ぐるり街めぐり〈兵庫・神戸三宮編〉
生田神社
かんべ、こんべ、こうべ。神戸の地名の由来となった由緒ある神社
阪急神戸三宮駅の西口から歩いて5分ほど。飲食店や人通りの多い生田筋(いくたロード)を進んだ先に、白木造りの第二鳥居、続いて朱塗りの鳥居がそびえています。繁華街・三宮の真ん中に鎮座し、地元では親しみを込めて「いくたさん」と呼ばれている『生田神社』です。生田筋は一の鳥居と神社とを結ぶ参道で、全長約400メートル。ビルが並ぶ賑やかな通りが実は参道であることや、一の鳥居は境内から少し離れた南側にあることを知らない人も多いかもしれません。樹々の緑とのコントラストも鮮やかな朱色の楼門を一礼してくぐり、まずは拝殿・本殿で参拝しましょう。
※上の写真に写っているのは、新年限定で授与されるその年の干支をモチーフにした御朱印

『生田神社』の創建は201年。はじまりは布引の滝がある砂山でしたが、799年の洪水被害を受けて現在地に遷移されたのだそうです。「806年には朝廷から、生田神社をお世話する家として『神戸(かんべ)44戸を賜った』とされています」と神社の由緒を語ってくれたのは、権禰宜(ごんねぎ)の澤田政彰さん。「かんべ」がなまって「こんべ」、そして「こうべ」と呼ばれるようになり、神戸の地名の由来となったのだとか。本殿に祀られている御祭神の稚日女尊は、神服を織る神様。糸と糸を織りなすことから、人と人との縁を結ぶご利益につながり、縁結びや恋愛成就の神社として名を馳せています。

願い事に想いを巡らせ、心癒やされる『生田の森』での散策
広い境内には、中央の拝殿・本殿のほかに、住吉神社や八幡神社などの末社も祀られています。なかでも稲荷神社の末社は、いくつもの朱鳥居が連なる人気の"映えスポット"。そして境内の北側には、『枕草子』にその名が登場したり、平安末期の源平合戦の古戦場だった『生田の森』が広がっています。「身近に親しんでいただける憩いの場となるよう、2006年に遊歩道などを整備しました」と澤田さん。『縁結びの水占い』もそのひとつ。泉に『水みくじ』をそっと浸すと、文字が浮かびあがってきます。内容を確かめたら、結び所に結ぶか、持ち帰って大切に保管してもよいそうです。

『生田神社』のご利益は、縁結びはもとより、健康長寿、商売繁盛、安全祈願など。そのご利益を祈願して、帰りにお守りやお札を授かりましょう。なかには、神戸に本社を置く子ども服ブランド『ファミリア』と2021年からコラボしている特別な授与品も。「コロナ禍の神戸の街と人を元気づけたい、お子様の成長に寄り添いたいという、共通の思いから誕生したものです」と澤田さん。神戸の地名発祥の鎮守の杜は、これからもこの街の心のよりどころであり続けるのでしょう。

【この街が好き/STAFF VOICE】

海と山があって、進取の気風に富んだ"いいとこどり"の街
私が生まれ育った神戸は、"いいとこどり"の街ですね。当たり前のように、海と山が両方ありますし。平清盛の大輪田泊大規模修築により日宋貿易の拠点港として栄え、明治の神戸港開港時には西洋文化を上手にとり入れ、文明開化の発信地として発展してきました。今でも、新しいもの、よいものは積極的に受け入れて存分に生かそうという気概が街にあふれている気がします。
生田神社 権禰宜 澤田政彰さん

●生田神社
参拝時間/7:00開門〜17:00頃閉門 ※夏季は~18:00頃閉門
電話/078-321-3851
神戸市中央区下山手通 1-2-1
https://ikutajinja.or.jp
https://www.instagram.com/ikuta_jinja/
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