借りている賃貸物件を退去するとき、「貸主からいくら請求されるのか」「敷金だけで足りるのか」と不安に感じる方もいるでしょう。
退去費用には、国が公表する間取り別の全国平均等の資料はありません。請求額は、契約書に記載されたハウスクリーニング費用、借主が付けた傷や汚れの補修範囲、借主負担となる補修箇所の内装材や設備の経過年数、短期解約違約金等によって変わります。
また、退去時に行われる修繕のすべてを借主が負担するわけではありません。民法第621条では、通常の使用によって生じた損耗や経年変化は、借主の原状回復義務から除外されています。
この記事では、原状回復費用、ハウスクリーニング費用、違約金等を含め、退去時に精算される費用を「退去費用」と総称し、借主と貸主の負担区分や経過年数を踏まえた計算方法、請求内容を確認する手順を解説します。
退去費用に一律の相場はない

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、間取り別や居住年数別の退去費用について、全国平均額の調査・集計は行われていません。退去費用は部屋の広さだけでなく、契約内容や室内の状態によって大きく変わります。
例えば、同じ1LDKでも、契約上のハウスクリーニング費用だけで精算が終わるケースと、喫煙やペットによる汚れ・臭いの除去まで請求されるケースでは、請求額が異なります。
退去費用を確認するときは、間取り別の参考額だけで判断せず、次の項目を確認してください。
| 金額を左右する項目 | 確認する内容 |
| 契約上の費用 | 退去後に行われるハウスクリーニング、エアコン洗浄、鍵交換等の特約 |
| 損傷の原因 | 通常損耗か、借主の故意・過失等によるものか |
| 補修範囲 | 損傷部分、壁一面、居室全体のいずれか |
| 経過年数 | 前回の張り替えや設備交換から何年経過しているか |
| 使用状況 | 喫煙、ペット飼育、清掃不足、水漏れの放置等 |
| その他の精算 | 未払賃料、短期解約違約金、残置物の撤去費用等 |
請求額が妥当かどうかは、相場より高いか低いかではなく、各項目の契約上の根拠と計算方法によって判断します。
退去費用の内訳と敷金との関係

退去時に精算される費用は、原状回復費用だけではありません。契約上のハウスクリーニング費用、短期解約違約金、未払賃料等が併せて精算されることになります。
請求書や精算書を確認するときは、費用を一括して捉えず、各項目ごとに契約上の根拠を確かめましょう。
本章では、以下の内容を解説します。
- 借主の故意・過失等による原状回復費用
- ハウスクリーニングや鍵交換等の契約上の費用
- 短期解約違約金や未払賃料等のその他の精算
借主の故意・過失等による原状回復費用
借主の不注意や手入れ不足、通常の使用方法を超えた使い方によって生じた傷や汚れは、借主負担になる可能性があります。
例えば、次のような損傷が該当します。
- 引っ越し作業で付けた床や壁の傷
- 飲み物を放置したことによる床のシミ
- 清掃不足によって固着したキッチンの油汚れ
- 結露や水漏れを放置して拡大したカビ
- 下地ボードの交換が必要な釘穴やネジ穴
- タバコのヤニや臭い
- ペットによる柱や壁の傷、尿のシミ
- 無断で行ったDIYによる損傷
借主に責任がある場合でも、新品へ交換する費用の全額を無条件で負担するわけではなく、損傷した範囲や部材の経過年数も考慮されるのが一般的です。
ハウスクリーニングや鍵交換等の契約上の費用
賃貸借契約書には、次のような費用を借主負担とする特約が記載されていることがあります。
- 退去時の定額ハウスクリーニング費用
- エアコン内部洗浄費用
- 鍵交換費用
- 畳表や襖紙の張り替え費用
- ペット飼育時の消臭・消毒費用
借主が通常の清掃を行っている場合、次の入居者を確保するために行う専門業者のハウスクリーニングは、国土交通省のガイドラインでは貸主負担に分類されています。
一方、契約書にハウスクリーニング費用を借主が負担する特約が設けられているケースもあります。退去時のトラブルを防ぐため、契約締結前に契約書の特約内容をよく確認するようにしてください。
短期解約違約金や未払賃料等のその他の精算
次の費用は原状回復費用ではありませんが、退去時に併せて精算されます。
- 短期解約違約金
- 未払賃料
- 解約予告期間に対応する賃料
- 残置物の撤去費用
- 敷金償却や敷引き
- 契約違反に基づく違約金
例えば、契約から1年未満で解約した場合に、賃料1か月分を支払う特約が設けられている物件があります。
請求内容を確認するときは、原状回復費用、特約に基づく費用、その他の契約上の債務に分け、それぞれの契約条項と計算根拠を確認してください。
