すまいのスタディ

2021.05.21

屋根のリフォームにはどれくらいかかる?工法や費用について解説します

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リフォームというとお風呂やキッチン、間取りの変更を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、快適な戸建住まいを保つためには、屋根の定期的なメンテナンスやリフォームも必要です。屋根のリフォームが必要になる状況、工法の種類、費用などについて説明します。

屋根のリフォームを行う理由

屋根は風雨だけでなく様々なものから家を守ってくれています。雨漏りなどの実害がなくても、屋根の劣化は意識しておきましょう。屋根材の経年劣化だけでなく、紫外線を含む太陽光、排気ガスや交通による継続的な微振動、地震・台風・異常気象などの天災により、屋根材の表面劣化、ズレや落下、破損があります。
これらを放っておくと、屋根材の下の「ルーフィング」という防水材・下地材や構造材へも影響を与え、工事範囲が広がる可能性もあります。
目に見えない部分で家を守ってくれている大切な屋根ですので、定期的な調査やメンテナンス、リフォームが必要です。

屋根のリフォーム工法+α

屋根のメンテナンス・リフォーム工法は、大別すると3つあります。それぞれのメリットとデメリットを説明します。

塗装

塗装は、既存の屋根をそのまま利用し、屋根材の表面を塗り直して耐久性を維持・向上する工法です。

メリットは工期の短さです。屋根の広さにもよりますが、だいたい10日~2週間程度となります。また、価格帯が幅広く、予算に合わせて選択できることや、遮熱性や防藻性・防カビ性などの機能を持った塗料で、美観維持を実現できることもメリットです。
デメリットは、表面的なリフォームのため、屋根材の下にある防水材や下地材は現状のままとなること。塗装だけで屋根性能を維持するなら、塗料の耐用年数に応じた定期的なメンテナンスが必要なため、長期的な費用総額が多くなることが挙げられます。

葺き替え

葺き替えは、既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材を施工する方法です。屋根材や下地の選択により費用が異なりますので、価格帯は塗装よりも幅広くなります。

メリットは、屋根材の下の防水材も交換できるため、家全体の耐水性能が向上すること。また、既存の屋根材よりも軽い屋根材にすれば、耐震性が向上します。

デメリットは、屋根材の撤去により工期と費用がかさむことです。新しい屋根材の費用のほかに、古い屋根材の処分費用、工期の分の人件費もかかります。

※古い屋根材でアスベストを含有している場合は撤去・処分費用が高額になるのでご注意下さい。現在は使用禁止のアスベストですが、例えば人工スレートでは2004年以前は繊維材料の代わりに使用されていました。アスベストを含有した屋根材の場合は、解体時・搬出・処分等に取り扱い基準があるため、事前調査等が必要です。

重ね葺き

重ね葺きは「カバー工法」ともいい、既存の屋根材の上から新しい防水材を施工した上で、新しい屋根材をかぶせる工法です。屋根材が劣化していても、下地はそのまま利用できる場合に適しています。ただし、瓦など凹凸のある屋根には施工できません。

メリットは、廃材処分の必要がないため、撤去や処分費用が抑えられること、工期が短くできること。もちろん見た目もきれいになります。また、屋根が二重構造になるので、遮熱性能の向上もメリットといえます。

デメリットは、「塗装」と同様、防水材や下地材は現状のままになること、カバー工法に使用する材料は軽い素材が多いとはいえ新たな屋根材・防水材の分だけ屋根が重くなることです。既存の下地に問題がないか、屋根が重くなっても耐震面で問題がないか、施工業者に事前確認をすると安心です。

ルーフィング

「ルーフィング」は屋根材の下に施す防水材の一種です。防水材は外観から点検できない為、屋内側で雨漏れが発生した時には、屋根材・防水材に劣化が疑われるため、早急な対応が必要です。屋根の工事をする際には、ルーフィングの劣化状況を確認しておきましょう。

屋根素材とメンテナンス・リフォーム費用の相場

屋根の造りは様々で、高さ規制などの立地条件、気候風土に適した材料(寒冷地・塩害)、そしてデザインや予算によっても変わりますし、施工方法も時代に応じて変化しています。ここでは、メジャーな屋根材について、メンテナンスの内容や費用を紹介します。

