合、期限内で1/2以上を納めると残額は5月31日まで延ばすことが可能です。延納期間中に利子税が発生することを理解の上で、申告時に届け出る必要があります。

まとめ

確定申告はスマホでもOKの時代です。不動産の売却を予定されているなら、まずはこちらの記事を参考に準備を整えておくことをおすすめします。売却する不動産を購入した際の費用や売却時に発生するさまざまな費用など、確定申告に必要な一式をまとめて、売却不動産の契約書ファイルなどに収めておくとスムーズです。
いざ、確定申告という際には、国税庁の以下のYoutubeも参考にしながらより詳しい情報や基本の手順を確認して進めるといいでしょう。

◎参照元:国税庁HP
(57) 土地や建物をお売りになった場合の申告は「確定申告書等作成コーナー」で! - YouTube

自分で確定申告するのが不安な時は、税理士さんを頼ることもひとつの方法です。阪急阪神不動産では、不動産に関するさまざまなお悩みにお応えしています。不動産の売却を検討されているなら、ぜひ一度、相談してみてはいかがでしょうか。
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※2022年11月19日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。