敷金償却や敷引きについても、契約書に記載されていれば常に有効になるとは限りません。借主が内容を理解して合意していたか、消費者の利益を一方的に害する内容ではないか等を踏まえ、トラブルになった場合は最終的に裁判所が判断します。
借主が払わなくてよい費用と払う費用

原状回復は、入居した当時の新品状態へ戻すことではありません。
通常の使用によって生じた損耗や経年変化は原則として貸主が負担します。借主が負担するのは、故意・過失、手入れ不足、通常の使用方法を超えた使い方等によって生じた損傷です。
本章では、以下の内容を解説します。
- 貸主負担になるもの
- 借主負担になるもの
貸主負担になるもの
次のような劣化や損耗は、原則として貸主が負担します。
| 状態 | 貸主負担となる理由 |
| 家具を置いたことによる床のへこみ | 通常の生活で生じる損耗 |
| 日照による畳や床の変色 | 自然現象による経年変化 |
| テレビや冷蔵庫の後ろの黒ずみ | 通常使用による電気焼け |
| カレンダー等を貼った跡 | 通常の生活範囲 |
| 下地交換を要しない画鋲やピンの穴 | 通常の掲示方法による損耗 |
| 日照によるクロスの変色 | 自然現象による経年変化 |
| 設備の寿命による故障 | 借主の責任によらない故障 |
| 紛失や破損がない場合の鍵交換 | 次の入居者に備える管理上の費用 |
| 通常の清掃後に行うハウスクリーニング | 次の入居者を確保するための費用 |
| 破損していない浴槽や設備の交換 | 次の入居者を確保するための費用 |
実際の負担区分は、契約内容や損傷の原因によって変わります。例えば、家具を設置していた場合でも、重量物を不適切な方法で置いて床を破損させた場合は、借主負担になる可能性があります。
借主負担になるもの
次のような損傷は、借主負担になる可能性があります。
| 状態 | 借主負担となる理由 |
| 飲み物を放置してできた床のシミ | 手入れ不足 |
| 引っ越し作業で付けた床や壁の傷 | 借主側の作業による損傷 |
| 清掃を怠ったキッチンの油汚れ | 日常の管理不足 |
| 放置した結露によるカビ | 損傷を拡大させたため |
| タバコによるヤニや臭い | 通常使用を超える損耗 |
| ペットによる傷や臭い | 飼育による損傷 |
| 落書き | 故意による損傷 |
| 下地交換が必要な釘穴やネジ穴 | 通常の掲示方法を超えるため |
| 鍵の紛失や破損 | 借主の管理不足 |
| 元の状態に戻せない無断DIY | 契約上の使用方法を超えるため |
借主負担となる場合でも、補修する範囲は損傷した部分に限定するのが一般的です。具体的な補修範囲まで記載されている契約書もあるので、契約締結前に特約内容を確認してください。
退去費用の主な計算根拠

退去費用は、一つの計算式で一律に算出できません。部材によって、借主が負担する範囲や経過年数の扱いが異なるためです。
原状回復費用は、次の順序で確認します。
- 借主に責任がある損傷か
- 補修が必要な範囲はどこまでか
- 経過年数を考慮する部材や設備か
- 前回の施工・交換から何年経過しているか
- 契約上の費用が加わるか
クロスは6年で残存価値が1円相当になる
国土交通省のガイドラインでは、壁や天井のクロスについて、6年で残存価値が1円になるように借主の負担割合を算定する考え方が示されています。
入居時に新品だったクロスを単純化して計算すると、残存価値割合の目安は次のとおりです。
| 前回の張り替えからの年数 | 残存価値割合の目安 |
| 1年 | 約6分の5 |
| 2年 | 約3分の2 |
| 3年 | 約2分の1 |
| 4年 | 約3分の1 |
| 5年 | 約6分の1 |
| 6年以上 | 1円相当 |
例えば、借主の過失でクロスを汚し、損傷箇所を含む壁一面の張り替え費用が6万円かかるケースを考えます。
前回の張り替えから3年が経過し、残存価値割合を約50%とすると、クロスに関する借主負担額は3万円程度が目安となります。
ただし、入居時点ですでにクロスが使用されていた場合は、入居期間ではなく、前回の張り替えからの経過年数を確認することとされています。
クロスの負担範囲は損傷箇所を含む一面までが目安
クロスに小さな傷があるだけで、居室全体の張り替え費用を請求されるケースがあります。
国土交通省のガイドラインでは、クロスの張り替え費用の借主負担は平方メートル単位で算定することが望ましいとされています。色や模様を合わせる必要がある場合でも、損傷箇所を含む壁一面までが借主負担の目安とされています。
一方、喫煙によるヤニや臭いが居室全体に付着している場合は、居室全体のハウスクリーニング費用やクロスの張り替え費用が借主負担になる可能性があります。
フローリングの部分補修では経過年数を考慮しない場合がある
フローリングは、クロスと計算方法が異なります。
