久々に小上がりの和室(畳コーナー)をつくっています。
「小上がり」とは、リビングの一角などに床を一段高くした部分を言い、畳を敷くことが多いです。
他の部分より床が一段高くなっているので、小上がりの上で座ってくつろいでいる時でも、他のところにいる人と目線の高さが近く、コミュニケーションが取りやすかったり、床を上げている空間を利用して大容量の収納を確保できたりします。
また、空間に立体感(高低差)ができることにより、広いLDKにメリハリをつけることができます。
リノベーションのご要望の中でも小上がりを希望される方は多い一方、空間的な制約があったり、全体の工事費における小上がり造作分の費用割合が高くなりがちで、最終的に工事をすることは意外と少ないものです。
今回のお客様はコタツをこよなく愛するご家族で、普段からお食事をする時や、寛ぐ時も基本的にコタツを囲んで過ごされているので「床」スペースが欲しい。また、マンションという限られた空間の中で、将来的な収納容量を平面プラン(間取り)上でを確保するよりも立体的に構築する方が家全体を広々使えるということから今回小上がりを作ることになりました。
手前に立ち上がっているのは腰壁と言って、1メートル位の高さの壁にしています。
小上がり空間に区切りをつけることで、他のところからの視線は通しながらも落ち着く空間になるようにしています。また、腰壁のリビング側(手前側)はソファを置くスペースになっています。
写真左側に小上がりに上がるための階段も少し写っていますね。
小上がりでも腰壁や階段まで付いているものは珍しいかもしれません。
小上がりの床下です。(青いのは養生材です。)
半畳分の収納が8箇所、一畳の収納が2箇所あります。超大容量です。
季節物の衣服や来客布団、季節家電や趣味のコレクションなど、たっぷり収納できますね。
真ん中の棒は物の出し入れの際外せるようになっています。上に板と畳を置くのですが、床がたわまないように大工さんが作ってくれました。
側面の板の真ん中に付いている白くて丸いものは通気口です。
小上がりは一度仕舞い込むと普段はあまり開けることがなく、湿気が籠ってしまいがちです。
写真には写っていませんが、手前側の段差と奥に写っている壁の向こう側に空気が抜ける穴があり、湿気が籠りにくい工夫をしています。
実はこれも現場(大工さん)からのアイデアでつけることになりました。
現場の人間は基本的にお客様にお会いする機会がほとんどありません。なので、どうしても仕事は図面に描かれているものだけを正確につくることに専念してしまいがちです。
ここに入ってくれている業者さんは、図面に描かれているものを正確につくるのはもちろん、使い勝手や耐久性、お客様が住んでからのことも考えながら色々アイデアをくれたり、時には設計変更を提案してくれたりもします。お客様目線を忘れず、良いものをつくろうとしてくれる現場に本当に感謝です。
小上がり収納のフタです。引き上げる時に手を入れる穴も角を丸くしてくれています。
これで小上がりの下地はほぼ完成です。
これから他の部分の壁や仕上げ材を施工したらリノベーション完成です。
小上がり以外には障子を使っていたり、広い土間があったりとこだわりが詰まった素敵なお家になりそうです。
今後事例としてアップされると思うので、お楽しみに。