ライフスタイルの変化や、転勤に伴う引っ越しなどの事情により、家の買い替えを迫られることがあります。
家を買い換えるタイミングによっては住みたい物件が見つからない、自宅の売却がうまくいかない等の問題が起こることもあり得ます。タイミングをしっかり見極め、手順を踏んで準備を進めることが買い替え成功のコツになります。
この記事では、家を買い替えるときの最適な方法と、諸経費、税金について説明します。
家の売却の方法は2つ
家を売却する方法は大きく2種類に分けられます。今まで住んでいた住居を先に売却する「売り先行」と、売却前に買い替え物件を購入する「買い先行」の2種類です。
売り先行、買い先行には、それぞれメリットとデメリットがあります。どのような特徴があるか、見ていきましょう。
◎売り先行
売り先行は、今まで住んでいた住居を売ってから、新しい家を購入することをいいます。売却する価格、もしくは、おおよその売却見積額がわかるので、その額をもとに新しい家の購入計画が立てられるというメリットがあります。また、今の家が売れてから新しい家を買えばよいので、慌てて売却しなくても大丈夫です。
反面、家が売れて引き渡しが済んでも、次の住まいが決まらない事態になることもあります。その場合は気持ちが焦り、希望とは異なる物件を購入してしまうリスクがあることがデメリットといえるでしょう。
◎買い先行
買い先行は、先に新しい家を購入してから古い家を売却するパターンです。この場合は、今の家に住みながら、じっくりと時間をかけて新しい家を探せることがメリットといえます。
しかし、買い先行では、売却前にそれなりの資金を用意しておかなければいけないのがデメリットです。さらに、売却が進まない場合、気持ちが焦って希望よりも低価格で売却してしまう可能性があることもデメリットといってよいでしょう。
家の買い替えの流れ
家の買い替え前に、どのような流れで行うのか把握しておき、実際の買い替え時に戸惑わないようにしておきたいものです。売り先行、買い先行に共通する、基本的な買い替えの流れについてご説明します。
◎不動産業者への査定と見積もり依頼
不動産業者に物件の査定と見積もりを依頼します。家の買い替えにおいても、信頼できる不動産業者とのめぐり合わせが、買い替えの成功につながるポイントです。相場を知るためにも、複数の不動産業者に見積もりしてもらうのがよいでしょう。
◎媒介契約
見積もりを比較して、依頼する不動産業者を決定したら、媒介契約を結びます。媒介契約とは、不動産売買や賃借のための営業を、不動産会社に依頼する契約のことをいいます。
複数の不動産会社と同時に契約できる「一般媒介契約」と、特定の不動産会社一社と契約し、売り主自身が買い手を探すことが可能な「専任媒介契約」、特定の不動産会社一社と契約し、売り主自身が買い手を探すことが不可能な「専属専任媒介契約」の3種類があります。
◎広告活動
媒介契約を締結し、売り出し価格を決定した後は、広告宣伝活動に入ります。「レインズ」と呼ばれる不動産会社専門の不動産検索サイトへの登録や、インターネット広告、新聞への折り込み広告、ポスティングなどにより、販売活動を行います。専任媒介契約、専属専任媒介契約の場合、売り主に対しての報告義務があります。
物件の「内覧会」も、大事な広告活動のひとつです。物件を綺麗に掃除し、明るい対応をすることが大切です。
◎売買契約
売買の話がまとまったら、売買契約の手続きを行います。なお、契約手続きの際に、買い主から手付金を受け取ります。契約内容はしっかりと確認し、不明な点があればうやむやにせず不動産会社から説明を受けることが大切です。
◎引き渡し
物件の引渡日が決まったら、ローンが残っている場合はローンの解約を行い、抵当権を抹消します。引き渡し手続きでは、売買代金を買い主から受領し、物件の引き渡し(鍵のお渡し)を行います。また、同時に設備や備品などの立会確認も行います。
家の売却にかかる諸経費
家の売却には、さまざまな経費がかかります。「知らなかった」ということのないように、確認しておきましょう。
◎仲介手数料
不動産売買の仲介をした不動産会社に対して支払う手数料です。なお、仲介手数料は成果報酬ですので、売買契約が成立しなかった場合、仲介手数料の支払いは必要ありません。
◎収入印紙代
売買契約書に貼る収入印紙代が必要になります。収入印紙を売買契約書に貼って割り印を押すことで、納税を果たしたとみなされます。物件の売却金額によって、必要な収入印紙代も異なります。
◎住宅ローン関係
不動産購入時に住宅ローンを組んだ場合、ローンの担保として対象の不動産を抵当に入れることになります。売却にあたりローンを完済しただけでは、抵当権は抹消されないため、抵当権抹消のための登記申請が必要になります。
すでにローンを完済している場合は、自分で手続することもできますが、ローンの残債を売却費用で完済する場合、司法書士に依頼して手続きを行ってもらうことになります。
また、本来の住宅ローン期間より早く繰上返済をすることになりますので、住宅ローンを借り入れている金融機関に対し、繰上返済手数料を支払います。
◎税金
物件を購入した時よりも高く売却でき「不動産売却益」が発生した場合、所得税と住民税の対象となります。不動産売却益は、売却価格から、諸経費や特別控除、新しい不動産を取得するためにかかった費用を差し引いて計算します。
◎その他
家を売るときのハウスクリーニング代、更地にするための解体費用、引っ越しで出た廃棄物の処分など、不動産売買に付随して実施したことがあれば、その分の実費が必要になることもあります。
売却時に利用できる控除と特例
最後に、不動産売却をしたときに利用できる控除と特例について、ご紹介します。下記どちらの場合も、国税庁のウェブサイト(http://www.nta.go.jp/)で詳細を確認できます。
◎売却益が出た場合
不動産売却により売却益が出た場合、譲渡所得として所得税と住民税の支払いが生じます。
しかし、特定の要件を満たすことができれば、最高3,000万円の特別控除を受けることが可能です。「居住用の不動産であること」「売却した年の前年や前々年に特例を受けていないこと」「親子や夫婦の間で不動産の売買ではないこと」などいくつかの要件を満たすことが必要です。
さらに、売却した居住用不動産の所有期間が10年を超えている場合は、「軽減税率の特例」を受けることができます。
◎売却により損失が出た場合
不動産を売却して損益が出た場合、売却した年の他の所得と相殺し、所得税と住民税を減らすことができます。
さらに、売却した年の所得よりも譲渡損失の方が大きく相殺できない場合、翌年以降の所得からも繰り越しで差し引ける場合があります。これを「繰越控除」といいます。
譲渡損失の繰越控除は、買い替えの場合に利用できる「居住用財産の買換え等による譲渡損失の損益通算及び繰越控除」と、買い換えなくても利用できる「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除」の2種類があります。
家の買い替えの流れや、売却時に利用できる控除を把握して、上手な買い替えを目指しましょう。
不動産に関するお悩みやお困りごとは、『阪急阪神不動産』にぜひご相談ください。
※2019年10月7日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。