一部に付いた傷を補修する場合、補修後も床全体が新品になるわけではありません。そのため、国土交通省のガイドラインでは、フローリングの部分補修について経過年数を考慮しない考え方が示されています。
ただし、借主負担の範囲は、補修工事が可能な最低限の施工単位とされています。
フローリング全体に損傷があり、床全体を張り替える場合は、建物の耐用年数も考慮に入れて負担割合を算定する考え方が示されています。
畳表や襖紙は経過年数を考慮しない
国土交通省のガイドラインでは、畳表、襖紙、障子紙等は、消耗品に近い部材として扱われます。借主の故意・過失による損傷があれば、経過年数を考慮せず、損傷した枚数分の費用を負担する場合があります。
ただし、借主が傷を付けていない畳表や襖紙を、次の入居者を確保するために交換する費用は、原則として貸主負担です。
鍵の紛失や清掃不足による費用では経過年数を考慮しない
借主が鍵を紛失または破損した場合、シリンダーの交換費用については経過年数を考慮せず、借主負担とする考え方が示されています。
また、通常の清掃を行わなかった結果、専門業者による追加のハウスクリーニングが必要になった場合も、経過年数による減額は行わず、必要な清掃費用を借主が負担することがあります。
居住年数ではなく部材や設備の経過年数を確認

「6年住めば退去費用を払わなくてよい」と考えるのは誤りです。
借主の負担割合を確認するときは、入居期間だけでなく、内装材や設備を前回施工・交換した時期を確認します。
例えば、入居時に新品だったクロスであれば、居住年数とクロスの経過年数はおおむね一致します。一方、入居前から3年間使用されていたクロスに3年間入居した場合、クロスの経過年数は合計6年です。
6年という基準は、主にクロス、カーペット、クッションフロア等の残存価値を考える際に用いられます。6年以上住んでも、次の費用がなくなるわけではありません。
- 有効な特約に基づくハウスクリーニング費用
- 鍵の紛失や破損による交換費用
- フローリングの部分補修費用
- 畳表、襖紙、障子紙等の補修費用
- 喫煙やペットによる消臭・清掃・補修費用
- 残置物の撤去費用
- 未払賃料や短期解約違約金
クロスの残存価値が1円相当になっていても、故意に壁へ落書きをした場合等は、補修工事に伴う費用の一部を求められることがあります。残存価値と借主の責任の有無は、分けて確認してください。
長期的な住居費を比較し、賃貸物件に住み続けるか、持ち家を購入するか検討したい方は、以下の記事も参考にしてください。 |
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退去費用が高額になりやすい7つの原因

退去費用が10万円、20万円と高額になるケースでは、補修範囲が壁や床の下地まで及んでいることがあります。
高額になりやすい原因を確認し、入居中の使い方や手入れを見直しましょう。
本章では、以下の内容を解説します。
- 室内でタバコを吸っていた
- ペットによる傷や臭いがある
- 水回りやキッチンを清掃していない
- 結露や水漏れを放置していた
- 無断でDIYや設備変更を行った
- 引っ越し作業で床や壁を傷つけた
- 鍵を紛失・破損した
室内でタバコを吸っていた
タバコのヤニや臭いが居室全体に付着すると、クロスの全面張り替えや消臭作業が必要になることがあります。
クロスの一部に傷や汚れがある場合、損傷箇所を含む壁一面が借主負担の目安とされています。ただし、喫煙による汚れや臭いが居室全体に及ぶ場合は、居室全体のハウスクリーニング費用や張り替え費用が借主負担になる可能性があります。
ペットによる傷や臭いがある
ペットによる柱の引っかき傷、尿のシミ、臭い等は、通常損耗とは扱われません。
クロスや床材だけでなく、壁や床の下地まで臭いや汚れが浸透すると、補修範囲が広がります。ペット飼育に関する特約がある場合は、消臭・消毒・補修費用の記載も確認してください。
水回りやキッチンを清掃していない
通常の清掃で落とせる汚れを放置し、カビや油汚れが固着した場合は、借主負担になる可能性があります。
浴室のカビやキッチンの油汚れについては、汚れの程度に加え、日常的な清掃や手入れを行っていたかも判断材料になります。
結露や水漏れを放置していた
結露が発生しただけで、直ちに借主負担になるわけではありません。
拭き取りや換気を行わず、貸主や管理会社にも連絡しなかった結果、カビや腐食が広がった場合は、借主の管理不足と判断される可能性があります。
設備の故障や漏水に気付いたときは、自分で修理せず、すぐに貸主または管理会社へ連絡してください。
無断でDIYや設備変更を行った
壁への塗装、造作棚の設置、床材の変更等、元の状態に戻せないDIYは、原状回復費用の対象になります。