①粘土瓦

耐久性・耐火性・耐水性・断熱性・防音性等に優れ、寿命は50~100年程度と言われています。築50年以上の古い建物では、瓦の固定のために「葺き土」と言われる粘土を使用し、さらに葺き土の保護と隙間からの雨水を防ぐ仕上げ材に「しっくい」を塗っています。この葺き土やしっくいの劣化のため、メンテナンスが必要になります。また、瓦自体に割れやズレがある場合、雨水が浸入し、葺き土やしっくいの劣化や、下地や構造材を腐らせる事に繋がるため、メンテナンスが必要です。(なお、現在の建築では、木材と釘で瓦を固定する工法が主流のため、ズレや落下のリスクは軽減されています。)
しっくいのメンテナンスは10~20年ごとに必要となり、割れやズレが生じている瓦は、部分的に交換したり、再施工する必要もあります。

しっくい等の補修は約50,000円~約300,000円。
瓦の葺き替えるは約25,000円/㎡~(撤去・処分・下地工事を含む)となります。
なお、屋根の大きさ・補修範囲・選ぶ素材により値段が大きく変わります。
※仮設足場工事は含みません。

②金属屋根

金属屋根で代表的なものは2種類あります。ひとつは、明治時代頃から使用されてきたトタン屋根(亜鉛鉄板)。錆びやすく定期的な塗装が必要で、耐熱性・断熱性が乏しいという欠点がありました。
もうひとつは、トタンの約5倍の耐久性を持つ、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板・シリコンの合金である「ガルバリウム鋼板」です。現在の金属屋根の主流で、約20年以上も錆を防ぎ、塗料により耐用年数や遮熱性と付加価値をつけたものも登場しています。ただし、断熱性・遮音性能が低い、飛来物による凹みが発生しやすいというデメリットもあります。

リフォーム費用の目安は以下の通りになります。
塗装リフォームの目安価格は約3,000円/㎡~(高圧洗浄・下地処理含む)。
カバー工法に採用する場合、約11,000円/㎡~。
重い屋根材から葺き替えする場合にも約15,000円/㎡~(撤去・処分・下地工事含む)。
※仮設足場工事は含みません。

③スレート屋根(人工スレート)

スレートには人工スレートと天然スレート(粘板岩などの天然石を薄い板状にしたもの)があります。天然スレートは、希少材・施工難易度が高く高額なため、採用されるケースが少なく、ここでは人工スレートについて説明します。

人工スレートの防水は表面塗装によるものですので、塗膜の劣化だけでなく、ヒビや割れにより雨水が屋根材に浸透してしまいます。衝撃に強くないため飛来物で破損することがあり、定期的な点検と、塗膜塗装などのメンテナンスが必要となります。
定期点検ではヒビや割れ・ズレの有無、表面塗膜の劣化を確認し、必要に応じて、部分交換や塗装をする必要があります。

塗装の場合、約3,000円/㎡~(高圧洗浄・下地処理含む)。
屋根材や下地材が劣化し塗装リフォームが無理な場合には「葺き替え」となり、この場合、約15,000円/㎡~(撤去・処分・下地工事を含む)が目安となります。
※仮設足場工事は含みません。

④仮設足場

屋根工事に必ず付随する「架設足場」。屋根の作業は高所作業となるため、足場が必要です。屋根の角度が急勾配な場合には「屋根足場」の設置も必要となります。
費用は約25万円程度(延床面積30坪程度の場合)からとなります。家の形状(凹凸が多いなど)、先述した「屋根足場」が必要となる場合、隣地との接近状況などの立地条件により費用が異なりますのでご注意ください。

快適な暮らしのためには、定期的に屋根の点検をし、必要に応じてリフォームすることが大切です。そうは言っても素人判断は禁物。適した工法・素材、かかる費用を知るためにも、専門業者に相談しましょう。「阪急阪神不動産」では、屋根のリフォームや費用に関することなど不動産の不安や疑問に、専門のアドバイザーがお応えします。関連サービスへのご案内は当該ページ下部にリンクがございますので、ぜひお気軽にご相談ください。

※2021年5月21日時点の情報になり、今後内容が変更となる可能性がございます。