アパートやマンションの経営では確定申告で所得を確定しますが、その際、経営にかかった費用を必要経費として計上することができます。税金は、収入から必要経費を差し引いた金額、いわゆる所得にかけられますから、必要経費を計上すれば税金が安くなるということです。必要経費についてしっかり把握し、安定経営を目指しましょう。この記事ではマンションの必要経費について詳しくお伝えします。
マンション経営で必要経費をきちんと計上するメリット
収入を得ると税金がかかりますが、家賃収入にまるまるかかるわけではありません。いろいろと控除される費用があり、必要経費もそのひとつです。確定申告で必要経費を計上すれば、その分を収入から差し引くことができます。
日本の所得税は、所得額を7段階に分け、それぞれに税率と控除額が設定されています。例えば所得金額が195万円を超えて330万円以下の場合は税率10%(控除額9万7500円)、330万円を超えて695万円以下の場合は税率20%(控除額42万7500円)です。
家賃収入が400万円、必要経費が200万円だった場合、経費計上をすれば税率は10%ですが、経費計上をしなければ20%の税率になってしまいます。経費計上した場合は税金が102,500円であるのに対し、計上しない場合は372,500円。経費計上をするのとしないのとでは、税額に大きな差が生じるということはおわかりいただけるのではないでしょうか。
できるなら、納税額は低くしたいものですよね。必要経費の計上は、節税して安定した経営を続けるためにも欠かせないものといえます。
必要経費として計上できるもの
では、マンションやアパートの経営で必要経費として認められている費用には、どのようなものがあるのでしょうか。主なものをピックアップしてご紹介します。
◎減価償却費
マンションやアパート経営にかかる大きな費用といえば、建築費用ですよね。
建築費用は高額ですが、建物は時間が経つにつれて劣化して価値が下がります。このような対象に適用されるのが「減価償却」という考え方で、建築費用など、物件を取得した際にかかった費用を耐用年数で割り、1年ごとに経費計上することができる仕組みになっています。
耐用年数は自分で決められるわけではなく、法律で細かく定められています。例えば鉄筋コンクリート造りのマンションの場合は、耐用年数47年です。仮に5000万円でマンションを新築したとしたら、単純計算で5000万を47で割った金額を毎年経費として計上できることになります。
◎マンション経営に関わる税金
アパートやマンションといった固定資産には固定資産税、都市計画税がかかりますが、これらの税金も必要経費として認められています。その他、登録免許税、不動産取得税、賃貸事業者に課せられる事業税、契約書類に必要な印紙税など、経営に付随する税金は、経費計上が可能です。
◎損害保険料
火災保険、地震保険など、建物に対する損害保険料も、必要経費の対象です。数年分をまとめて支払っている場合は、その年に該当する分が計上できます。
◎マンションの修繕費用
破損した箇所の修繕、新しい入居者のためのクリーニングなど、建物を住める状態に維持するためにかかった費用は、必要経費になります。
◎マンションの管理委託費
建物は所有するものの、賃貸管理などを管理会社に委託する場合、その費用も必要経費にできます。
◎通信費
管理会社との電話連絡や郵便連絡など、経営に必要な通信費は経費計上が可能です。
◎接待交際費
管理会社や不動産会社に挨拶する際の手土産、打ち合わせの際の飲食費など、業務上必要と認められる費用は、接待交際費として計上することができます。
プライベートの費用は計上できない
確定申告で必要経費として認められるのは、あくまでも、アパートやマンションを経営するうえで必要とされる費用だけです。例えば、業務上の打ち合わせをする飲食費は必要経費になりますが、身内の食事会などプライベートな費用は認められません。
通信費のほか、上記では紹介していませんが、交通費や新聞図書費なども、公私混同しやすい項目です。業務の経理とプライベートの家計管理は、しっかり分けておく必要があるのでご注意くださいね。
建築初年度の経費と損益通算
必要経費のうち、建築初年度に経費計上できるのは、不動産取得税、登録免許税、印紙税です。もし古い建物があって新築した場合は、立ち退き費用や取り壊し費用も計上することができます。
なお、「損益通算」という手続きが可能です。これは、初年度の不動産所得が赤字になってしまった場合、給与所得など黒字の所得と合算できるというもの。不動産所得がマイナス90万円、給与所得が300万円なら、210万円を所得として申告することができるということです。
アパートやマンション経営では、必要経費を計上することで上手に節税することができます。ぜひ参考にしてくださいね。もっと詳しく知りたいという場合は、「阪急阪神不動産」関連サービスへのご案内が当該ページ下部にリンクがございますので、ぜひお気軽にご相談ください。
※2020年7月16日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。