賃貸物件の内装や設備を変更する場合は、契約書を確認したうえで、事前に貸主または管理会社へ相談し、書面で承諾を得てください。
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引っ越し作業で床や壁を傷つけた
家具や家電の搬出時に付けた傷は、通常損耗ではありません。
大型家具を運ぶ場合は、床、壁、建具、ドア枠等を養生してから作業してください。引っ越し業者が傷を付けた場合は、発見後すぐに写真を撮り、引っ越し業者へ連絡します。
鍵を紛失・破損した
次の入居者に備えて行う鍵交換は、原則として貸主側の管理費用です。
一方、借主が鍵を紛失または破損した場合は、シリンダー交換を含む費用が借主負担になります。鍵の紛失に伴う交換費用では、経過年数を考慮しない考え方が示されています。
退去費用のトラブルを防ぐために入居時・入居中・退去時に行うこと

退去直前に清掃しても、長期間放置した傷や汚れを元に戻せるとは限りません。
退去費用を抑え、入居前からあった傷を請求される事態を防ぐには、入居時から室内の状態を記録しておく必要があります。
本章では、以下の内容を解説します。
- 入居時に室内状況確認書と写真を残す
- 契約書の特約を確認する
- 故障や水漏れはすぐに連絡する
- 退去前に通常の範囲で清掃する
- 退去時も室内の写真と動画を残す
- 退去立会いでは書類の内容を確認してから署名する
入居時に室内状況確認書と写真を残す
退去時の写真だけでは、傷や汚れが入居前からあったのか、入居中に生じたのかを比較できません。
入居時に、壁、床、建具、水回り、収納、設備等を撮影し、傷や汚れの位置を室内状況確認書や入居時チェックシートへ記入します。
記入した書類は管理会社または貸主へ提出し、写しを保管しておいてください。
写真は、部屋全体が分かるものと、傷や汚れを近くから撮影したものの両方を残します。撮影日を確認できる状態にし、退去費用の精算が終わるまで保管しましょう。
契約書の特約を確認する
契約書では、次の言葉が記載された条項を確認してください。
- 退去時
- 原状回復
- ハウスクリーニング
- エアコン洗浄
- 鍵交換
- 畳・襖
- ペット
- 敷金償却
- 敷引き
- 短期解約違約金
- 解約予告
定額のハウスクリーニング費用が記載されている場合は、室内を清掃しても契約上の費用が発生することがあります。
ただし、清掃を行わなくてよいという意味ではありません。汚れを放置したことで追加作業が必要になれば、特約の金額とは別に費用を請求されます。
故障や水漏れはすぐに連絡する
設備の故障、水漏れ、結露、カビ等を発見したら、貸主または管理会社へ連絡します。
故障や水漏れを放置して損傷が広がると、借主の管理不足を理由に、拡大した部分の修繕費を請求される可能性があるためです。
電話だけでなく、メールや問い合わせフォームも使用し、連絡した日時と内容を残してください。
退去前に通常の範囲で清掃する
退去前には、次の箇所を清掃します。
- キッチンの油汚れ
- 換気扇やレンジフード
- 浴室の水垢やカビ
- トイレや洗面台
- 床や巾木
- 窓やサッシ
- ベランダ
- エアコンのフィルター
高額な費用をかけて清掃業者を手配する必要はありません。通常の清掃で落とせる汚れを取り除くことが目的です。
退去時も室内の写真と動画を残す
荷物を搬出して清掃が終わったら、室内の状態を撮影します。
部屋全体の動画に加え、壁、床、水回り、収納、建具、設備等を個別に撮影してください。汚れや傷がある部分は、位置が分かる写真と、状態が分かる接写の両方を残します。
撮影日を確認できる状態で保存し、入居時の写真や室内状況確認書と比較できるようにしてください。国土交通省のガイドラインでも、入居時と退去時に室内の状態を確認し、写真やチェックリストを残す方法が示されています。
退去立会いでは書類の内容を確認してから署名する
退去立会い時の書類には、傷や汚れの位置を確認するだけの書類と、修繕費の負担や金額への同意を含む書類があります。
署名を求められた場合は、次の点を確認してください。
- 室内の状態を確認する書類か
- 費用負担への同意を含む書類か
- 補修範囲や金額が記載されているか
- 後日提示される見積書への包括的な同意を含んでいないか
補修範囲や金額を確認できない場合は、「見積書と契約書を確認したうえで回答します」と伝えます。
署名した場合は、書類の控えを受け取ってください。
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退去費用に関するよくある質問

退去費用について、よく寄せられる質問をまとめました。敷金や居住年数、ハウスクリーニング特約等に関する疑問を確認してください。
退去費用が敷金を超えることはありますか?
