すまいのスタディ

2018.03.28

買う?借りる?ライフイベントを乗り越える住まい選び

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「新しい家族が増える」「仕事で遠方に転勤する」「親の介護で実家に引っ越す」「老後の終の棲家を考えたい」など、人生にはさまざまなライフイベントが起こります。

生活に変化があったときには、現在の住まいが住みにくく感じたり、引っ越さなければならない状況になったりなど、家族の暮らし方について考えなければならないでしょう。

そこで、考えられるライフスタイルの変化を想定し、「買う?」「借りる?」についてのそれぞれの対応の仕方を考えてみましょう。

子どもが生まれて家が手狭になったら?

結婚して夫婦になれば、将来的に子どもが生まれる可能性が高くなります。そんなときに「部屋が狭い」という問題が出てくることはよくあることです。

<賃貸>

賃貸に住んでいて子どもが生まれた場合、単純に広い間取りの部屋への引っ越し検討ができます。部屋数が増え、スペースが広くなれば、子育てにも余裕が生まれます。夫婦で暮らしていたときよりも1部屋多い賃貸を選ぶことで「今の住まいが手狭」という問題も解決できます。

ただし、引っ越しにはお金がかかります。新しい賃貸物件の契約時には「敷金・礼金」のほか、前家賃、不動産会社への仲介手数料、火災保険料、前家賃など、かかる費用が多岐にわたります。それに、広い間取りを選べば、これからの家賃もあがり、月々の支出が増えることは想定しておかなければなりません。

さらには、現在住んでいる物件を退去するとき、ハウスクリーニングや修繕費用を請求されることもあるでしょう。もちろん、引っ越し費用もかかります。

賃貸に住むなら、子どもが生まれたら引っ越す可能性を想定して、貯蓄をしておくと安心です。

<購入>

購入しているマイホームなら、すでに自分の住まいなのでリフォームで間取りを変更できるメリットがあります。使わない部屋やスペースを利用して子ども部屋にするなどの解決方法があります。

ただ、子どもの数が増えていくとリフォームでは対応できないこともあるかもしれません。そこで、今より広い住居への住み替えを検討するケースもあるでしょう。住み替えの場合、現在の住まいを売却しなければなりませんが、「売ること」もきちんと想定した家選びが必要です。

子どもが生まれることを見込んで、初めてのマイホーム購入時に広い間取りの住まいを選んでおけば、住み替えという面倒もなくずっと住み続けることができます。

仕事で転勤になったら?

仕事の都合で急に転勤が決まると、住まいをどうするか問題になります。

<賃貸>

仕事の都合で遠くに転勤になったとき、賃貸住まいだとかなり身軽です。引っ越し費用はかかるものの、単に引っ越せばいいだけ。家族全員で転勤先へ向かうこともできるでしょう。

<購入>

購入した住まいの場合、転勤となると「今の家をどうするか」で頭を悩ます人が多いでしょう。基本的には「売却する」「賃貸にする」という選択肢が考えられます。

売却するなら、住宅ローンを一括返済しなければならないので、残債以上で売れなければ、そもそも売却自体が難しいこともあります。

また、転勤が数年間と決まっているなら、その間だけ賃貸に出す方法もあります。転勤から戻ってくれば自分の住まいとして引き続き住むことができます。しかし借手が見つからなければ、その間の住居費の支払いがダブルでかかるので注意が必要です。

老後は?

誰もが迎える「老後」。仕事を退職しても生活は続き、住居費を含めた生活費のやり繰りに負担を感じる人も多いかもしれません。

<賃貸>

老後を迎えて悩みの種になるのは生活費。収入が減ってもなお、食費・住居費・光熱費などがかかります。さらには年齢とともに体の不調も増え、医療費の負担が厳しくなり貯蓄に手を回さなければならない状態も考えられます。そんな経済的な状況のなかでも住居費負担はずっと続きます。

賃貸の場合、なるべく負担の少ない家賃に抑えることは可能。主な収入が年金となる高齢者がほとんどですが、自分の収入に見合った家賃設定のところに引っ越すといいでしょう。

<購入>

一般的には若い世代のときに購入した住宅ローンも老後と言われる世代の頃には支払いが終わります。完済した後には毎月の生活費に「住居費」という項目がなく、その分余裕ができて安心です。そして、自分の資産になるため、将来子どもに資産として残すこともできます。

ただ、住宅ローンが終わらない状態のときに支払っている大黒柱に万が一の事態があれば...と心配される人も多いです。一般的には、マイホーム購入時には団体信用生命保険という保険に加入します。これは、通称「団信」と言い、住宅ローン契約者が死亡あるいは高度障害などで支払いができなくなったとき保険金で残債が完済されるというもの。返済が残らないため、もしもの場合には残された家族は住宅ローンの心配はせずそのまま住むことができます。

まとめ

「買う」と「借りる」で比較すると、ライフスタイルの変化に柔軟に対応できるのが賃貸派です。気軽に新しい住まいを探せばいいだけなので、急な転勤などでもお金さえあればすぐに引っ越しできるメリットがあります。

一方、将来的な資産になるという長い目で見るとメリットが大きいのが購入派。老後には住居費の心配がいらない安心感もあります。購入=身動きできない、という訳でもなく、その時々の対応をきちんと知っておくことが必要です。

住まいを選ぶときには、現在のライフスタイルを重視しがちですが、長い人生において訪れるライフイベントは多々あります。子育て、転勤、老後など、将来的なところも視野にいれて考えてみてはいかがでしょうか。

※2018年3月28日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。