すまいのスタディ

2021.04.28

耐震リフォームの相場はどれくらい?いくらで何ができる?

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地震大国といわれる日本。1995年に発生した阪神・淡路大震災は大都市への直下型地震でした。この地震による死者は6000人を超え、そのうちの80%を超える方が自宅や家具の倒壊等による圧迫死であったと言われています。
建物の耐震性を調べ、現状を知り、必要に応じた対策をとることが必須とも言われています。そのためにも知っておきたいのが、耐震リフォームの相場です。知らずに依頼を行って、高額な請求をされることもあるといいますから注意が必要です。ここでは、耐震リフォームの相場について説明します。

建物の地震対策には3種類がある

建物を地震の被害から守る工法は、3種類に分けることができます。「耐震」「制震」「免震」の3つです。使われている漢字から、なんとなくのイメージはできますが、それぞれどのような工法なのでしょうか。

耐震

耐震とは、建物の柱・梁に太く頑丈なものを採用したり、壁の強度を上げることにより、建物自体が地震の揺れに耐える構造にすることをいいます。地震対策の工事としては3種類の中でもっとも広く取り入れられている方法です。

制震

制震は、「ダンパー」や「錘(おもり)」と呼ばれる装置を取り付け、地震の揺れを吸収させる構造です。建物への揺れを抑制することから「制振」と書く場合もあります。ダンパーは、揺れに対して伸び縮みして振動を吸収することができます。

免震

免震は、建物と地盤の間に「免震装置」という装置を設置する工法です。免震装置は、水平方向にゆっくり動き、建物に伝わる激しい揺れを軽減する積層ゴムなどから成る「アイソレーター」と、揺れを吸収する「ダンパー」からなります。免震装置により建物と地面の間に「免震層」を作り、建物を地面から切り離して揺れから逃す工法です。

こんな建物は耐震リフォームが必要

地震対策として3種類の方法があることがわかりました。では、どのような場合に耐震リフォームが必要になるのでしょうか。耐震リフォームが必要になるのは、大きく2つのパターンがあります。

旧耐震基準の建物

建築基準法に定められている現在の耐震基準は、1981年6月に改正施行されました。阪神・淡路大震災においても、特に1981年以前に建築されたものに大きな被害が発生したという現象がありました。
旧耐震基準の建物は、1981年の耐震基準の法改正以前の耐震基準で造られた建物をさし、改正以降の建物と区別されています。建築確認の通知書の発行日が、1981年6月より前に建てられたものである場合は耐震診断を実施し、耐震リフォームの必要があるかどうか判断するとよいでしょう。
※建築確認がされている物件であれば、建築確認通知書が存在します。不動産購入の際などは、売主側に依頼して建築確認通知書を確認させてもらいましょう。

地震に弱い構造の建物

地震対策に有利な建物は、平面的・立体的にバランスがとれている建物です。つまり、大きな吹き抜けがある、壁の配置に偏りがある、1階部分がピロティ形式になっているような建物は、地震に弱い傾向にあります。建物の強さは、構造材・躯体と言われる柱や梁、壁の存在が大きく影響し、建物に合わせた構造、サイズ・数量、配置がなければ地震に弱くなってしまうのです。また、L字型の建物や、上層階が下の階よりも飛び出しているような不整形な建物は、構造に工夫がないと地震に弱い可能性があると認識しておきましょう。

耐震リフォームの相場

耐震リフォームの金額は工事内容で変わるため、一概に相場を言えませんが、戸建住宅の耐震リフォームの目安は次のようになります。
耐震リフォームでは、耐震診断の結果に基づき、壁等の補強や屋根の軽量化などを実施し建物の耐震性能を向上させます。

室内からの壁の補強(約5万円~15万円程度/1箇所)

柱と柱の間に、筋交いや構造用合板を入れたり、柱や梁の接合部を金属の部材で緊結することで建物の強度を上げます。部材の設置自体は5万円程度から工事が可能ですが、壁の補強は、壁の下地を撤去して柱などの躯体が見える状態にした上で作業をする必要があります。壁の解体や復旧・補修作業を含めると15万円程度、補強が必要となる箇所や範囲により費用に差が生じます。
室内からの補強は、クロス(壁紙)や床などの貼り替えや、お風呂などの住宅設備の交換のタイミングと合わせると重複する工事費用を抑えることができます。耐震診断結果を基にどのような工事と組み合わせると良いか、リフォーム会社に相談するとよいでしょう。また、既存の壁の上から補強材を取り付けることで壁の強度を上げる方法もあります。

外壁による補強

外壁側から耐震リフォームを行う場合、従来の生活をしながら工事を進めることが可能になります。補強の方法としては大きく下記の2パターンがあります。

①既存外壁の上に耐力壁となる壁材を取り付ける方法
②既存の壁の下地をはがし壁の内部に補強を施す方法

参考価格は①の方法の場合となります。これは外壁に補強材を直接取り付ける方法で、必要な箇所だけを補強することも可能です。外観が悪くなることもありますので、取付箇所はデザインについても考慮される方が良いでしょう。
②については室内の壁の補強と同様に、柱などの躯体部分に補強を施しますので、復旧作業等に費用・工期を見込む必要があります。外壁塗装と同じタイミングで工事をすることで、仮設足場などの費用が1回分で済む、外観を損なわない工事計画が立てられる、などのメリットがあります。

屋根材の葺き替え(約140万円~170万円程度※屋根面積60.5㎡、足場・樋工事含まず)

瓦屋根などを金属製の屋根に葺き替えることで屋根の重量を軽くし、建物にかかる負担を減らして地震の揺れから建物を守る方法です。足場を組む必要があるため少々費用はかかりますが、瓦が乗っている家の場合は検討してみてもよいかもしれません。
参考に挙げた価格は、瓦屋根を軽量化する場合の目安となりますが、建物や屋根の形状・大きさにより工事費用が異なりますので、耐震診断だけでなく屋根の劣化状況の確認を兼ねて、リフォーム会社に調査をしてもらうと良いかもしれません。(別途仮設足場代もかかりますので、詳しくはリフォーム会社へお尋ねください。)

耐震リフォームの補助金制度

上記で述べたように、耐震工事は工事内容や方法によって工事費用に幅があります。地震が起こるまでは目に見える問題はないため、金額を見て先送りにしてしまうことが多いかと思います。しかし、地震はいつ起こるかわからないため、本来であればすぐにでも耐震リフォームが必要と言えるでしょう。
費用面で二の足を踏まれている方もいらっしゃるかと思いますが、多くの自治体では、耐震診断や改修工事の費用に補助金を出しています。ただし、補助金がない自治体や、金額や申請条件も自治体によって異なります。相談窓口を設けたり、情報提供をしている自治体も多いので、自治体のホームページや窓口にて、制度について確認をとってみましょう。

耐震リフォームの特別減税

耐震リフォームの実施を促すため、自治体の証明書を提出すれば、所得税の特別控除や固定資産税の減額措置を受けられる場合があります。詳しくはお住まいの自治体や、国土交通省、国税庁のホームページでご確認ください。

参考:住宅・建築物の耐震化に関する支援制度
https://www.kenchiku-bosai.or.jp/srportal/

参考:国交省 住宅・建築物の耐震化に関する支援制度
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/taisinsien1.pdf

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※2021年4月28日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。