借主が負担する原状回復費用や契約上の費用が敷金を超えれば、追加請求されることがあります。
反対に、敷金から差し引く費用が少なければ、残額が返還されます。
敷金償却や敷引きの特約がある場合は、契約書の記載だけでなく、借主が内容を認識して合意していたかも確認してください。
敷金なしの物件でも退去費用はかかりますか?
敷金なしの物件でも、借主が負担すべき原状回復費用や、契約上のハウスクリーニング費用等があれば請求されます。
敷金は賃貸借契約上の債務を担保するために預ける金銭です。敷金を預けていないことは、退去時の負担がなくなることを意味しません。
敷金がない場合は、精算後の借主負担額が直接請求されます。
退去費用は何年住めば払わなくてよくなりますか?
一定年数住めば、すべての退去費用がなくなるというルールはありません。
クロス等は6年で残存価値が1円相当になりますが、ハウスクリーニング特約、鍵の紛失、フローリングの部分補修、清掃不足による汚れ等は別に判断されます。
入居期間だけでなく、部材や設備を前回施工・交換した時期も確認してください。
ハウスクリーニング特約があれば退去前の掃除は不要ですか?
ハウスクリーニング特約があっても、通常の清掃まで不要になるわけではありません。
清掃を怠ったことで油汚れやカビが固着し、通常のハウスクリーニングを超える作業が必要になった場合は、特約の費用とは別に追加費用を請求される可能性があります。
退去前には、キッチン、水回り、床、窓等を通常の範囲で清掃してください。
退去費用に納得できない場合は払わなくてもよいですか?
請求内容に納得できなくても、連絡せずに放置するのは避けてください。
貸主または管理会社へ異議のある項目と理由を伝え、写真、明細、補修範囲、経過年数、契約上の根拠説明等を求めます。
話し合いで解決しない場合は、消費生活センターや弁護士等へ相談してください。
退去立会いで署名した後でも請求内容を確認できますか?
署名した書類の内容によって異なります。
傷や汚れの位置を確認しただけの書類か、費用負担や金額への同意を含む書類かを確かめてください。
署名した書類の控えを受け取り、契約書や請求明細と併せて、消費生活センターや弁護士等に相談します。
まとめ
退去費用について、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、間取り別の全国平均額の調査・集計は行われていません。
請求額は、契約上のハウスクリーニング費用、借主に責任がある損傷の有無、補修範囲、内装材や設備の経過年数、違約金等によって変わります。
請求書や精算明細を受け取ったときは、次の点を確認してください。
- 借主の故意・過失等による損傷か
- 通常損耗や経年変化が含まれていないか
- 補修範囲が損傷箇所に対応しているか
- 前回の施工・交換時期が確認されているか
- 経過年数を考慮する部材か
- 契約書の特約と請求内容が一致しているか
- 単価、数量、借主負担割合が明記されているか
入居時と退去時には室内の写真や確認書を残し、設備の故障や水漏れを発見した場合は、すぐに貸主または管理会社へ連絡してください。
請求内容に疑問があるときは、請求書を放置せず、契約書と国土交通省のガイドラインを確認します。そのうえで、補修箇所、施工範囲、経過年数、計算根拠等について説明を求めましょう。
退去を機に今後の住居費や暮らし方を見直すなら、持ち家への住み替えも視野に入ります。『阪急阪神の仲介』では、物件探しから資金計画、契約、引き渡しまでワンストップでサポートしておりますので、理想の住まい探しを始めたい方はぜひご相談ください。








